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ジャズ・レコード名盤全カタログ [音楽(ジャズ)]

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 先週、スイングジャーナルの1977年臨時増刊号「ジャズ・レコード名盤全カタログ」の記事を書く準備をしていたら、ハンク・ジョーンズさんの訃報が飛び込んできました。予定を変更して、ハンク・ジョーンズさんの記事をアップしたら、今度はスイングジャーナル休刊のニュースです。今年の5月はお天気もさることながら、ジャズファンにとってはずいぶん淋しい5月になりました。

 

 1970年代前半、ジャズを聞き始めた私は当然、スイングジャーナルのお世話になりました。たぶんほとんどのジャズファンが大なり小なりこの雑誌にはお世話になっているだろうと思います。

 当時、たぶん今よりもたくさんのジャズ誌があったと思うのですが、覚えているのはジャズ批評とスイングジャーナルくらいです。スイングジャーナルはジャズ誌の総合誌、もっとも一般的で癖がなく、スタンダードと言った感じでした。

 当時、東京でも街の小さな本屋さんだと、発売日直後に買いに行かないと売り切れていることがよくありました。住んでいた東中野駅前の小さな本屋さんで定期購読を申し込んだ覚えがあります。

 発売日は20日頃だったでしょうか。定期購読したのは、5日後の給料日以降に買いに行っても確保されている安心感からだったかもしれません。唯一の定期購読誌、毎月楽しみでレコードの紹介、ジャズプレーヤーの特集、オーディオのページ、そしてレコードやオーディオ、ジャズ喫茶の広告までくまなく活用していました。

 いつから読まなくなったのでしょう。たぶん、田舎に戻ってきてからだと思います。30年前の我が田舎は不便で、レコードも雑誌も手に入れにくい環境でした。たまに街に出て、思い出したように買っていましたが、それも次第に間遠になっていっていつの間にかすっかり買わなくなりました。

 今手元にあるのは2008年2月号と2009年5月号、そして以前紹介した1976年臨時増刊の「世界ジャズ人名辞典」と今回紹介する1977年臨時増刊「ジャズ・レコード名盤全カタログ」だけです。

 

 

 こちらが1977年5月臨時増刊「ジャズ・レコード名盤全カタログ」です。「世界ジャズ人名辞典」の表紙に比べると、表紙デザインがPOP過ぎる気がしますが、70年代はこんな感じが流行っていたんでしたか。

 

 Image0002.JPGImage0004.JPG   目次です。モダンジャズ、ボーカル、ビッグバンドごとに分かれています。ページの間には、コラムがあって、懐かしい名前がありますね。 (画像の上でクリックして頂くと大きくなって読めるようになります)

 

Image0003.JPGImage0005.JPG   当時よく活用していた秋葉原の石丸電気の広告と、憧れのJBLの広告です。D130LE175の組み合わせで人気があったL45シリーズですが、値段を見てください。片チャンネルで我が給料数ヶ月分です。まさに天文学的とも思える数字でした。もっとも無理して買っても、貧乏アパート暮らしの身には置くところがありませんし、満足に鳴らすことも出来ませんでしたが。

 増刊号の厚みは同じくらいですが、どちらも古くなってきて、雑誌の綴じ部分が怪しくなりかけています。編集作業が大変だったと思われる人名辞典は1300円なのに、翌年の名盤カタログの方は1500円です。後者は1973年にも「ジャズ・レコード百科’73」が出ていたようです。残念ながら、1974年版の「幻の名盤読本」は所有しておりません。

 

Image0006.JPGImage0007.JPG   ちなみにこの頃の70年代ベストはこんな感じです。われらがナベサダさんが3位に入ってますね。あと秋吉敏子さん、富樫雅彦さんと日本人ジャズメンが3人も入っていたり、マッコイ・タイナーが2枚も入っているところなどは、時代を感じさせます。

 これらの顔ぶれを見ていると、70年代のジャズは、モダンジャズからクロスオーバーに次第に移行しだしていて、のちのフュージョン時代への橋渡しをしていた時期だったのでしょうね。

 このカタログを頼りにレコードを買ったのは、昔ですね。今もこれを元にレコード集めればよいのですが、つい見忘れてしまいます。

 また、今とは少し評価が違って、オーネット・コールマンのレコードがやたら紹介されています。キース・ジャレットソロ・コンサートが2位に入っていますが、ケルン・コンサートなどはこのとき、まだ発売されていなかったので、当然載っていません。

 この臨時増刊号が出て33年、時代はもはや21世紀です。ジャズがジャズと呼ばれるようになって約1世紀、そして昭和22年に創刊されたスイング・ジャーナルはすでに還暦を超えています。このまま役割を終えてしまうのでしょうか。

 毎月だと苦しいけれど季刊なら付いていけそうな気がします。新しい切り口を持って、「季刊スイングジャーナル」として復活してくれないでしょうか。


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yukky_z

『Swing Journal』の休刊は大変残念ですね。是非また、「復活」すると良いですね。先日、渋谷陽一氏もブログで
本当に残念だと言ってました。『Rockin' On』とはジャンル
が違いますが、『Swing Journal』の様な雑誌になることを
目標に置いていたみたいですよ。
by yukky_z (2010-05-28 22:50) 

kurakichi

やはり一つの時代が終わってしまったような気がします。
油井正一氏、菅野沖彦氏などの名前が思い出されます。
by kurakichi (2010-05-29 03:03) 

y-tanaka

命有るもの、いつかを「サヨナラ」がきますよね、
ハンク・ジョーンズさんのご冥福をお祈りしてます、
そして我が家の「DP-3000」が動かなくなってしまいました。
(ターンテーブルが回らない (>_<) (>_<) )
by y-tanaka (2010-05-29 05:32) 

たいへー

若い頃はFM雑誌を買って番組をチェックしたもんですが、
いつの間にか買わなくなりましたねー。
そういえば、私もロック名盤のカタログを持っていたんですが、
今行方不明になってます・・・^^;
by たいへー (2010-05-29 07:50) 

駅員3

私は1980年代、ジャズの教科書を読みあさっていました。
コード進行のルール、スイングの方法、…なかなか日本人らしい「のり」から抜け出せず、「みそくさい」と怒られた事を懐かしく思い出しました。
譜面に書き表すことの出来ない微妙な「リズム、のり」は耳から覚えるしかありませんでしたが、日本民謡から脱却するのにかなりの努力を必要としました。
子供の頃からの生活環境が大きく影響しますね[冷や汗][あせあせ(飛び散る汗)]
by 駅員3 (2010-05-29 09:47) 

空兵

yukky_zさん
こんばんは

最近のスイングジャーナルがどうだったかはともかく、ジャズ関係の大きな雑誌が無くなってしまうのは、残念ですね。
渋谷陽一氏、FMの番組であの独特の早口の言い回し、よく聞いてました。サウンドストリートでしたか?『Rockin' On』の社長だったんですね。
それにしてもかつては音楽雑誌がたくさんありました。
by 空兵 (2010-05-29 20:59) 

空兵

kurakichiさん
こんばんは

ここのところ、歴史ある名門の雑誌がどんどん姿を消して行ってますね。
時代の変わり目と言うか、時代はもはやipad元年ですからね。書籍や雑誌の形態自体が変わろうとしています。
ジャズは油井正一氏、オーディオは菅野沖彦氏でした。
by 空兵 (2010-05-29 21:12) 

空兵

y-tanakaさん
こんばんは

DENONの目玉焼きターンテーブルDP-3000は一時一世を風靡したダイレクトドライブの名器ですね。当時とても買えない値段でしたが、憧れましたね。あれから40年近くの年月が経っていますね。なんとか復活してくれると良いですね。古くなっても名のある製品は、メンテナンスの可能性あるような気がします。
by 空兵 (2010-05-29 21:13) 

空兵

たいへーさん
こんばんは

そうですね。FM雑誌もよく利用しましたね。
番組案内はもちろん、こちらもレコード紹介、オーディオの記事を丹念に読んでいた記憶があります。そして付録のカセットのジャケット図案を、切り抜いて録音したテープのケースに使ってました。
ロックの名盤カタログ、私の部屋に比べると、かなりスッキリしたオーディオルームなのでどこかにまとめてしまわれているか、きれいさっぱり処分されてしまったのでしょうかね。
by 空兵 (2010-05-29 21:21) 

空兵

駅員3さん
こんばんは

所詮異国の音楽と言ってしまうとそれまでなんですが、
聞くだけなら、エキゾチシズムも手伝って、憧れを増幅させます。
クラシック、ピアニストの宮沢明子さんだったかが、みそ汁の日本人が
西洋音楽をすることの難しさをかなり冷徹におっしゃっていたような記憶があるのですが・・・違うかも知れません。
by 空兵 (2010-05-29 21:32) 

ベルベット

おはようございます。

私もしっかり世話になったSJ。
タワーレコード屋、USEDレコード店へ行く回数を益々
加速させてくれた本でした。
残念ですが、時代の流れとして受け止めるべきでしょう。
沢山の生徒や卒業生が居る事を出版社も再認識してくれると
良いと思います・・・。
by ベルベット (2010-05-30 08:41) 

FUCKINTOSH66

1977年という数字だけで心が躍ります♪
by FUCKINTOSH66 (2010-05-31 07:30) 

stone-9

「スイングジャーナル」には大変お世話になった一人です。
ジャズ関連の記事は勿論、
オーディオの記事も充実していたと思います。
無味乾燥なオープンデッキ・テープの外箱に、
切り取った写真を貼り付けていたのを思い出します。
by stone-9 (2010-05-31 10:10) 

kasumi

スイングジャーナルの休刊は大変残念でしたね。
私も、2008年8月から途絶えてしまいました。
1979年5月の臨時増刊「ジャズ・レコード百科’79」は、
表紙がキース・ジャレット、とくに1971年4月の臨時増刊、
創刊25周年記念の「世界ジャズ人名辞典」(表紙はサッチモ)は、
今でも、繰り返し愛読しています。ボロボロになっても大事にファイリングしています。
「季刊スイングジャーナル」として復活、はいいですね♪
by kasumi (2010-05-31 13:40) 

空兵

ベルベットさん
こんばんは

そうですね。
たくさんの読者と今まで培われた財産を持っているので、
それを今後の活動に活用して、古いジャズファンと新しいジャズファンを
もう一度、掘り起こして欲しいものですね。
そんなことはスイングジャーナルしかできないと思うのですが。
by 空兵 (2010-05-31 23:15) 

空兵

FUCKINTOSH66さん
こんばんは

1977年、私は26歳でしたが
F66さん、生まれた年でしたっけ?
by 空兵 (2010-05-31 23:17) 

空兵

stone-9 さん
こんばんは

皆さんお世話になっていますね。
確かにオーディオの記事もけっこう充実していた記憶があります。
それにしてもオープンリールとは凄いですね。
スイングジャーナルに載っていたミュージシャンの写真
素敵でしたね。
by 空兵 (2010-05-31 23:20) 

空兵

kasumiさん
こんばんは

スイングジャーナル、臨時増刊たくさん出していたんですね。
1971年版のジャズ人名辞典は凄いですね。
私のも、綴じがはずれてぼろぼろになってきています。
使用するのに困りませんが、散逸してしまわないように気をつけないといけないですね。

ブログ、一旦、閉じられるそうで残念です。
また、展望が開けたら、再開されることを楽しみにしています。
by 空兵 (2010-05-31 23:25) 

FUCKINTOSH66

F66、1977生まれですって言いたいところですが、そーすると10歳詐称することになってしまいま〜す(笑)1977年は俗に"パンク元年"とも言われた年で。その時期のことにはなんでも興味ありです♪
by FUCKINTOSH66 (2010-06-14 07:09) 

空兵

FUCKINTOSH66さん
こんばんは

お若く見えるので、ついさばを読んでしまいたくなりました(笑)
1977年はパンク元年でしたか。
日本では、ジュリーやピンクレディ、八代亜紀、山口百恵などが売れていた頃のようですね。
私は隠遁者みたいに古いジャズばかり聞いていたと思います。
by 空兵 (2010-06-14 20:25) 

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