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手回し蓄音機 [オーディオ]

 去年の暮れでした。お隣の老夫婦が軽トラックに大きな荷物を積み込んでいるところに出くわしました。年末の大掃除で出た粗大ごみを市のリサイクルセンターに持ち込むのだそうです。

 何か手伝うことがあるかと近寄っていくと、すでに軽トラの荷台には、古い椅子や今や40歳前後になった娘さんや息子さんが使っていた電子オルガンやベビーカーなどがびっしり積み込まれていました。その中にひとつ、正体のわからない四角い木製の箱がありました。

 なんとなくぴんと来るものがあって、木製の蓋に触れてみると壊れていたらしくあっけなく外れてしまいました。しかし、中からなんと蓄音機のアームとターンテーブルが顔を出しました。

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 かなり年代物、ハンドルが付いているので手回し蓄音機のようです。ハンドルを回してみましたが、ターンテーブルは動きません。壊れていると思ったとき、横からご主人がすっと手を伸ばして、レバーのようなものを操作しました。すると、ターンテーブルが勢いよく回りだしました。

 動いた動いたと喜んではしゃいでいたら、ご主人が捨てる物なのでよかったらあげるよとおっしゃったので、二つ返事でいただいてきました。

 そういえば、この蓄音機、私が小学校に上がる前後のころだったでしょうか、お隣に遊びに行って聞かせてもらったような気がします。もちろん何を聞いたのか、どんな曲だったのか覚えがありませんが、聞き行った記憶だけが残っています。

  長い間、物置に置き去りにされていたらしい蓄音機は、埃で全体がに白っぽく、素手で触るとざらざらしました。とりあえず、濡れたタオルで大まかに埃を拭きとりました。それから100均で買った艶出しクロスで磨くと少しは木製品らしい艶が出るようになりました。

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 蓋の表面にかなり強いすり傷がありますが、蓋自体は枠がはずれているだけなので、木工用ボンドで修理できそうです。

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  今では考えられないような大きなピックアップ部分(サウンドボックスと言うそうです)は、管楽器のような曲線を描いた太いアームから外れて転がっていました。アームに取り付けるといちおうは着きますが、果たしてこれでよいのかわかりません。回転するレコード盤の上に乗せてみたらはずれそうな気もします。

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 ご主人は舶来品だとおっしゃってましたが、メーカーはわかりません。と言うかあちこちにある横文字のどれがメーカー名でどれが製品名なのかわかりません。ネットでいろいろ検索してみましたがヒットしませんでした。ただ、ピックアップのところを見るとNEW YORK、U・S・Aと書かれているのでアメリカ製には間違いなさそうです。何年くらいのものなんでしょうか。

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 鉄製の針は缶ケースに入って、ふんだんにありました。もっとも蓄音機の針は、二回くらいしか使えないのだそうです。ターンテーブルは、今のものに比べると薄くて軽いブリキ製です。おまけに表面に張られていたらしいフェルトがはがれて、ずいぶん見苦しくなっています。これは何とか修復できるのではないかと思います。

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 ゲージのようなものや、操作レバーがいくつかあるのですが、これらの使い方が今ひとつわかりません。アームの根元、ターンテーブルの下から突き出ているのがストッパーのようです。

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 もっとも肝心のSPレコードが1枚もありません。私の二台のレコードプレーヤーはいずれも78回転がありませんので、今までSPレコードには手を出してきませんでした。

 ネットで調べるとそこそこ売り買いされているようです。試しに一枚購入してみようかなと思います。この時代のジャズボーカルとか歌謡曲がいいなと思っているのですが、果たして観音開きの奥のスピーカーからちゃんと音が出るかどうか。

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 ネットオークションを見てみると、この蓄音機より状態の良い蓄音機が意外と安い値段で取引されているようです。蓄音機の音が聞きたいだけだったら、そっちを入手する方が早そうですが、私が小さい頃お世話になったお隣のおじいさんが使っていた蓄音機なので、出来ればここで復活させたいところです。もっともまだ真空管アンプも直せていないので、優先順位はずっと後ろになります。

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 部屋に持ち込んでボディを拭き、艶出しを済ませ、あとはぼちぼちアームの錆びなどを落としていこうと思っていたのですが、あれからもう二ヶ月あまりたつのに作業はいっこうに進んでいません。今のところアンティークの置物と言うよりはただの場所塞ぎになっているだけです。いずれにしろ我が家にまた、がらくたオーディオの一員がひとつ加わったのだけは間違いなさそうです。

 


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プリウス

こんばんは、プリウスです。
面白い物が手に入りましたね。ゆっくり修理するのも楽しいし
修理後の音もきっと楽しいですよ。
小生のメインスピーカーは蓄音器のホーンを中心としておりますが、
レトロ嗜好だけでは無く音質的にも気に入ってます。
SP盤のボーカル(ビリー ホリディ)聴いて見たいです。
針は先端を研ぐと何度も使えるそうですが、レコードのためには
「竹針」が良いそうです。(蓄音器お持ちの方の情報です)
by プリウス (2009-03-07 18:04) 

イチロ

宝箱、大切に音が出るようになればいいですね。
by イチロ (2009-03-07 20:52) 

kasumi

こんにちは
縁なんですね♪
思い出が詰まった蓄音機、
是非、復活させてくださいね♪
by kasumi (2009-03-07 21:56) 

mwainfo

ものづくりの息吹が聞こえてきそうです。音が聴けるといいですね。
by mwainfo (2009-03-08 16:51) 

空兵ーS

プリウスさん
こんばんは
いつもオーディオに関しての貴重なアドバイスありがとうございます。
今回は電気が関係ないので、比較的に素人でもいじりやすそうな気がします。急がない、楽しみとしてぼちぼちいじっていって
いつか古いジャズか歌謡曲のspレコードを聴いてみたいと思っています。テレビ映像でしか聞いたことがないあのspレコードの音が聞けたらさぞ楽しいだろうと思います。
by 空兵ーS (2009-03-08 20:22) 

空兵ーS

イチロさん
こんばんは
音の宝箱、本当にそんな感じですね。
よりエジソンに近い原始的な音がしそうですが、
デジタルにはない温かみと歪みが楽しみです。

by 空兵ーS (2009-03-08 20:28) 

空兵ーS

kasumiさん
こんばんは
本当に、ちょっと見過ごしてしまっていたら
この蓄音機はリサイクルセンターへいっていたわけで、
音ならぬ声なき声で私を引き寄せてくれたのかもしれません。
この蓄音機の奏でるSPレコードのジャズを
ぜひ聞きたくなってきました。
by 空兵ーS (2009-03-08 20:39) 

空兵ーS

mwainfoさん
こんばんは
さして凝った装飾がしてある蓄音機ではないのですが、
時代のせいか、木製ケースや、真鍮製らしいアームに
ものつくりの精神をかいま見る気がします。
by 空兵ーS (2009-03-08 20:42) 

kotarobs

なんと、楽しみが一つ増えましたね。
今でも蓄音機の音にあこがれて、ものすごいコレクションを持っている人や、ショップがテレビで照会されていたのを見たことがあります。
by kotarobs (2009-03-08 23:44) 

bukurowaraji

蓄音機良いですね。わくわくしますね。
 50年ぐらい前に実家にもありましたが、プリウスさんがおっしゃっているように、竹針が良いですよ。金属製の針だとレコードのノイズを拾いすぎるのとレコード盤が痛みます。竹針の場合ですと、音が軟かくてノイズをあまり拾いません。
 竹針の先は爪切りの様な専用の物があります。
 僕は、蓄音機を壊して、戦車を作って遊んだ記憶があります。
なぜか、父親には、怒られずに済みましたが・・・
 音の感触は今でも鮮明に覚えていますが、真空管ラジオから聞こえてくるような、遠くから遥遥送られてきたような、懐かしい音でした。
 じっくり直して心の温まる音を楽しんでください。
by bukurowaraji (2009-03-09 00:21) 

空兵ーS

kotarobsさん
こんばんは
ピュアオーディオとはまた違った独特の世界が楽しめそうです。
子供の頃しか聞いた記憶がないのですが、実際に音が出てみたら、
幼い頃の記憶がふぁっとした空気感とともに蘇ってきたりするかもしれません。
by 空兵ーS (2009-03-09 20:51) 

空兵ーS

bukurowaraji さん
こんばんは
蓄音機を壊して戦車?子供の頃はとんでもない発想で
とんでもないことをするものですね。
私は竹針は鉄の針の代用と思っていたのですが、違うんですね。
確かに素材的にはこちらの方がレコードに対して優しそうです。
わが家には当時、真空管式のラジオしかありませんでしたので、
蓄音機の音の記憶はほとんど残っていません。
でももし修理が出来て音が出るようになったら、遠くから聞こえてくるようなふぁーっとした空気感に、当時の記憶がいっぺんに蘇るような気がします。
by 空兵ーS (2009-03-09 21:04) 

FUCKINTOSH66

遅ればせですが、この蓄音機 "Made by PETTERSON COMPANY New York U.S.A." がすごく気になったので、ちょっと調べてみました。

結果、PETTERSONというスペルのこういった業種の会社は現在NYには存在しないようなのですが、"T"がひとつ少ないPETERSON COMPANYという会社がありました。社名のスペル変更はこちらでは珍しくないので、もしかしたらこの会社かも?

この会社の歴史についてのページを見ると、かなり古い会社で、オルガンから始まって、ラジオ、チューナーなどを製造しています。この蓄音機全体を製造したのか、ピックアップ部分だけを製造したのか?どっちでもない、単に似た名前の会社違いか?定かではありませんが、可能性は高い?かなぁと。よかったらH.Pのぞいてみてくださ〜い

http://www.petersontuners.com/index.cfm?category=8
by FUCKINTOSH66 (2009-03-10 15:20) 

空兵ーS

FUCKINTOSH66さん
ありがとうございます
実は、ニューヨーク在住のF66さんなら
何か情報をお持ちでないかと期待していました。
PETERSON COMPANY
名前が似ていて、オルガンやチューナーなどの
音響関係の機器を作っていて
歴史もかなり古い、
可能性かなりあるんではないでしょうか。


by 空兵ーS (2009-03-11 21:29) 

bukurowaraji

  空兵さんこんばんわ
  今日の朝、旅の疲れもあって、布団の中でうつらうつらしていると
 家内が、「おとおさん ウグイスが鳴いてるよ」と起こしてくれました。
、 夢うつつの中、みみを庭の方に向けると、ほ~けょ けきょ ほ~ほけきょ とまだおぼつかない声で、ウグイスがないていました。
 例年より少し早い初鳴き嬉しかったです。
 眠気覚ましに、愛犬(甲斐犬雑と諸雑の2匹)を連れて、近くの高麗川の土手に散歩に行くと、タンポポやおおいぬのふぐり、すみれなどのはなが、色とりどりに咲いていました。秩父連山が春霞でかすんで見える土手の桜は、まだ蕾を硬く閉じた状態で、花見の賑わいは、当分先のようです。
  旅といっても、今回は、神戸の母の実家のお墓参りが目的でした。
  それでも、明石のよく行く「菊水鮨」に立ち寄って、桜鯛やあなご明石蛸などを堪能し、山陽「垂水」駅そばにあるJAZZ喫茶「JB-5」(078)708-4559でトミー・フラナガンも聴いてきました。
 本当は、滋賀県余呉町にある、「徳山寿司」に鮒鮨を食べに行き、余呉湖の早春を探索したかったのですが、徳山鮨が休みだったので、急遽、明石に変えました。
 余呉は、又、夏に家族で行くことにします。
 今度の3連休は、我が家の墓参りに行く予定で、3月は何かとご先祖様に挨拶することの多い季節です。
 今、ランディー・ウエストンの「ゲット・ハッピー」を聞きながらメールしています。
 明日も空兵さんにとって穏やかな日でありますよう、祈りつつメールを閉じます。
 では又楽しいページ待っております。
by bukurowaraji (2009-03-16 23:23) 

空兵ーS

bukurowarajiさん
こんばんは

コメントすっかり見落としていて失礼しました。
関西の方へ来ておられたのですね。垂水は弟がかつて下宿していたところで一度だけ行ったことがありますよ。ジャズ喫茶は知りませんが。
余呉は静かなところですね。このあたりは琵琶湖が湖らしい青さをたたえています。
関東のかたは、鮒寿司が苦手とよく聞きますが、bukurowarajiさんは大丈夫なんでしょうか。
 山へ行くとウグイスの声がうるさいほどにぎやかに聞こえる4月になってしまいました。
by 空兵ーS (2009-04-03 21:41) 

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