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十二坊へ [自然]

 冬場の運動不足解消を兼ねて、山に登ってきました。と言っても、私は素人、kenさんのように本格的な山登りをする知識や体力は持ち合わせていません。選んだのは、標高わずか400メートルあまり、我が裏山とよく似た横に長くのびた丘のような山、十二坊(岩根山)です。

 十二坊と言う名前は、その昔、仏教徒の修験場が十二あったところから付いたのだそうです。それらの坊は、信長の焼き討ちにあって、今はほとんど残っていません。

 その日は、寒いけれど朝からよく晴れ上がっていました。車にカメラバッグを積み込んで出かけました。ところが、峠道の入り口に着くと、前々日に降った雪のせいで通行止めになっていました。

 山裾をぐるっと回って反対側へ行けば、車でも登れそうでしたが、麓の潰れたコンビニの駐車場が開いていたので、無断で車を止めて歩いて登ることにしました。

 

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 車の往来が無い車道は、広々と静まりかえっています。最初の橋を渡るところでさっそく、野鳥の声がかまびすしく聞こえて来ました。いつもなら騒々しく行き来する車に遠慮している野鳥たちも、今日は我が世の春とばかり、文字通り羽根を伸ばしています。

DSC_8479.JPG 小さな鳥影の群れ、そのにぎやかな囀りはメジロエナガの群れのようです。

DSC_8445.JPG ギーッ、ギーッと体つきに似合わない声を上げているのは、キツツキの仲間、コゲラです。 
 

 坂道は、乾いているところ、凍結しているところ、雪が残っているところなどが斑になっていて、とくに凍結しているところは何度か足をすくわれそうになりました。靴は濡れるけれど、雪の上を歩いた方が良さそうです。

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 足下に気をつけながら、回りの木々を見上げ、野鳥たちの囀りや姿を追いかけていると、登るスピードがいっこうに上がりませんが、息も上がりません。 

 鳥の声しか聞こえない静かな山道でしたが、突然、前方から自転車が坂を下って来て驚きました。サングラスをした中年の男性です。どうしてこの坂を上がったのでしょう。そして、なぜ凍結して滑りやすいこの坂道を自転車で下っているのでしょう。

 背後からはリュックを担いだグループが上がってきました。こんな日に、山登りする人が私以外にもいるようです。彼らは私と違ってきちんとした登山やハイキングの格好をしていました。私より少し年上らしい男二人女二人のグループでした。

 彼らをやり過ごすために、わざと念入りに鳥を捜します。

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DSC_8692.JPG おかげで、どこにでもいるカワラヒワ、久しぶりに撮りました。

 峠には市営の温泉があって、反対側の道からは車でも登れるようです。こんな日でもお天気がよいせいか、数台の車が駐車場に止まっていました。

 

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 私は、温泉の手前で車一台が通れるほどの脇道に入りました。入り口にはチェーンが張られていて、車は進入できなくなっています。残った雪の上にある車の轍は、たぶん管理用の車の跡だと思います。

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 道は狭く曲がりくねっていて、そのたびに、乾いた道と雪に覆われた道が交互に現れます。ところによっては道路全体が雪で深く覆われているところがあったりしました。

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 ただ、不思議なのは、こんなところにも、車の轍、人の足跡に混じって自転車の細いタイヤの跡があることです。誰がこんなところで自転車乗り回しているのでしょう。

 細い山道に入ってからも傾斜は比較的なだらかで、わが裏山よりずっと楽でした。出来ればアスファルトの林道ではなく、土の山道にも分け入りたかったのですが、すっかり雪に埋もれていて、人の足跡も見えません。

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 迷うのは嫌ですし、装備も普通のジャンパーにジーンズ、運動靴と言う出で立ちなので、歩きやすいアスファルト道を行くことにしました。

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 大きい道から、この狭い山道に入って、すっかり鳥の声が聞こえなくなったような気がしていました。たまに聞こえるのは、ヒヨドリのうるさい鳴き声ばかりです。

 

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 頂上付近にはあずまやも用意されています。入って少し休もうかと思ったのですが、雪が吹き込んでいて、椅子もテーブルも白いクロスを敷いたみたいに雪が積もっています。

 

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 あずまやを過ぎたあたりから少し傾斜が強くなって、ちょっと苦しいかなと思っていたらもう頂上でした。展望が開けた麓の街は雪が残って白いです。

 頂上の広場の禿げた一角に、あとから調べると三角点があるらしいのですが、私を追い越していった四人組がちょうど昼食を取っていたので遠慮しました。

DSC_8902.JPG 頂上の反対側に、何基ものアンテナ塔が立っています。

DSC_8921.JPG 上の写真の塔にはツーカーホンの標識がありました。懐かしいですね。今はauでしょうか。NHKのテレビ塔と県内唯一の民放局びわこ放送のテレビ塔もあり、全部で5.6基あるようです。

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 頂上付近にある展望台から撮りました。鳥見用の300ミリ望遠で撮ると、かすかに琵琶湖が見渡せます。

 

DSC_8971.JPG その近くにあった公私境界の杭です。私たちも集落の山の境界の杭打ち、役に当たった年には行きます。

 来るときに、コンビニに寄ってお茶とあんパンを買うつもりだったのに忘れて上がってしまいました。もうお昼を過ぎています。これ以上ゆっくりしていると昼飯の時間がかなり遅くなってしまうので、降りようとしたら鳥影が呼び止めました。

DSC_8948.JPG ジョウビタキ雌

 

DSC_9080-1.JPG ヤマガラ

DSC_9096.JPG アオジ

 いずれも低山にいる平凡な鳥たちですが、今年はあまり撮れていないので、来た甲斐があった気がしました。あとカシラダカやホオジロ、ツグミなども見かけましたが、撮り損ないました。

 鳥を追っかけていると時間があっという間に経ってしまいます。昼飯の時間がどんどん遅くなるので、適当なところで切り上げて降りることにしました。

 車のあるところへ行くには、来た道を戻らないといけないことになりますが、帰りは別のルートを歩きたいのが人情です。かといって、全く反対側に降りてしまったら、徒歩でかなりの距離を迂回しなくてはいけません。

 とりあえず、当てずっぽうで来た道と違う道を下っていったら、途中で分岐点があり、案内板によるとそこを右に行くと車のある麓の近くに降りられそうです。

 

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 幅の広いゆったりした道でした。待避所などと大手建設会社の名前が入った看板が立っています。鉄塔の作業などに用いられる大型のトラックなどが通行する道のようです。

 面白いことに、その道に残った雪の上にも、一本だけ、自転車の細い轍がありました。車のタイヤの跡はなく、人の足跡もあまり気にならなかったのに、自転車の跡だけが妙に気になりました。

 

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DSC_9152.JPG  

 全部で5時間ほど歩いたでしょうか。歩行距離や歩数、消費カロリーから経路、高低差などまで教えてくれるスマホのアプリ、SmartTrainingをONにしておかなかったのは残念でした。

 麓に降りて駐車場に向かうとき、方角を間違えて反対方向に歩いたせいでさらに30分ほどロスしました。すっかり昼飯の時間が過ぎてしまって、強い空腹感に押されて、結局いつもよりたくさん食べてしまいました。


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something

そらへいさん

こんばんは。お近くにちょっと小高い山が在るとプチ登山が楽しめていいですね。しかも野鳥の影えを追いつつ登るのは興味が一層増すでしょうね。

鳥たちの写真も素晴らしく良く撮れていますが、それより、そらへいさんが野鳥の名前をあまりによくご存知なので感心しております。

カメラも素晴らしいのでしょうが、何と言ってもそらへいさんの技術とセンスで、今回の日記も楽しまさせて頂きました。

私もちょっとですがコンデジで冬景色を撮ったりしてますが、根がモノグサなので、なかなか絶好のシャッターチャンスにお目にかかれません。もう少し外出する癖をつけようかな、と思いました。
by something (2012-03-02 20:54) 

something

すみません、書き忘れましたが、明晩11時からJAZZ TONIGHTにヘレンメリルがゲスト出演するらしいですよ。

by something (2012-03-02 21:02) 

そらへい

somethingさん
こんばんは

これから低い山を目指して、いろいろ登ってみようかと思っていますが
暖かくなってくると何かと忙しくなるので、どこまで出来るか。

野鳥も、冬場は木々が葉を落として見つけやすいのですが、
これから葉が茂ってくると難しくなります。
写真は50過ぎの手習いで、全くの下手の横好きです。
野鳥は、以前はスズメとカラスしか知りませんでしたが、デジカメで追っかけ、図鑑を見比べているうち、肉眼で見ても見当が付けられるようになってきたのは不思議です。

これから暖かくなってくるのでsomethingもカメラを持ってでかけられると
いろいろな発見があるかも知れませんね。

JAZZ TONIGHTの情報ありがとうございます。NHKFMですね。是非聞いてみたいと思います。


by そらへい (2012-03-02 22:03) 

b.b.mk2

そらへいさん、こんばんは
十二坊、不思議な名前ですね。ゆったりとしたいいお出かけでした。三寒四温っていうんでしょうか。暖かくなったり寒くなったり、晴れたり曇ったり降ったりと、気候にシェイクされているような気分になります。油断してると風邪をひいちゃいそうですよね。この度のそらへいさんのお出かけからも、そんなクロスオーバーな様子が伝わってきました。たっぷりの残雪に春の訪れを喜ぶ鳥たち、クリアな琵琶湖景色からは、まだ冷たそうな空気を感じましたが、爽やかな青空は春を思わせてくれますね。
いよいよ春なんですねぇ~。
4/1付で神戸駅前に異動になるのですが、いよいよ職場でもオープンにされました。今月はアルコールが増えそうです。
by b.b.mk2 (2012-03-02 22:50) 

sigedonn

こんばんは。
いろんな意味で、羨望です。
春が恋しい。
by sigedonn (2012-03-02 23:38) 

ski

寒そうですが、見かけられない鳥ばかりきれいに撮れてますね。

by ski (2012-03-03 00:46) 

song4u

野鳥たちの愛らしい姿に、そらへいさんの身体が思わず動いた・・・
そんなところなのでしょうか?
いずれにしても、クルマを停めて雪道を登る決断をするのに、ほとんど
時間を要していないところを見ると、想定内だったのでしょうか?

それにしても、すごいなあ。
ぼくなんか、そらへいさんよりも若いのに全然ダメですよ。
根性なしですから。^^;
by song4u (2012-03-03 01:05) 

cafelamama

野鳥の写真を撮りながら、山を登るそらへいさん。
雪道に残る一本の自転車の轍。
妙に気になる映像です。
なぜ、こんな山道を自転車で登って行ったのか?
鳥を追いかけていくうちに
いつのまにかミステリーに巻き込まれていくそらへいさんを
想像してしまいました。
by cafelamama (2012-03-03 06:24) 

たいへー

この雪の中、修行などしたくない私であります。^^;
窓から雪景色を見ながら音楽鑑賞なら、いいですが・・・
by たいへー (2012-03-03 11:19) 

そらへい

b.b.mk2さん
こんにちは

この日は、まだ影は冷たかったのですが、その後雨が降ったりして
今日はまさしく春を思わせる暖かさですね。
親戚の法事のため、出かけることが出来ませんでしたが
途中通った河川敷の公園には大勢の人影が見えました。
新しい春、入学や就職とともに、職場によっては異動のある季節なんですね。
わざわざ山に登らなくても、人の道も山あり谷ありですね。
私には丘のような低い山で十分です。


by そらへい (2012-03-03 16:23) 

そらへい

sigedonnさん
こんにちは

私たちでも春が待ち遠しいこの頃、北の国ではよけいだと思います。
こちらでは最近、ようやく春を感じさせる日が増えてきました。
とくに今日は穏やかで暖かな日和です。

by そらへい (2012-03-03 16:27) 

そらへい

skiさん
こんにちは

寒い時期には、山でおなじみの鳥たちなんです。
最近は肉眼でも見分けられるようになってきたのですが
いつも動き回ったり、カメラを構えると飛び立つので
写真に撮るのが難しいです。

by そらへい (2012-03-03 16:31) 

そらへい

song4uさん
こんにちは

この峠道が積雪や凍結で通行止めになることは聞いておりましたが
この日が通行止めというのは、行ってみて初めて知りました。
もともとこれくらいの山なら下から歩いて登りたいと思っていましたので
通行止めはもっけの幸いでした。
また車通りが無い道では、車に邪魔されず野鳥観察が出来るとふみました。

ハイキングのようなものなので、根性はいりませんでしたよ。
ほとんど管理用のアスファルト道を歩いたので、危険もありませんでした。
怪我だけ気をつけてます。
by そらへい (2012-03-03 16:42) 

そらへい

cafelamamaさん
こんにちは

自然を相手にしながら、いろいろなことが頭をよぎります。
古い思い出や、現在の仕事のこと、家族のこと...
また野鳥や花を追うときは、そのことに夢中になっている自分がいます。
謎の自転車の轍
ネットで調べると、このあたりをマウンテンバイクで走る
強者がいると書いてある記事を発見しました。
もっとも私が出会った中年男性はそんな風に見えませんでしたし
この轍がマウンテンバイクのものかどうかわかりませんが。
by そらへい (2012-03-03 16:49) 

そらへい

たいへーさん
こんにちは

ずいぶん暖かくなってきましたよ。
もっとも3月、春は行ったり来たりでしょうが。
修験場は信長が全部焼いてしまったので修行はなしです・・・
by そらへい (2012-03-03 16:52) 

ken

こんばんは、いや・・そんな本格的な山登りは今は若い時
みたいにはやってません、危なくない程度に山は登ってます。
若い時は岩に登ったり、藪をルートハンテングしながら傷だらけ
で登ったり、雪山も登ったりで
今は自分の体に調子をききながら登ってます。
低い里山の魅力てありますね、京都の北山も低い山で里と里
を結ぶ峠を登るという感じでとても好きです。
十二坊というんですね、うちの実家の近くに十二坊という寺があります
by ken (2012-03-03 18:24) 

プリウス

そらへいさん、こんばんは!!
ちょっとした冒険、、のようです。。。度胸無しの私は一人では怖くて登れません。

春近し、、なのでしょうか、、、、いや!カメラマンの腕が良いのですね!!
・・・小鳥が生き生きと写っていますよ。

by プリウス (2012-03-03 20:41) 

そらへい

kenさん
こんばんは

昔取った杵柄と言う奴で、ちょっとした山は軽々ですね。
やはり本格的経験があるのと無いとでは、違いますね。
私のは、ハイキング、かといって
今から本格的するには無理があるので、これくらいで
間尺に合っている気がしています。

まさしく里と里を繋ぐ峠という感じです。
山も横に寝そべったように長くて、
尾根づたいにどんどん歩いていけそうです。
by そらへい (2012-03-03 21:14) 

そらへい

プリウスさん
こんばんは

そうですね。山の奥に深く分け入っていくと
シンとして、ちょっと冒険という気がすることがあります。
でも、この日は、お天気も良くて、道も整備されているので
あまり冒険という気はしませんでした。
そろそろ春、近しですね。
by そらへい (2012-03-03 21:18) 

しばちゃん2cv

こんばんは。
湖南市でも雪が残ってますね。
実はすぐ近くの団地(水戸小学校の近く)に仕事でよく行きます。
水戸小学校東のサークルKで何度も昼飯たべてます
by しばちゃん2cv (2012-03-03 22:22) 

そらへい

しばちゃん2cvさん
こんばんは

このあたり、麓の平地に雪はなかったので
通行止めの標識を見たときは、しまったと思いましたね。
山の上から見た北側の平地には、雪が残っているように見えます。


by そらへい (2012-03-03 23:24) 

Studio-Oz

こんにちは

5時間コースとは歩きがいがありますね!
雪の残る山道、まだまだ寒さを感じます。
もう少し暖かくなったら我が家もチビを連れて近場の山へ
ハイキングへ行きたいなぁ~と思います。
by Studio-Oz (2012-03-05 12:21) 

そらへい

Studio-Ozさん
こんばんは

初めてのところで、しかも鳥を捜しながら
ゆっくりあがったせいか、あまり疲労感無かったです。
本当に、もっと暖かくなって、
家族でハイキング、ピクニックのお出かけ良いですね。

by そらへい (2012-03-05 20:29) 

駅員3

ご訪問がすっかり遅くなってしまい、失礼しました[冷や汗][揺れるハート]

素敵なハイキングでしたね!
こんなとき、頂上でコーヒーを沸かしていれると、最高なのですが[わーい(嬉しい顔)][喫茶店]
お昼を仕入れて行かなかったのは、残念でした[揺れるハート]
by 駅員3 (2012-03-07 14:45) 

そらへい

駅員3さん
こんばんは

私を追い越していった4人組の方たちは
背中のリュックにそういう装備をしていたのでしょう。
頂上でコーヒー、試してみたいですね。

by そらへい (2012-03-07 20:21) 

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