「The Tokyo Concert」 [音楽（ジャズ）]
以前、このブログでビル・エバンスのコンサートに行った時のことを書いたら、ライブ盤が出ているとどなたかに教えていただきました。それでLPを捜したのですが上手く見つけられなかったので、新品で発売されているCDを購入しました。
エヴァンスが初来日した１９７３年、１月２０日、東京、芝の郵便貯金ホールでのコンサートの実況録音盤です。
「The Tokyo Concert」
英文の短いライナーノートがあるだけの素っ気ないアルバムと思ったら、「新・エヴァンスを聴け！」によると、日本でのコンサートライブ盤にもかかわらず、現在、輸入盤でしか手に入らないのだそうです。
私は、ビル・エバンスの生の演奏を聞いているのですが、その時はまだジャズを齧り初め、正直よくわかりませんでした。それでビル・エバンスと言えば、世間の例に漏れず「ワルツ・フォー・デビー」とか「ポートレート・イン・ジャズ」「Explorations」「Sunday at The Village Vanguard」あたりを聞いて作り上げた印象－－－繊細でロマンチックな演奏というイメージを持っていました。
ところが、このライブ盤を聞いてみると、それまで私が抱いていたエヴァンスの印象が少し違ったものになりました。演奏にパワーがあるんです。また、CDから聞こえてくる会場全体の雰囲気も、私の記憶と少し違って感じられました。
いきなりイソノテルヲ氏のアナウンスで始まります。すぐに割れんばかりの拍手が沸き起こります。この辺は、ライブの雰囲気満点です。そしてエバンスの一刻一刻を刻むようなピアノ音が「MORNIN'GLORY」を奏で始めます。
エバンスのピアノは透明で澄んでいます。エディ・ゴメスのベース、マーティ・モレロのドラム、どれもすぐ間近で聞いているような迫力と緊張感に溢れています。オンマイクの録音のせいでしょうか。そこからして同じライブとは言え、周囲の雑音が聞こえる「ワルツ・フォー・デビー」とは違います。
目をつむって聞いていると、照明を落としたステージに、ピアノに向かうビル・エヴァンスとベースを構えたエディ・ゴメス、ドラムセットの向こうにいるマーティ・モレロの姿が浮かび上がってきます。
聞き終わってから、英文のライナーノートをわかりもせず見ていました。そこにこんな風にクレジットされている文章がありました。
Recorded in perfomance at Yubin Chokin Hall，Tokyo，Japan；January ２０，１９７３． あれっと思いました。１９７３年１月２０日？私が行った日は、１９７３年３月１７日です。
首をかしげました。そのときのパンフレットを見ても１月２０日の公演は載っていません。エヴァンスは３月４日、東京・郵便貯金ホールを皮切りに、３月２７日まで計２０回の公演を行っています。同じ年の二ヶ月後に、追加公演をしたのでしょうか。ちょっと考えられない話です。
ネットで調べても古すぎて、情報がありません。ただどのデーターを見ても、「The Tokyo Concert」の録音は、１９７３年の１月２０日の郵便貯金ホールで間違いなさそうです。となると私の記憶が違っていることになります。もう一度、じっくり調べてみました。
その結果、分かったのは私がまたしても勘違いしていたことでした。私が行ったコンサートは翌年の１９７４年だったのです。どうやらビル・エバンス、初来日が評判良かったので２年続けて来日したようです。
なぜこんな間違いが起こったかというと、一番の理由は、今では考えられないことなのでしょうが、当時のチケットにもパンフレットにも、日付は入っているのにどこをどう探しても年度が入っていないのです。
世間の情報も、初来日は話題になっても、２年目のコンサートまでは話題に上らないので、気づけなかったのだと思います。
相当の人気のようで、
「ビル エヴァンス」のレコードはネット買おうとしても、
すぐに売れてしまっていまだに手に入れられません。
でも、レコードに拘ってみます。＾＾
by たいへー (2010-07-31 08:01)
たいへーさん
こんばんは
エヴァンスのレコード、「ワルツ・フォー・デビー」あたりだと、中古も結構ありそうですし、リメイクされた重量盤なんかも出ているみたいです。
「ライブ・イン・トーキョー」も粘り強く探せば、出てくるのかもしれませんがとりあえず早く聞きたかったので、新品で買えるCDを選びました。
レコード見つけたら、聴き比べしてみたいものです。
by 空兵 (2010-07-31 21:42)
７３年だったか、それよりも後だったか判りませんが、ビル・エヴァンスが
FM放送に出演し演奏したのを聴いた記憶があります。
とても強いクリアーなタッチの音で、それまでに聴いたことの無い
すばらしいものでしたが、その当時はヴィレッジヴァンガードのレコード
も聴いたことも無く、ビル・エヴァンスはとっつきにくい存在でした。
今となっては、あの放送を録音しておいたら良かったのに・・・と思いますが。
by ピカテントロプス (2010-08-01 00:27)
当時のパンフやチケットには西暦とかが記されてないん
ですか? 私が持ってる80年代以降のウドー主催のチケット
には、西暦が入っていた様な記憶があります? あまり定か
ではありませんがね＾＾;
by yukky_z (2010-08-01 02:13)
nice押し逃げ失礼します。
後日ゆっくり拝見させていただきます。
by 駅員3 (2010-08-01 07:26)
ピカテントロプスさん
こんばんは
ＦＭの番組、私も聞いたかも知れませんが記憶がありません。
知っていれば、エアチェックしたと思うのですが。
この「ライブ・イン・トーキョー」のエバンスのピアノも強くてクリアーです。
そのことに今更ながら驚きました。
知的でクールな印象ですが、内には情熱を秘めた人だったのだと思います。
by 空兵 (2010-08-01 22:40)
yukky_zさん
こんばんは
私が行っているコンサートは、１９７０年代中頃に集中しているのですが、この内のほとんどのパンフ、チラシ、チケットに年度が入ってませんね。
稀に、チケットに押されるスタンプ、ゴム印の日付が読み取れるものがあります。
by 空兵 (2010-08-01 22:48)
駅員３さん
こんばんは
お忙しい中、ご訪問＆ｎｉｃｅありがとうございます。
私もｎｉｃｅで済ましてしまっていることが多いので
気になさらないでください。
by 空兵 (2010-08-01 22:49)
そういう勘違いってありますよねぇ。私もこないだ85'に観たと思い込んでいたライブが実は83'だったってことがわかり、2年も違っていた自分の記憶の曖昧さにちょっと凹みました。
同じアーティストでも音源とライブでは全然違ったりもしますよね。個人的にはライブでこそ本来の演奏が聴けるような気がします。
by FUCKINTOSH66 (2010-08-02 03:36)
こんにちは。
ビルエバンス聴きたいと思いながら良い出会いが
なかなか無いです・・・（涙）
その代わりといってはですが、ミンガスの直立猿人にnice!プライス
で出会ったので即買いです。（笑）
未だ、聴いてないんですが・・・（苦笑）
by Studio-Oz (2010-08-02 12:45)
FUCKINTOSH66さん
こんばんは
私の場合、１９７３年がビル・エバンスの初来日と知らなかったので、知ったときは驚き嬉しかったのですが、その一年後、２度目の来日とわかったときは、ちょっとがっくし。何となくインパクトの欠けると言うか、話題性が。
もちろん生の演奏を聞いたことの価値が変わるわけではないのですが。
ライブにはその臨場感、音のやわらかさ、プレーヤーと観客との一体感など、得難いものがありますね。
by 空兵 (2010-08-02 22:55)
Studio-Ozさん
こんばんは
ビル・エバンス
聞かれたらきっと気に入られると思いますよ。
ミンガスの「直立猿人」、私もＣＤ持っているのですが
怒れるミンガスが怖くて、あんまり聞いていないです。
by 空兵 (2010-08-02 23:02)
今は芝メルパルクホールとなっているのが郵便貯金ホールですね。
昔は厚生年金会館、〇〇公会堂とか呼びやすくわかり易いと思うのは私だけ＾＾？
以前の来日公演記事＝ビル・エバンスで思い出しました。
by クンツ (2010-08-04 21:16)
クンツさん
こんばんは
郵便貯金ホール、今ではそんな名前になっているのですか。
舌をかみそうですし、第一覚えられないですね。
アイドルなどのコンサートでも有名だった中野サンプラザがかつて正式名称「青少年育成・・・」という堅苦しい名前でこれは、サンプラザの方がずっと親しみやすかったですね。
by 空兵 (2010-08-04 22:33)