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シュアーV15typeⅢ [オーディオ]

 今年も、例年通り8月8日にお墓参りが営まれ、13.14.15日のお盆には、お精霊(しょうらい)さんをお迎えしました。そして今日はもう8月20日、例年ですとお盆も過ぎて、日中はともかく朝晩は少し暑さも和らいで来る頃なのですが、今年はどうも例年とはパターンが違うようです。残暑と言うより猛暑がいつまでも続いて、本当に嫌になるくらい暑い毎日です。

 

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 そんな暑い中でも、DENONのレコードプレーヤーDP-57Lが修理から戻ってくるのを待つのは、楽しみと言えば楽しみなのですが、今ひとつもの足りません。よく考えると帰ってきても外見上何も変わず、何か機能が良くなったり音が良くなるわけでもありません。もともとあったオートリフトアップ機構が、まともに働くようになって帰ってくるだけです。

 それだけでは面白くないというか、楽しみがないような気がして、このところしばらく固定していたオーディオシステムを、久々に動かしてみたくなりました。と言っても、お金が潤沢にあるわけではないので、少しの投資で効果がわりとはっきり目に見えるカートリッジ交換をしてみようかと思います。

 カートリッジと言えば、オーディオ再開してからは、すっかりMCカートリッジの魅力に嵌って、MR-411にはDENONのモノラルカートリッジDL-102、DP-57Lの方には、落札したとき付いていた針折れDL-103LCⅡの針を交換して使っています。今日まで、この組み合わせでいちおう満足して来ました。

 今回ちょっと浮気をしてみたくなったのは、DL-103LCⅡの方です。昔から憧れていて、未だ聞いたことがないカートリッジとして、オルトフォンのMCカートリッジと、MMカートリッジの雄、シュアーV15typeⅢがあります。

 

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 1970年代、オーディオ華やかなりし頃、MMカートリッジの中でも、シュアーV15typeⅢの人気は相当なものでした。それこそ猫も杓子もと言った感じで、雑誌などのオーディオコーナーに出てくるオーディオ評論家のほとんどはこれを持っいて、それで何でも論評するものですから、私たちの購買心理を煽りました。

 当時実売3万円から3万5,000円ほどしました。なにせ、マイクロのプレーヤーMR-411が一ヶ月の給料分に近い4・5万円ほどした時代です。カートリッジ一つにそれだけのお金は出せませんでした。

 シュアーは他に、M44、M75、M90など型番が違うカートリッジをいくつか出していました。私はプレーヤ付属のカートリッジに飽きると、一番安いM44Gを買って、ジャズ向きのガッツのある音に満足していました。

 今回この機会に急に聞いてみたくなって、ヤフオクで捜してみました。もちろん中古しかないのですが、さすがに今でも人気があるようで、登場してくると必ず1万5千円前後の値段を付けて落札されています。

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 ただ、他の方のブログの記事や、オークションの宣伝文句を見ていると、ほとんどがV15typeⅢはジャズ向きカートリッジの代表としているので、私は少し首をかしげました。

 私は長い間、V15typeⅢはクラシック向きだと思っていました。私の記憶では、カラヤンの演奏などをこのカートリッジで聞いて、批評していた記事が多かったように思います。V15typeⅢは華やかで繊細、一方少々荒っぽいけれど元気なのがM44Gではなかったのかと思うのですが。

 また「ジャズ日本列島」を引っ張り出してみました。この本には、全国のジャズ喫茶情報が載っていて、オーディオシステムも掲載されています。さすがにシュアーを使っているところ多いですね。中でも圧倒的にV15typeⅢが多いです。あの村上春樹さんの「ピーターキャット」もそうでした。

 と言うことは、私の記憶違いだったのでしょうか。そう言えば、私、シュアーを長い間、シェアーと勘違いして覚えていました。

 

DSC_1477.JPG オルトフォンの電子針圧計DS-1

 

 プレーヤーが修理を終えて帰ってくると同時に、ヤフオクで落札したV15typeⅢが届きました。久し振りのカートリッジ交換です。さっそく取り付けてみたいところですが、今回シェル付きではなかったので、まずシェルの取り付けからです。

DSC_1473.JPG  とりあえず余っているオーディオテクニカのシェルに付けてみました。

 ひどい近視のうえに老眼です。もともと細かい作業が苦手で、一時期この手間が嫌でシェル付きのオーディオテクニカのカートリッジを使っていたことがあるくらいです。

 経験がある方ならおわかりと思いますが、細いリード線の取り付けに難儀します。今まで何本も駄目にしています。

 ただ、今回久し振りにやってみるとこれがなかなか楽しい作業でした。何か機械いじりやプラモデルを作っているみたいで、ちょっとこの雰囲気嵌りそうです。

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 落札してから知ったのですが、シュアーV15typeⅢと言っても、いくつかバージョンがあるらしいです。とくに銘板の文字が白文字タイプが初期型で人気が高いそうです。

 ちなみに私が落札したのは、黄色文字でした。

 

 

 いちいち真空管アンプを立ちあげるのは面倒なので、カートリッジ交換作業と聞き比べは、トランジスタアンプYAMAHAAX-1200とDP-57Lで進めることにしました。DL-103LCⅡをはずし、アームにV15typeⅢを取り付けて、オルトフォンの針圧計で調整します。

 レコード盤の上に針をおろして初めて聞いた感想は、あれ、こんなものかなぁでした。思ったほど音が前に出てこなくて、期待していたメリハリや華やかさが感じられません。どちらかというと、寝ぼけた音に聞こえるのは、私の耳がMCに慣れてしまっているからでしょうか。名声があまりに高く、約40年来の憧れのカートリッジであるだけに、期待が大きすぎたのでしょうか。

 試しにもう一度、DL-103LCⅡに付け替えてみました。こちらはやはりMC独特の音がしますね。なんと言ったらいいのか、粘りのある濃い音とでも言うのでしょうか。

 ついでに、MR-411から、DL-102をはずして、DP-57Lのアームに付け替えてみました。もちろん、こういう作業、いちいち針圧を計り直さないといけません。面倒と言えば、面倒、楽しいと言えばまた楽しい作業です。

 トランジスタアンプで聞いてもDL-102の太い厚みのある音は健在でした。V15typeⅢの音を確かめているのに、図らずもDL-102の実力を再確認してしまいました。

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 話をV15typeⅢに戻します。MMとMCの違い、あるいはレコードとの相性などもあるのでしょうが、それにしてもこんなはずはないと思うくらいぱっとしません。それで、カートリッジから針を抜き差ししてみたり、端子を磨いてみたり、針圧を測りなおしてみたり、色々し試してみました。

 そのせいか、あるいは私が慣れたのか、機器が慣れてきたのか、その後聴きこんでいくに連れ、だんだんこのカートリッジの本来の味わいがわかってくるようになってきました。

 一見、あっさりして聞こえますが、よく耳を澄ますとかなり表情豊かに鳴っていることがわかります。けっして音の太さや勢いだけで聞かせるのではなく、一つ一つの楽器の音を繊細に丹念に聞かせてくれます。そして何より音楽の表現が上手で豊かです。楽しいところはより楽しく、悲しいところはより悲しく・・・

 そういう意味でも、私が今回使った機器によるのかもしれませんが、シュアーV15typeⅢは、ジャズよりクラシックに向いているような気がするのですが、どうなんでしょうか。

 ジャズでも小編成のコンボ、パワーや迫力ではなく演奏スタイルで聞かせるような組み合わせには合います。たとえば、カウント・ベイシー&カンサス・シティ・セヴン 、各ソロ楽器の表現がすばらしかったですね。ジャズでもクラシックでも楽器の立ち上がり、ふっとした空気感のようなものまで感じさせてくれるときがあります。音楽をより魅力的に聞かせてくれるというのでしょうか。

 このカートリッジには、何種類かの交換針があり、それぞれ音の違いがあるそうです。針を交換したときは、またどんな違った表情を見せてくれるのか、楽しみでもあります。



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しばちゃん2cv

その昔、ジョー○ン電気でMMとMCカートリッジの違いを聞いたら、店員さんが3人そろって、あたふたされていました。
by しばちゃん2cv (2010-08-20 23:28) 

yukky_z

私はやっぱ[DL-102とDL-103]が好きです!
つまらないコメでホントすみませ~ん^^;
by yukky_z (2010-08-20 23:51) 

y-tanaka

昔はカートリッジにもお金使ってましたね、
今は一番安いM44Gしか持ってません。
by y-tanaka (2010-08-21 05:54) 

stone-9

私がプレーヤーで音楽を聴いていたのは、70年代初め頃まででしょうか。
たいしたシステムではなかったので、カートリッジは1万円以内でしたね。

10年位前にプレーヤーを衝動買いした時、M44-7にしたのですが
外箱が残っていて1万1千円の定価、プライス5千円でした。(笑)
今は聴けない状態ですが、涼しくなったら繋げてみようと思います。
by stone-9 (2010-08-21 07:27) 

たいへー

噂に聞く名機・・・らしいですね。
カートリッジもしばらく使っていなければ、
本来の音が出ないと聞いたことがあります。
中古品でも「ならし」が必要みたいですよ。
まあ、自分の感性を信じましょう。
人がなんと言おうと、良いではありませんか。^^
by たいへー (2010-08-21 08:14) 

駅員3

中高生の頃はオーディオに憧れたものです。
今日の記事を拝見して、10代の頃を懐かしく思い出しました[ぴかぴか(新しい)]
オーディオも生き物ですね[ひらめき]
聞いているうちに、そして使っているうちに、進化していきます[わーい(嬉しい顔)][ハートたち(複数ハート)]
by 駅員3 (2010-08-21 09:21) 

ベルベット

お久しぶりです。

早速拝読させていただきました。
カートリッジによる音の違いは知識なしの
私に、把握しておりませんでした。
それなりにコストを掛けると、音も変わりますね・・・。
スピーカーばかり追いかける自分でした。

私は74年式のpioneerを使用しています。


by ベルベット (2010-08-21 12:57) 

空兵

しばちゃん2cvさん
こんにちは

今日も暑かったですね。
MCとMMどころか、わが家のこども(成人)たちは
レコードを見たことがない、なんて言ってます。
レコードプレーヤーにUSB端子が付いている時代ですからね。
そっちの説明なら店員さんできたかも知れませんね。
by 空兵 (2010-08-21 17:42) 

空兵

yukky_zさん
こんにちは

いいえ、貴重なご意見だと思います。
私も、すっかりそれで安定しておりましたが
つい、浮気心、
かえってDL-102の良さを再確認できました。
by 空兵 (2010-08-21 17:45) 

空兵

y-tanakaさん
こんにちは

かつてはいろんなカートリッジを持っておられたのでしょうね。
私は、安ものばかり数点持っていましたが、
紛失したり、針が折れたり、ちゃんと再生出来ないものが多いです。
M44Gはガッツがあってわかりやすいカートリッジですよね。
5.60年代のジャズにはぴったりという気がします。
by 空兵 (2010-08-21 17:48) 

空兵

stone-9さん
こんばんは

私がオーディオに嵌りかけた頃と入れ替わりですね。
私もずっと、1万円前後でした。
最近、ようやくDENONのMCが持てるようになりました。
それでもトランスは中古なんですが。
涼しくなったら、ぜひトライしてみて下さい。
秋に聞く音楽はまた格別な気がします。
by 空兵 (2010-08-21 17:52) 

空兵

たいへーさん
こんにちは

やはり、中古にも「ならし」が必要なんですね。
それで少し安心しました。
まオーディオはご存知の通り、
いろんなファクターの組み合わせですからね。
なかなか、いつもビシッとは行かないですね。
マニアになるとレコードごとにカートリッジを変えるそうです。
わかる気もしますが、出来そうにありません。

by 空兵 (2010-08-21 17:56) 

空兵

駅員3さん
こんにちは

10代の頃から、オーディオの世界があったとは
時代が違いますね。
私は20代の頃、カートリッジ交換などを齧りかけて
それっきりになっていました。
60歳手前にして、20代の趣味への先祖返りですかね。
by 空兵 (2010-08-21 18:01) 

空兵

ベルベットさん
こんにちは

お久しぶりです。
基本はやはりスピーカーの違いが大きいと思いますが、
そういつもスピーカー変えられませんし、
カートリッジ交換、比較的手軽ですよね。
相性で、スピーカーとカートリッジが上手く組み合わされると
凄い世界が広がりそうな気がします。
by 空兵 (2010-08-21 18:04) 

かずのこ

シュアーV15typeⅢ 久しぶりにその名を聞きました。
10代の頃、いつかは手に入れたいと、必死で雑誌を読んでいた頃を思い出します^^;
by かずのこ (2010-08-22 09:44) 

プリウス

こんばんは、プリウスです。
福島も暑い日が続いておりますが、朝晩は涼しい風もちらほらと。
以前から気になっていたV15typeⅢ、私も最近入手しましが、
やはり最初は??音でした、でも暫く使ってジャズによく合うと思いました。
シェルやアームとの相性がありますので色々試すのもオーディオの
醍醐味ですね。軽量シェルと組み合わせで良く響くようになりましたが、
好みもありますので。
PS
空兵さんの紹介からずっと気になっていた、コントロール1ですが、
片方ツィーター故障品を無料で頂き修理、小柄ながらかなり元気良い音で
すっかり気に入りました。


by プリウス (2010-08-22 18:26) 

空兵

かずのこさん
こんばんは

昔、オーディオで遊んだ人は、
知らない人はいないのじゃないかと思うほど
有名なカートリッジですね。
憧れのシステムを前に、評論家たちがV15typⅢでレコードを聞いて
評論しているのを読むと、いつかはと思ったものでした。
by 空兵 (2010-08-22 22:17) 

空兵

プリウスさん
こんばんは

プリウスさんもよく似た体験をされているのですね。
伝説のカートリッジ、
自分の中のイメージが膨らみすぎているのでしょうね。
私もジャズ、少しずつ会うように思えてきましたが、
「太くてガッツのある音」などと聞くと
やはり?ですね。
アームはストレートアームくらいしか交換できませんが
シェルはいくつかあるので、組み合わせ考えてみたいと思います。
中古で買ったので、針のせいもあるかなとも思ってます。
コントロール1は新品で買ってもJBLの中ではかなりリーズナブル
音は軽快で気持ちいいですよね。
by 空兵 (2010-08-22 22:25) 

Studio-Oz

こんばんは。

やはり針等により音が変わるんですね!
興味はあるのですが機械もののメンテに弱くて・・・(苦笑)
機械物は大好きなんですが・・・(笑)
by Studio-Oz (2010-08-24 01:06) 

空兵

Studio-Ozさん
こんばんは

アナログは、どこかいじると音が変わるようです。
またいじるカ所も無数にある気がします。
私も機械もの、電気もの苦手です。
基礎が出来ていないので、部分的に教わっても
応用が利きません。
by 空兵 (2010-08-24 20:07) 

coregar

SHURE V15 TypeⅢ たいへん懐かしいです。
当時のもっとも有名なリファレンス・カートリッジなので、とにかく聴いてみたくて欲しかったのですが、TypeⅣが出ても値段が下がらなかったので、値段のこなれた並行輸入品のEMPIRE 4000D/Iを購入しました。
by coregar (2010-08-31 07:22) 

そらへい

coregarさん
こんばんは

本当に有名すぎるカートリッジでしたね。
でも、持っているのは評論家ばかりで、聞いたことがなくて
よけい憧れが増しました。
EMPIRE 4000D/I、聞いたことがありませんが
ジャズ向きの良い音がしたのではないでしょうか。
by そらへい (2010-08-31 21:19) 

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