Over The Waves~無垢のクラリネット [音楽(ジャズ)]
GEORGE LEWIS
ジョージ・ルイス (George Lewis, 1900年7月13日 - 1969年12月31日)ニューオーリンズ生まれの著名なアルバート式クラリネット奏者。日本にも演奏旅行で数度来日している。卓越したリズム感とその哀愁をおびた音色は多くのファンの心を捉えた。後のニューオーリンズジャズ・クラリネット奏者の多くは彼の奏法に影響を受けている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
20歳の頃だったと思います。どういう経緯か忘れましたが私は幼馴染のK子さんのお宅をたずねていました。その頃、私はふるさとを出ていたので、一時帰郷していたんだと思います。なぜ彼女のところへ行くようになったのか覚えがありませんが、多分、同窓会の流れだったのかもしれません。
彼女は子供の頃からの憧れの人でした。音楽劣等生の私が音楽に対して強く憧れを抱くようになったのも、彼女の影響だったのかもしれません。
その日、彼女は私に一枚のレコードをかけてくれました。アルバムタイトルもジャケットの印象も忘れてしまいましたが、ミュージシャンの名前だけはかろうじて覚えていました。
ジョージ・ルイスでした。クラリネットの哀調を帯びた演奏が印象的で、私は「サーカスのジンタみたいやね」と感想を述べたのを覚えています。ジャズもデキシーラント・ジャズもまったく知らない頃とは言え、ずいぶん失礼な批評をしたものです。その曲はあとで聞いて類推してみるに、Over The Wavesだったのではないかと思います。
ともかくこの時をきっかけに、友人satoの影響もあって私はジャズを聞き始めるようになるのですが、ジョージ・ルイスのレコードを買ったのは、それからしばらく後だったと思います。
最初に買ったのがこちらです。アルバムジャケットがモノクロだったという記憶を元に買ったのですが、これが見事におおはずれでした。よく考えれば、この頃の写真は皆モノクロですね。
このレコードは録音が悪くよほど耳を澄まさないとジョージ・ルイスのクラリネットが聞こえません。1953年の録音ですが、全体に作りがぞんざいな印象で、ジョージ・ルイスの魅力を伝えるには無理がある気がします。
ジョージ・ルイスと言うと、1963年の東京コンサートが有名だとあとで知りました。
モノクロのジャケット、Over The Wavesも入っているので、ひょっとすると彼女が私に聞かせてくれたのはこのアルバムだったのかもしれません。
ただ、記憶ではライブではなかったような気がするのですが、定かではありません。その拍手の大きさから、誠実なジョージ・ルイスの人柄が伝わってくるようなライブ盤ですね。
私のお気に入りの一枚がこちらです。1974年当時、1000円の廉価版で発売されたものです。 TOKYOコンサートもよいですが、こちらの方がよりオリジナルに近い気がします。
アメリカン・ミュージックの宣伝用に企画された一枚ではなかったかと思います。このシリーズは全部で20枚くらい出ているそうです。これはその中からジョージ・ルイスの演奏を選び出したダイジェスト盤のようなものだと思います。
1943年から1945年にかけて、ジョージ・ルイスがミシシッピー川波止場の荷揚げ人足をしながら音楽活動をしていた頃に録音されたものです。録音の当初の目的はバンク・ジョンソンだったそうです。
時代も古く、録音機材(テープではなくディスク録音)などの条件も悪かったにもかかわらず、驚くほど美事にジョージ・ルイスのクラリネットが捉えられています。テンポの良い曲は、楽しく愉快なときめきを感じ、ゆっくり切々と歌い上げるクラリネットには、とめどない安らぎと癒しを感じます。
A面 Ice Cream、Burgandy Street Blues、Hindustan、Ciribilin、Lead Me Savior、Over The Waves、This Love Of Mine、 Old Rugged Cross
B面 Climax Rag、 Careless Loves、Just A Closer Walk With Thee、Baby Won’t You Please Come Home、The Sheik Of Araby、San Jacinto Blues
A面はトリオ編成なので、とくにジョージ・ルイスのクラリネットが際立って聞こえます。中でも、Ice Cream、Burgandy Street Blues、Lead Me Savior、Over The Waves、が私は好きですね。
ただ、このアルバム、廉価版のせいでプレスの質が悪いのか、ステレオカートリッジで聞いていた頃はよく針飛びを起こしていました。ところがDENONのモノラルカートリッジDL-102で聞くようになって、ぴたりと針飛びがおさまり、反対にジョージ・ルイスのクラリネットがよりいっそう明確に浮かび上がって来るようになりました。
デキシーランド・ジャズはほかに同じシリーズのBUNK JOHNSONしか持っていませんが、ジャンルを超えてこれはお気に入りの一枚です。
Over The Waves
George Lewis
今晩は、プリウスです。
父のレコードの中に「ジョージ・ルイス・ダブル・デラックス」が
あります。父がこのレコードを聴いていると離れた部屋に居ても
ウーハーが「ズン ズン」と心地よく響いてきた事が思い出されます。
空兵さんの思い出はジャズを聴くきっかけとともに「少々、ほろ苦い」
ところでしょうか。
by プリウス (2009-01-17 22:30)
George Lewis、何ともやるせなく切ない響きです。
by mwainfo (2009-01-17 23:22)
プリウスさん
こんばんは
世代や地域の違いなのか、デキシーを聞かれていたお父上は
良い趣味を持たれて、しかも粋ですね。
私の父は、これと言った趣味もなく、働くだけで精一杯
たまにテレビで演歌の番組を見ている程度でした。
でも、父が好きだった歌のいくつかをそのまま受け継いで
いると感じることがたまにあります。
by 空兵ーS (2009-01-18 22:03)
mwainfoさん
こんばんは
mwainfoさんにとってGeorge Lewisはどんな思い出があるのでしょう。
彼のクラリネットの響きには、心打たれます。
by 空兵ーS (2009-01-18 22:09)
こんにちは
ジャズ・クラリネットは
ベニー・グッドマンを思い浮かべます。
スイング時代の花形楽器ですが、
この頃のスイング・ジャズは大好きです。
スイング・ブームを象徴する1938年の
カーネギー・ホール・コンサートは素晴らしい。
彼が活躍する以前の名手である
ジョージ・ルイスは知りませんでした。
「Over The Waves」は当時ののんびりとした
ニュー・オリンズを感じさせますね。
by kasumi (2009-01-19 09:52)
kasumi さん
こんばんは
ベニー・グッドマンのクラリネットは、洗練された感じがしますね。
このyoutubeの音と演奏はもうひとつですが、
アメリカン・ミュージックに録音されたジョージ・ルイスのクラリネットは
いかにも素朴で、ジャズの原点を感じさせるものです。
by 空兵ーS (2009-01-19 20:42)