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真空管 [オーディオ]

 この前は台風並の強風が吹いたり、太陽が霞んでしまうほど黄砂が降ったりしました。黄砂を洗い流す雨が降ったと思うと、雨は3日も降り続いて今日やっと止みました。しかし、暑さ寒さの彼岸は過ぎたのに、気温は低いまま、春はまだ名のみのようです。

 

 愛機A3500は、真空管が暖まって来ると不定期に起こる雑音に悩まされていました。バリバリとスピーカーを壊すのではないかと思うほどの嫌な音でした。

 しばらく様子を見ていたのですが、雑音の出方が次第に頻繁になってきたので、とうとう我慢できず、この前リストアしてもらった真空管アンプ修理mkbさんにお世話になりました。

 

DSC_0239.JPG

 戻ってきたA3500です。見た目にはなんの変化もないように見えますが、実は前面に並んでいる4本の出力管が変わりました。

 

P1340475-2.JPG

 こちらが前の画像です。わかりにくいと思いますが、上の写真の出力管4本の形状が少し太くなっています。JJEL34から、7581 (Philips ECG)6L6系の出力管に変わりました。


 雑音の原因、mkbさんでもしばらくわからなくて、ボリュウムとかアースを疑っておられたようでしたが、なんと原因は出力管一本の不調でした。JJ管を推薦されたmkbさんもこれは意外だったらしくひどく恐縮されていました。

 そこで、不調の真空管を交換するだけにするか、或いはもっと安定的で信頼できる真空管にするか少し迷いましたが、安定安全を優先して、mkbさんが推薦される1980年代の7581 (Philips ECG)に交換してみることにしました。

DSC_0256.JPG  Philips ECG 7581

 修理から戻ってからしばらくは、またあの嫌なバリバリという雑音が出ないか心配で音のチェックどころではありませんでした。何時間、何日か使ってみて雑音が出ないとわかってから、ようやく音を確かめてみる気になりました。

 真空管アンプのリファレンスレコードにしているのはBag's Groove [12 inch Analog] です。しかしミルト・ジャクソンのバイブの音を聞いてみて、驚きました。

 真空管アンプで聞けるあの独特のバイブのきらめきがありません。音はただ鉄琴に張り付いて、そっけなくコロコロ鳴っているだけでした。これはどうしたことでしょう。ショックでした。

 初めはmkbさんがどこかほかをいじったのかと思いました。しかし冷静になって考えてみると、真空管が変わっていること、しかもまだエージングが済んでいないことに思い当たりました。しばらく様子を見てみることにしました。

DSC_0272.JPG

 エージングを兼ねて、いろいろな演奏を聞いてみました。その結果、今度の真空管と以前の真空管の違いはどうやら、倍音と高域の出方の違いに思えてきました。

 以前のEL34はどちらかと言えば繊細で倍音が豊か、高域に艶があって、真空管アンプとしては現代的でやや冷たく聞こえました。

 一方フィリップスの7581は、全体に倍音が抑えめで音に色づけが少ない気がします。中低音に力があり、野太くがっしりした音がします。バグスグルーブ、その後何度か聞き直してみると、バイブそれなりに響いているのですが、EL34がかなり誇張されていたので、物足りなく聞こえてしまうようです。

 そして以前は、ミルト・ジャクソンのバイブばかりが目立ったのに、今回マイルスのペットやモンクのピアノまですばらしく聞こえるてきました。

 ボーカルなどはエラ・フィッツジェラルドの声の艶が少しEL34より減退しますが、反対に厚みのある温かい声が迫ってきて魅力的です。ピアノの音などは、こちらの方が素直にピアノらしく聞こえます。

 初めはあの魅惑的なバイブの響きが聞こえないので、すぐにEL34に戻したくなりましたが、フィリップスの真空管、聞いているうちにエージングが進んだのでしょうか、耳が慣れてきたのでしょうか、これはこれで捨てがたく感じられてきました。 

 名は体を表すと言いますが、この二つの真空管の音は、見た目通りですね。EL34は細身の形状どおりに音も細くやや冷たい。反対にフィリップスはその形どおりに、ずんぐりむっくりして音も丸っこい。色づけが少ないので、こちらの方が音は素直なのかもしれません。

 それにしても出力管を変えただけで、こんなに音が変わるとは驚きました。欧米のマニアの間では真空管を変えて遊ぶのが一般的だそうですが、それがわかる気がします。

 DSC_0301.JPG

 いずれはEL34を取り寄せて、真空管を差し替えて、どちらの味わいも楽しみたくなってきました。

 

☆クリックしていただくとスライドショーが始まると思います↓ 

http://picmate-club.panasonic.jp/p/242/album/t0nbbGW-r4fZ/slideshow

 

 

 

 


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kurakichi

素晴らしい!!
瑞々しい土筆の美しさに驚かされました。
by kurakichi (2010-03-26 22:21) 

yukky_z

真空管アンプで、一度でいいからレコードを聴いて
みたいです。暖かみのある素晴らしい音なんでしょうね。
PS:スライドショー、観させて頂きました。
  綺麗な写真ばかりで感動しましたよ^^
by yukky_z (2010-03-27 00:50) 

y-tanaka

お休みの日にゆっくりと音楽が聴けるのは最高ですね、
真空管アンプは手が出ません(高い)
by y-tanaka (2010-03-27 06:05) 

たいへー

カートリッジを替えて、
音の変化を楽しむのと同じなんですね。
エージングって、ほんとうに音が変化しますよね。
落ち着くまでの時間も、一種の楽しみなんでしょうね。
by たいへー (2010-03-27 08:16) 

駅員3

なるほど、聞く楽曲にあわせて真空管を替えるんですね[ひらめき]
子供の頃に見た真空管の暖かく優しいオレンジの淡い輝きが、懐かしくてなりません[ぴかぴか(新しい)]
by 駅員3 (2010-03-27 08:35) 

パパボンz

おはようございます。
真空管!懐かしいですね~
電気科の授業で起源は白熱電球だと教わった記憶があります。
動作原理もすっかり忘れてしまいましたが
最近電気知識をチョビット復習中につき良い刺激になりました。
いい音聞きたいです。

by パパボンz (2010-03-27 09:14) 

空兵

kurakichiさん
こんにちは

ありがとうございます。
ツクシは荒れ地に生えるそうですが、そのツクシさえ最近あまり見ないと思ったら、シカが食べているそうです。
たまたま雨上がりの朝、ちょうどカメラを構える位置が逆光でした。
by 空兵 (2010-03-27 10:52) 

空兵

yukky_zさん
こんにちは

真空管アンプは、 yukky_zさんがとくにお好きなボーカルものにぴったりですよ。
臨場感とぬくもりが伝わってきます。

スライドショー見て頂いてありがとうございました。
by 空兵 (2010-03-27 10:56) 

空兵

y-tanakaさん
こんにちは

y-tanakaさんも素敵なオーディオをお持ちでしたね。
真空管アンプ、中古で安いものを買ったのですが
その後レストアしたり、真空管交換したりで、
トータルするとそこそこ出費しましたね。
自分ではささやかな贅沢と思ってます。
by 空兵 (2010-03-27 10:59) 

空兵

たいへーさん
こんにちは

そうですね、オーディオはどこか一カ所変えただけでも
音が変化するので、それが楽しいような悩ましいような・・・
エージング、機器にも必要ですが
自分の耳のエージングも必要みたいです(笑)
by 空兵 (2010-03-27 11:03) 

空兵

駅員3さん
こんにちは

聞く音楽に合わせて、スピーカー切り替えたり、カートリッジ変えたりといろいろ組み合わせがあります。
ふだんは手っ取り早い方法でやってますが、どうしてもこの組み合わせでしか出ない音もあって、そう言うときは手間もかかってしまいます。
by 空兵 (2010-03-27 11:06) 

空兵

パパボンzさん
こんにちは

記事中で書こうと思いながら忘れてしまいましたが
某電気メーカーが白熱灯電球の国内生産を終了したとか。
そんな時代に、いまだ真空管の人気があるというのも面白いですね。世の中効率ばかりではないと言うことでしょうか。
パパボンzさんは、電気にお詳しいので
また新たな楽しみが見つかるかも知れませんね。
旅と旅の間は、真空管アンプの製作
いかがですか。

by 空兵 (2010-03-27 11:11) 

FUCKINTOSH66

真空管の体は音を表すんですねぇ〜。色づけが少ない素に近い音は、聴いてもらうミュージシャン側としても嬉しいかもしれませんよね。

>欧米のマニアの間では真空管を変えて遊ぶのが一般的だそうですが
マコツのボスもまさにそうで、お手製の真空管がいくつあるのかわからないくらいです。持ってない人には、真空管作ってあげようか?とか聞いてきます(笑)
by FUCKINTOSH66 (2010-03-27 17:12) 

stone-9

真空管アンプで聴いている友人が同じ事を言っていました。
電源を切らないこともあるそうですね。
スピーカーと同じでエージングも必要なんですか、
デリケートとなんですね。
スライドショーのメジロ、見事ですね。
by stone-9 (2010-03-27 18:16) 

空兵

FUCKINTOSH66さん
こんばんは

欧米の真空管マニアのことを、チューブなんとか言ったのですが
忘れてしまいました。
色づけの少ない素直な音がいいですね。
何を聞くのも安心できます。
ただ、何事もそうですがより個性的、
悪魔的な色づけにこそ人は嵌ってしまうのかも知れません。

私も腕と予算さえあれば、楽曲ごとにアンプ取り替えたいくらいです。

by 空兵 (2010-03-27 21:30) 

空兵

stoneー9さん
こんばんは

真空管はある程度暖まらないと実力を発揮できないそうで
私は今のところ最低30分くらい暖機しています。
下手をすると、暖機だけして聞けないことがあったりします。

メジロは、いままで撮った野鳥の写真の中でもかなり多い方ですが、
こんな風に撮れたのは、初めてです。
眼の色までわかりますね。
眼レフカメラの実力だと思います。
by 空兵 (2010-03-27 21:35) 

tempo

電源コードを替えて1ヶ月くらいになりますがまだまだですね。
電源コード、真空管に限らずモノによっては100時間くらいかかったりするそうですがその頃には既に耳が慣れてしまって変化に気づかない気もします。
by tempo (2010-03-27 22:31) 

空兵

tempoさん
こんばんは

おっしゃるとおり、エージングより耳が慣れる方が
早そうな気がします。
今は、出来るだけ真空管で聞かないときも電源だけ入れておいて
エージングの方を先に済まそうとしているのですが・・・
by 空兵 (2010-03-27 23:01) 

プリウス

こんばんは、プリウスです。
修理完了おめでとう御座います。
出力段を交換して音色の変化を楽しむことは真空管アンプ
ならではの事かと思います。
エージング進行後の感想も楽しみにしております。
by プリウス (2010-03-28 18:34) 

空兵

プリウスさん
こんばんは

真空管を交換して音色の違いを楽しむことがあることは知っておりましたが
自分にはハードルが高そうで、無縁と思っていました。
今回はからずも体験することができました。
これを機会に、経済が許す限り、これからもいろいろ試してみたくなりましたが、泥沼でしょうかね。
by 空兵 (2010-03-28 20:57) 

クンツ

こんにちは、泥沼一歩手前位ですかね♪、オーディオは詳しくないですがもう一度別のEL34で音色の確認がスッキリするようですね。
カップリングコンデンサーを変えるとか中を弄りだしたら楽しみ倍増出費も・・・ですね。
追:リファレンスレコードを女性ボーカルにしている方は多いですね。
by クンツ (2010-03-29 18:51) 

空兵

クンツさん
こんばんは

けっこうお詳しいようですね。
カップリングコンデンサ?です。
今は記憶の中のEL34なので、ぜひ戻してから聞き比べしてみたいですね。
リファレンスと言っても、私の場合は、過去に聞いた真空管の音で魅了されたのがバイブの音だったので、どうしてもそれで測ってしまいます。
エラ&ルイのエラの声もリファレンスの一つですね。
by 空兵 (2010-03-29 20:35) 

ヤスミチ

こんにちは 真空管のアンプ 最近は全然見ません 凄いですネ
私も前は真空管のアンプを持っていましたが、崩れたので捨てました
持って置けばと、今になって思います。
 良い音がでるでしょうネ  では また お邪魔します
   スライドショ-観ましたヨ 綺麗ですネ 
by ヤスミチ (2010-03-31 16:28) 

空兵

ヤスミチさん
こんばんは

以前、真空管アンプをお持ちだったとはすごいですね。
私は、ずっと欲しいと思っていましたが
今頃ようやく手に入れて楽しむことができるようになりました。
ヤスミチさんと順番が反対になりましたね。
スライドショー
見ていただいてありがとうございます。
by 空兵 (2010-04-01 21:27) 

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