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獅子舞 [日々]

 今日は音楽の記事のつもりでしたが、急遽予定変更になりました。先日、獅子舞がわが集落にやってきたので、ちょっとご報告します。このブログでは一度も掲載したことがありません。当ブログ、音楽離れがはなはだしいこのごろですが、獅子舞の笛と太鼓の音に免じて、お付き合いをお願いします。

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 毎年、私たちのところへは1月の今頃やって来ますが、あまり快晴の記憶がありません。冬空がどんより垂れ込めた寒い日、下手をすると雪が舞っていることもあります。

 獅子舞といえばお正月と思っていたのですが、地方によっては桜の季節や夏にも獅子舞が訪れると聞いて驚きました。伊勢神楽の人たちは、冬だけでなく、年中旅をして回っているのだそうです。 

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 一軒一軒門付けして回ります。一般的には、玄関で舞、台所で厄払いをするのか剣を振ります。小さい子供がいる家では、おなじみの頭を噛むしぐさをしてくれます。舞い自体は、ものの2.3分あるかどうか。

 心づけをはずむ家では、舞う時間が長くなります。祝い事などがある家は、例年より多めに包みます。金額によって二頭で舞ったり、漫才などをしたりします。

 

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 ちょうど下校時間と重なって、小学生の子供たちが珍しそうに振り返りながら通り過ぎて行きますが立ち止まる子はいません。そんな中、一人だけ引き換えして見に来る女の子がいました。私たちの集落でも増えている外国人の小学生でした。

 今の子供たちにとっては、獅子舞はちょっと振り返る程度の存在ですが、私が子どもの頃、獅子舞は一年でも大きなイベントのひとつでした。学校が引けるとランドセルを家に置くのももどかしく、獅子舞の後を追ったものです。

 もっとも私たち子どものおおかたの目当ては、獅子舞と一緒にリヤカーを引いているホッカイヤというおもちゃ屋さんでした。駄菓子や人形、セルロイドの面とか、ラムネ(ビー玉)、メンコ、2B弾、エンシュウ入りのピストル、銀玉ピストル・・・お年玉でそれらを買うのが楽しみでした。

 獅子舞が漫才や女形(おやま)道中をすると、そちらに行って見物し、見飽きるとホッカイヤの店先を物色すると言うことを繰り返して、いつの間にやら隣の集落まで付いていったことがありました。

獅子舞6.jpg女形道中1

獅子舞10-1.jpg女形道中2

 昔は女形道中をする家は決まっていたので、その家の周りには人だかりが出来ました。漫才をして笑わせたり、茶碗を重ねて頭上に積み上げたり、皿回しをしたり、大道芸のようなものでした。

 その頃は今ほど、車通りがなかったので道の真ん中でやってましたし、観衆は道端に円形に陣取って、ゆっくり見ることが出来ました。

 最後に二頭の獅子が舞い、格闘し、勝った獅子が、獅子頭をぱっと脱ぐと、中からおかめの面を被った人が振り袖姿で現れます。それは何度見ても楽しいうきうきする瞬間でした。どうしたらあんな風に変身するんだろうとまじめに思いました。


conv0004.jpg これは画像が少し古いですが、太鼓や鉦や笛などが入った小道具が積まれた獅子舞の荷車です。

 真ん中のぽっかり空いたところに使わないときは獅子頭をくるっと丸めてしまい込みます。引き出しの一つ一つが宝もの入れみたいに子どもの時は思えました。

 


 ひょっとすると、私たち田舎の子供の最初のヒーローはこの獅子舞だったのかもしれません。あのつやつやと漆が塗られた、獅子頭が欲しくて仕方なかったのを覚えています。伊勢などに旅行すると土産物に小型の獅子頭がありますが、本物とは作りも色も艶も比べ物になりません。

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 獅子のたてがみは、ところによって本当の白い毛を使っているところもありますが、私たちのところに来る獅子舞いのたてがみは、白い紙で出来ていました。顔つきもところにより違いがあるようで、私たちのところの獅子は、黒いねじりん棒のような眉です。また、関東では獅子の頭は小さく、関西は大きいのだそうです。

 最近は獅子舞の一行の人も減りましたし高齢化しているように思えます。なり手がないのかもしれません。獅子も、交互に一軒一軒を回って、淡々と舞っていくだけです。昔のように心付けをはずむ家が減りましたし、見物する人たちも減り、第一にゆっくり芸を見せる場所もなくなってきました。 

 獅子舞、少しずつ衰退していく風景ではありますが、私たちのところにとっては、彼らが訪れないとお正月が終わらないような気がします。 

 

 


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kurakichi

もう何百年も続いている芸能なのでしょうね。
良いものを見せていただきました。

by kurakichi (2011-01-22 00:57) 

たいへー

獅子舞をしない地域に住んでおりますので、
目の保養になりました。

by たいへー (2011-01-22 13:28) 

駅員3

確かに、東京で見る獅子舞は、獅子頭が小さいです[ひらめき]
そんな違いにいままで気がつきませんでした。
by 駅員3 (2011-01-22 15:32) 

い〜予感

遠~い記憶に、家の前で獅子が舞っていたのを見たような気がします。
そらへいさんの所は、今も実際やって来られるのですね。
純粋に羨ましいですーー!!


by い〜予感 (2011-01-22 16:50) 

そらへい

kurakichiさん
こんばんは

いつごろから始まったのか、天照皇大御神を祀っているみたいですね。
HPによると、国指定 重要無形民俗文化財なんですね。
いくつかの組に分かれて全国を回っているみたいです。
by そらへい (2011-01-22 17:28) 

そらへい

たいへーさん
こんばんは

獅子舞がない地域もあるのですね。
越後獅子も無いのでしょうか。
子供の頃からずっとあるので、東京暮らしの時も
よく思い出しました。
by そらへい (2011-01-22 17:31) 

そらへい

駅員3さん
こんばんは

東京で獅子舞は見たかどうか思い出せませんが
TVなどで見ると、越後獅子のような感じではなかったかと思います。
東日本は越後獅子、西日本は伊勢神楽では
大雑把でしょうかね。
by そらへい (2011-01-22 17:35) 

そらへい

い〜予感さん
こんばんは

京都も古い町屋の通りを
獅子舞が門付けして回っているのではないでしょうか。
私たちのところ以上に、似合うと思います。

by そらへい (2011-01-22 17:38) 

yukky_z

こんばんは~♪
ほう、獅子舞ですか! 幼少の頃、見た記憶があるだけです。
今でも見られるなんて、本当に素晴らしいことですね^^
[nice!]な記事に感謝します!!
by yukky_z (2011-01-22 21:52) 

そらへい

yukky_zさん
こんばんは

調べてみたら、この伊勢大神楽は一年かけて
近畿地方を回っているようです。
yukky_zさんは東京?
もう少し違う獅子舞だったかも知れませんね。

by そらへい (2011-01-23 20:46) 

しばちゃん2cv

こんばんは。
ひょっとこが一緒にまわるんですね。
こちらでは伊勢神宮の獅子舞が春にきます
by しばちゃん2cv (2011-01-23 20:50) 

そらへい

しばちゃん2cvさん
こんばんは

多分同じ獅子舞(伊勢大神楽)ではないかと思います。
ひょっとこではなくおかめですが、
これはたくさんの御祝儀があったときだけ
演じられる演目です。普段は獅子だけです。
by そらへい (2011-01-23 21:33) 

muzik

あ、いいなぁ。
私の小さい頃にはまだこういう風習が残っていたのですが
小学校に上がる頃には、後継者もいなくなって
なくなりました。
もっとも三河万歳と女形がセットとは初めて知りました。
神社祭祀の奉納芸だった、まさに神振りですね。
by muzik (2011-01-24 06:58) 

そらへい

muzikさん
こんばんは

舞と違って、曲芸や漫才などは放下芸というのだそうですが
どうも三河万歳とは違うようです。
私たちのところに回ってくるのは、伊勢大神楽講社というそうで
6組に分かれて主に近畿地方を一年かけて回っているようです。
国指定 重要無形民俗文化財だそうです。
なお、私たちのところでは女形(おやま)道中といってますが
HPには花魁道中とありました。
by そらへい (2011-01-24 20:21) 

himanaoyaji

私の小さい時(田舎)では、お祭りの時に子供が獅子舞で各家庭を
廻り、ご祝儀が子供の小遣いになっていました、
今ではその風習も無くなってると思います。
by himanaoyaji (2011-01-24 21:23) 

そらへい

himanaoyajiさん
こんばんは

いろいろな獅子舞の形があるんですね。
獅子舞かどうか忘れましたが、今でもそういう風習が残っているのを
いつだったかテレビでやってましたよ。
私たちのところでは、春祭り、神輿の時、子供たちが回ります。
夏休みの子ども会の旅行資金の一部になります。
by そらへい (2011-01-24 21:28) 

b.b.mk2

おもむきがありますね
うちの近くも正月明けに回ってきますがここまでの大所帯ではないです
大道芸やホッカイヤの思い出は楽しそうですね
人だかりが目に浮かんできます
こういう伝統文化はいつまでも続けて欲しいですよね
by b.b.mk2 (2011-01-24 23:29) 

パパボン

遠い記憶がよみがえりました。(約半世紀まえ)
実家の周りにも獅子舞が来ました・・・頭を噛んでもらったような?
父の実家の村では、そらへいさんの記事とよく似た行事が行われていました。
父は三男で町に住んでいましたが時々私を連れて実家に遊びに行き、「ひょっとこ」のお面をかぶってこのような行事に参加していたようです。
たぶん、わたしもその後を一日中着いてまわっていたのでしょう。
いつもお祭り気分でいられたら幸せでしょうね!(=^-^=)を見ててそう思います(笑い)。
by パパボン (2011-01-25 05:36) 

ヤスミチ

  そらへいさん こんにちは 
 今も獅子舞が来る地方があるのですネ
 初めて見ました。珍しいですネ 動画も見ました
 私が住んでいる「熊野神社」松明の祭りでも獅子舞が居ますが
 参拝客の頭を噛むだけです‥村を廻るなんて初めて見ました
  昔懐かしい、伝統芸能、何時までも残して居たいですネ
   写真が綺麗ですネ そらへいさんの写真は、何時も綺麗だと
  思っています。 負けないように勉強しなくてはと‥一眼レフですか         では また出て来ますけんで~
  
by ヤスミチ (2011-01-25 16:07) 

そらへい

b.b.mk2さん
こんばんは

子供の頃の楽しい思い出でしたね。
私たちのところでは一軒一軒門付けしていきますが、
場所によっては、神社の境内のようなところで、
舞や放下芸を披露することもあって、
そういうところではお店もいっぱい出ていてお祭りのようでした。
今は幼稚園とかで披露されることがあると聞いたことがあります。
by そらへい (2011-01-25 22:34) 

そらへい

パパボンさん
こんばんは

本当に半世紀前の思い出ですね。
その頃は、勉強もあまりしなくて、毎日今日は何をして遊ぶかが
大事なテーマ、獅子舞が来るとなると、お年玉を握り締めて
その日はお祭りみたいなものでした。
今の子はちょっと珍しそうに振り返るだけですが。
その頃は、お寺の露地に紙芝居も来ていましたね。
鐘を鳴らしながら、アイスキャンデー屋さんが
自転車でやってくる時代でしたね。

by そらへい (2011-01-25 22:39) 

そらへい

ヤスミチさん
こんばんは

九州には獅子舞ありそうに思ってましたが、違うんですね。
獅子舞が毎年訪れる地域は檀那場(だんなば)というそうで
一種の縄張りみたいになっているようです。
私たちの地域を回る太夫さんからは、毎年年賀状が届きます。
私たちのところは、お寺は、京都の影響が濃く、
神社関係は伊勢の影響が濃い地域のようです。



by そらへい (2011-01-25 22:45) 

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