「聖者の行進」 [音楽(ジャズ)]
「さよならバードランド」を読んでいる間楽しかったので、またジャズ関係の本を図書館で借りてみました。今回手にしたのがこちらです。
「聖地ニューオリンズ 聖者ルイ・アームストロング」
外山喜雄、外山恵子夫妻著 冬青社
ルイ・アームストロングのいくつかの言葉と、著者夫妻が1967年から5年間、ジャズのメッカ、ニューオリンズでジャズ修行した体験談、その時撮られたたくさんの写真で構成された写文集です。
この本を読んでわかることは、ルイ・アームストロングが地元、ニューオリンズでいかに愛され尊敬されているかということ、そしてそれと同じように著者ご夫妻もルイ・アームストロングとニューオリンズを愛していると言うことでした。
ルイ・アームストロングことサッチモは20世紀の最初の年に生まれ、11歳の時ピストルをぶっ放して少年院送りになり、そこでトランペットに出会った。この話は有名なのでしょうか。私は知りませんでした。
ジャズ葬式、悲しい葬送と、その帰りの魂の開放を思わせるリズムの爆発とペットのハイノート、スイング、開放された自由、その後のジャズの原点がここにあるのでしょうか。
ニューオリンズの祭り、セカンドラインの踊りのステップ、アフリカの匂い、デキシーランドジャズ。マルディグラ、パレードに参加する黒人唯一のグループ、ズールーとその王、フロートなどなど・・・夫妻が5年間で体験したことの素晴らしさ。
「美しい音楽と言えば、
一度ニューオリンズの葬式を見てほしいもんだ。
ジャズ葬式で演奏するオンワード・ブラスバンド・・・。
まるでオペラ歌手が心を込めて歌うように、
悲しさや美しさを心から音にこめるのさ」
---本文、ルイ・アームストロングの語るニューオリンズより---
もともとニューオリンズの教会で歌われていた「聖者の行進」を1938年に始めてレコーディングしたのがルイ・アームストロングでした。
ルイ・アームストロングのトランペットと、情感たっぷりのバラードやブルースには心動かされる曲が多数ありますが、「聖者の行進」はふだんジャズを聴かない人でも知っているポピュラーな曲です。そのためにややもすると軽視されているような気がするのは私だけでしょうか。
サッチモにとって、つねにニューオリンズが彼の原点であったように、この歌もまた彼にとっては重要だったのではないでしょうか。きっと、ジャズ葬式の帰りの悲しい賑わいを思い出しながら彼は歌っていたんだと思います。
よく考えれば、こんなにすばらしいイメージの歌もありませんね。なんと聖者が行進してやってくるのですから。そこに貧しく虐げられていた黒人達の希求する思いのようなものを感じます。
1971年7月、自宅のあったニューヨークに続いて、生まれ故郷のニューオリンズでもサッチモの葬儀は行われ、そのパレードの最後を締めくくったのが、やはり「聖者の行進」だったそうです。
こんにちは
サッチモがどれだけ愛された人なのかよくわかりますね。
"この素晴らしき世界″は大好きな曲ですが、
ベトナム戦争に反対していた彼が、
出征する新兵たちの前でこの曲を歌ったそうです。
by kasumi (2009-03-22 22:56)
kasumiさん
こんばんは
ルイ・アームストロング、サッチモというと
皆、どこか使い古されたような印象があるけれど
よく考えるとあのスマイルと嗄れ声以外は何も知らない
ことに気づかされます。
今度、伝記でもあれば読んでみたいなと思っています。
by 空兵ーS (2009-03-24 20:39)
思わずYouTubeの画面と音に聞き入ってしまいました。
市ノ瀬義孝さんのバンドでしばらくJazzをやっていましたが、技術は近づけても、あののりはとても真似できるものではありませんでした。
みそと醤油のしみこんだ私には、楽譜に表すことのできない微妙なリズムを身体で覚えるのは無理ですね(^^;
by kotarobs (2009-03-24 22:37)
kotarobsさん
こんばんは
私は生来の音痴なのでもっぱら聞く方一辺倒なのですが
バンドでジャズをやっておられたとはすごいですね。
私は自分が出来ないので、楽器をされる方は無条件に尊敬してしまいます。
一之瀬義孝?どこかで聞いたことがあるお名前ですね。
そんな異国の音楽が味噌としょうゆのわれわれになぜにこれほど心地よいのでしょうね。
by 空兵ーS (2009-03-25 21:04)
こんばんは、プリウスです。
最近になって「エラ・アンド・ルイ」を入手し聴いて見ました。
トランペット演奏や一人で歌っている時と違う
ルイ・アームストロングの包容力のようなものを感じたのですが、
若いエラを「そっと支えて」くれていたのかも知れません。
*うまい表現が出来ません。
みんなに元気をくれる明るくやさしい人なんですね。
by プリウス (2009-03-27 20:57)
プリウスさん
こんばんは
私も「エラ・アンド・ルイ」は最近手にしたのですが
けっこう毎日のように聞いていますよ。
一辺にお気に入りになったかんじです。
エラの若いしなやかな声とサッチモの包容力のあるうたいっぷりは
それぞれソロとはまた違った魅力がありますね。
音楽家というのは、まず優しい気持ちを持っていないと
出来ない職業なんではないかと思ったりします。
by 空兵ーS (2009-03-27 22:53)
サッチモさんの音は、どれもすごくソウルフルで、そんなところが日本人の私たちにも、どの国の人たちにもグっとくるところなんぢゃないかなぁと思ったりします♪
余談ですが、大洪水後のニューオリンズ、まだまだ復興できてないエリアもあり、募金活動も草の根的に続いているようです。
by FUCKINTOSH66 (2009-03-28 14:57)
FUCKINTOSH66さん
こんにちは
マイルス・デイヴィスは「アームストロングは喋りまでジャズになっている」と言っているそうですね。彼の血にはブルースが流れていたんだと思います。
この本は、ニューオリンズの災害復興にも捧げられています。著者夫妻もいまだ復興が成し遂げられていないことを悲しんでいます。
ジャズの聖地ニューオリンズの復興、オバマさんにも期待したいところです。
by 空兵ーS (2009-03-28 16:33)