梅雨明け~オリジナルレコード [オーディオ]
もう梅雨明けたんじゃないのと思いながらこの写真を撮ったのですが、その日に気象庁から近畿地方の梅雨明けが報告されました。
梅雨が明けると連日の猛暑、今年の天気はメリハリがはっきりしているようです。今日は予報通り久しぶりの雨、人にも畑にも潤いの雨になりました。
今日は、オリジナルレコードについてです。世の中にオリジナルレコードと呼ばれるレコードがあることは知っておりましたが、中古レコードとしては高額だったり、オリジナルの判定が難しそうな気がして、食わず嫌いで来ました。
もちろん、そんな私ですから自分の持っているレコードにオリジナルは一枚も持ち合わせていません。一度気になって、若い頃買ったブルーノートの輸入盤などもちょっと調べてみましたが、偶然にも入っておりませんでした。
詳しいことはわかりませんが、オリジナルレコードというのは、マスターからプレスされた最初の盤という理解でよいのかなぁと思います。プレスを繰り返すうち原盤がすり減ってしまい、レコードの品質が落ちてしまう。つまりオリジナル盤は摩擦による劣化が少ないので、原音により近いと言うことでしょうか。
オリジナルとそうでないものとでは、ソースの段階で差がついていると言うことなのだと思います。レコードがいくら新品でも摩擦が繰り返されて溝の輪郭がぼけていては、どれだけすごいオーディオシステムを持ってしても、原音に近づけないということでしょうか。
ですから人気のあるレコードでは、オリジナルだけではなく、オリジナルに近いセカンドプレス盤でも高い値段で取引されているようです。
いつも拝見しているtempoさんのブログではこうしたオリジナルレコードがよく紹介されています。また、作家の村上春樹氏もジャズのオリジナルレコードを蒐集されていると何かのエッセイに書いておられました。
よほどの人気盤はともかく、オリジナル盤がすべてべらぼうに高額でもなさそうなので、一度手に入れてみたいと思っていました。同じ手に入れるなら音質の違いを聞き比べしたいので、知らないレコードや手持ちでないレコードを買っても意味がありません。しかも高額になっても、そのレコードをもう一枚持っても良いと思えるレコードでなければと思いました。
また一口にオリジナルレコードと言っても、それぞれ定義があるようで、ブルーノートなどはわざわざ本が出ているくらい有名ですが、それ以外のレーベルではどうなんでしょうか。この辺、かなりマニアックな世界で、素人の私にはわかるよしもありません。
これが今回、オークションで手に入れたエマーシーのサラ・ヴォーン・ウイズ・クリフォード・ブラウンです。これなら国内盤も持っていますし、CDも持っています。今まで何回も聞いているので、聞き比べにはもってこいですし、このレコードならもう一枚加わっても文句はありません。
オークションでの紹介文は「両面Deep Groove有りスモール・ドラマー・ロゴのブルー・レーベル、初期オリジナル・モノラル・プレス。ジャケットは裏面が青文字印刷の初回ブルー・バック・ジャケット」とありました。落札額は、諭吉でわずかにおつりが来る程度、それが妥当なのかどうか。
ネットで調べるとエマーシーレーベルのオリジナルの判定にはいろいろ諸説があるようですが、このレコード、オリジナルもしくはそれに近いところにある物のようです。
ちなみに同じエマーシーのシリーズでヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウンのオリジナルレコードがどこかのウェブレコードショップで19万円で売られているのを見かけました。
オリジナル盤のレコードジャケットの方が、日本盤と比べて色あせています。タイトル文字の青い色も薄いですし、モノクロ写真も褪せて見えます。1954年録音ですから私より少し若いだけ、もうすぐ還暦なので仕方ないところです。
日本盤ではわざわざMONOと断っていますが、オリジナルの方は、一切クレジットがありません。このころはモノラルの方が当たり前だったのでわざわざ明記する必要がなかったのでしょうね。
さて、最初の試聴はもちろんモノラルレコードですから、マイクロMR-411と真空管アンプA3500、それにJBL4312Dの組み合わせです。
ただ、MR-411につけるカートリッジをこのところちょっと浮気してステレオカートリッジつけていたものですから、モノラルカートリッジのDENONのDL-102に交換です。
このカートリッジは自重が重いので、アームのバランスウェイトを交換しないといけません。この時期のマイクロのレコードプレーヤーMR-411やMR-611にはアームの傍らに、小物入れの収納庫がありました。
レコード周りのちょっとした小物を入れおくことができます。最初は底にスポンジが敷かれていたのですが、経年変化でぼろぼろになっていたので、代わりに白いスポンジを敷いています。購入時付属の金属製のバランスウェイトを取り出します。
左が金属製のウェイトで右がプラスチック製のウェイトです。形は全く一緒、材質の違いで重さを変えています。アームの錘の後ろにねじで取り付けるようになっています。
取り付けたところ。今回プラスチック製のウェイトをはずし、金属製のウェイトに交換してDL-102の針圧3グラムに合わせます。
まず最初に、国内盤を聞きました。久しぶりのDL-102だったせいか、そのしっかりした厚みのある音、聞き比べする前に引き込まれてしまいました。
セプテンバーソング、
ララバイ・オブ・バードランド、
アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー・アー・ノット・ザ・カインド、
ジム
とりあえず、A面だけの聞き比べをすることにします。初めに1974年日本フィリップス発売の国内盤を聞いてそれからオリジナル盤です。手に取ってみると国内盤は薄くてぺらぺらしていますが、1950年代、米エマーシーのレコードはさすがに厚みがあってどっしりしています。
レーベルの違いはこんな感じです。右がオリジナルの方です。センタースピンドルによるあたり傷がいっぱい付いています。ネットで調べると、オリジナルはレーベルの周りに白い縁取りがあると書かれていましたが、どうなんでしょうか。
音のに違いはさて、どうなのでしょうか。針をおろします。どんな音が出るのか緊張の瞬間です。
確かに国内盤に比べると、ベールが2.3枚はがれたような感じですね。音のエッジが立っています。とくに高域がよく出ていて、音が全体に鋭い感じ、低音も輪郭がしっかり聞こえます。ダイナミックレンジが広がった感じです。
今まで聞いていた国内盤は音が丸くて、ベールを被った音で、音が丸いまま全体に固まって聞こえてきます。耳あたりは良いのですが、ちょっと締まりのないもこもこした音と言うことになります。
太く厚みのある耳慣れたサラ・ヴォーンの声がもう少し細く鋭く聞こえます。ピアノの音は見違えるようにくっきりしますし、クリフォード・ブラウンのトランペットのハイノートはさすが、圧巻です。
レコード全体は、モノラルMCカートリッジをしても、始終低いノイズが載っていました。しかし、その音は音楽の邪魔をするものではなく、音楽の向こうから聞こえてくる静かな雨音のようです。なんとなく昔のジャズ喫茶を思いだしました。
次にもう一方のシステム、DENONのDP-57LのプレーヤーにDENONのステレオMCカートリッジDL-103LCⅡ、トランジスタアンプYAMAHA,AX-1200、CELESTION3の組み合わせで聞いてみました。
こちらで聞くと、音をひとつひとつ分析的に聞くより、より全体的なとらえ方ができた気がしました。オリジナルレコードの方が音楽が生き生きして聞こえます。古いレコードなのに鮮度があがった感じです。
その後、カートリッジを変えたりスピーカーを変えたりといろいろ組み合わせを変えて試しているのですが、聞けば聞くほどオリジナルの良さが伝わってきます。生き生きとして音楽を伝える力、訴える力が違いますね。オリジナルを聞いてから日本盤を聞くとただだらっと音楽を流しているだけに聞こえるから不思議です。
ほかにも不思議なこととしては、組み合わせによってスクラッチノイズがほとんど気にならなくなることがあると言うことです。
それにしても、こうして聞き比べするともう日本盤は聞けないですね。tempoさんがオリジナルレコードに嵌っておられるのもわかる気がしました。
ある意味、オリジナルレコードを聞くと、自分のオーディオシステムがグレードアップするともいえます。そうやって考えればもっとも手軽で簡単なグレードアップ方ともいえないこともありません。
ただ、だからと言って、私の持っているレコードをこれからすべてオリジナル盤に変えていくのは、費用の面でも労力の面でも現実的ではない気がします。
結局は費用対効果ですね。よい音で聞くに越したことはないけれど、オリジナル盤は希少で高価です。せめてお気に入りの数枚でもオリジナル盤、あるいはそれに準じた物が持てれば幸せというところでしょうか。それにしてもヘレン・メリルウィズクリフォード・ブラウンが19万とは。
今日のCは当然、我がアイドルClifford Brown(クリフォード・ブラウン)です。
久々に雨の一日で涼しかったでやすね。
今日の一曲、ジャズが解らないなりにも、カランカラーンと氷の音たてて飲みながら聴きたい感じだなぁ と思いやした(◎o◎6~♪
by ぼんぼちぼちぼち (2012-07-20 19:18)
そらへいさん、こんばんは!!
聞き比べすると、、色々な違いが分りますね、、、。
その代わり、、、”良い物”が欲しくなるのも当然ですが、、、
お値段が、、19万円、となると全く手が出そうにありません!!・・・
MR-411がそんな”必殺技”を持っていたんですね!!
・・・楽しみでーす!・・・
by プリウス (2012-07-20 21:18)
うわあ、そらへいさん!
またひとつ、パンドラの箱を開けちゃいましたね?!
同時に、これこそが趣味のオーディオの本質だとも思いますけど。
ある意味、至福(喜び)と疑念(苦しみ)とを行ったり来たり?
だけど王道ですよね、趣味のオーディオの。^^;
by song4u (2012-07-20 22:44)
オリジナルレコードなるものがあるんですね。
今までは輸入盤より、国内版のほうが品質がいいと思っていました。
それにしても、高額ですね。
by cafelamama (2012-07-20 22:44)
こだわりの世界ですね。
「針圧」と言う言葉があったな~ 懐かしいですね。
by takenoko (2012-07-21 05:42)
JAZZへの思い、継続されてますね、
レコードよりCDを聞く方が多くなってきました。
by himanaoyaji (2012-07-21 08:09)
ブラウニいいですね、サラとのアルバム自分も気にいってます。
今年の夏はどうなるかまだ不透明のようです、エルニーニョ現象が
みつかり、冷夏になりそうなそんな感じもしないではありません。
天候に左右される仕事なので暑くなることを祈るばかりです
by ken (2012-07-21 16:49)
>音のエッジが立つ・・・・
未知の領域ですが・・・伝わるものを感じます。
今日の一曲も、心地良いです。サントリーホワイトを飲みながら年上の友人の部屋で聴いていたころを思い出しました。
by sigedonn (2012-07-21 17:34)
オリジナルがそんなに違うなんて知りませんでした。
世の中で、それだけの値段で取り引きされるだけの価値があるんですね♪
by 駅員3 (2012-07-21 17:44)
ぼんぼちぼちぼちさん
こんにちは
梅雨明け前後から続いていた猛暑、昨日の雨、そして今日も雨で
ちょっと一息ですね。
私も、ここのところ暑さで休んでいた真空管アンプを点して
しっとりとした音楽に耳を傾けています。
by そらへい (2012-07-21 18:50)
プリウスさん
こんにちは
組み合わせによって、いろいろ違いが出るところ、
オーディオの面白いところですね。
違っても、どちらかが悪いと言うこともありますが、
どちらもそれぞて個性があって、捨てがたいなんてこともあります。
MR-411のウェイトは本当に合理的ですね。
お仲間が増えてうれしいです。
by そらへい (2012-07-21 18:53)
song4uさん
こんにちは
何かとお忙しい中、コメント頂いて恐縮です。
どうかお疲れが出ませんように。
オリジナル第二弾をねらって、この間、
オークションブックマークしていたのですが
最終日にたまたま同級生から誘いがあって、
帰ったら夜中の1時過ぎ、
すでにオークションは終了、すべて後の祭りでした。
by そらへい (2012-07-21 18:58)
cafelamamaさん
こんばんは
人気のあるオリジナル盤はその希少性から
投機対象にでもなるんでしょうか。
もっとも、私が手に入れたものは、ヘレンメリル盤より二桁
ばかり下、ちょっと高めの中古盤と言うところです。
by そらへい (2012-07-21 20:16)
takenokoさん
こんばんは
針圧、レコードを聴くに当たって必ず調整するところでした。
カートリッジ交換時にも必要でした。ずいぶん神経質になっていたものですが
今は手軽で便利なデジタル針圧計があって、重宝しています。
by そらへい (2012-07-21 20:18)
himanaoyajiさん
こんばんは
普段何かしながらの時は、ipodで流していることが多いのですが
自分の中でも、いろいろ波があるようで、
レコード、CD気分によって使い分けています。
このごろ割とレコード聞くことが多いのは、
スピーカーが変わったこと、
新しい(中古)レコードが増えたりしていることなどだと思います。
by そらへい (2012-07-21 20:23)
kenさん
こんばんは
冷夏の予報ですか。
そういえば、この前とうってかわって今夜は土用というのに
涼しいくらいですね。
ずいぶん前に、北海道でそうささやかれていると聞きました。
この間までの暑さ、連続するとバテますし
電力不足や熱中症と心配が増えますが、
やはり夏は夏らしくかぁっと暑くないと困りますね。
by そらへい (2012-07-21 20:28)
sigedonnさん
こんばんは
どちらかと言えば、柔らかく聞こえがちな真空管アンプで聞いても
そんな風に聞こえるので、やはり輪郭がしっかりと
際だっているのだと思います。
かつては、今のように何でもビールではなくて、
ホワイト、ブラック、レッドでしたね。
強くもない酒を、無理して飲んでました(笑)
by そらへい (2012-07-21 20:33)
駅員3さん
こんばんは
記述漏れというか、誤解を与えてしまう書き方でした。
私が今回落札したものは諭吉でおつりが来る程度です。
ただ、そのレコードにとって、オリジナルと呼ばれるものが限られているのは事実ですが、人気のないものだと、ふつうの中古並みの値段で取引されているようです。
by そらへい (2012-07-21 20:36)
今晩は。
アナログですね。
落ち着きます。
by 夏炉冬扇 (2012-07-21 21:18)
夏炉冬扇さん
こんばんは
寝苦しい暑い夜が続いてましたが
昨日、今日の雨で今夜は涼しくなりました。
久しぶりに真空管アンプに火を点して
ゆっくりレコード聞いてます。
by そらへい (2012-07-21 22:27)
おはようございます。
オリジナル!
響きが良いですよね~
一枚くらい所有してみたいなぁ~と思うのですが
やはり高額ですよね。
なかなか手が出ません。。。。
by Studio-Oz (2012-07-22 09:19)
梅雨明け宣言が出た日と、翌日は猛暑的でしたが、
ここ3日ぐらいは、まるで秋のような日が続いています^^;
やっぱ、エルニーニョなんでしょうかね...
by yukky_z (2012-07-22 12:36)
そらへいさん、こんにちは。
MR-411、カッコいいですねー。この佇まいが好きです。いつもそらへいさんの日記に登場するたびに欲しくなります。
そらへいさんはA3500もお持ちなんですね。私もLuxmanの真空管アンプは1台所有してるんですが、プリメインなんです。将来、セパレート型が欲しいと思い、いろいろネットで物色しています。A3500は音もいいのでしょうが、デザインがスマートでいいですね。MQ60(50CA10使用)よりもデザイン的にこっちが好きです。
結論的に言うと、そらへいさんのお持ちのもの、オリジナルレコードも含め、相当、欲しいものが多いです(笑)
by something (2012-07-22 13:21)
Studio-Ozさん
こんばんは
オリジナル、こんなに違って聞こえるとは思っていませんでした。
皆さんがオリジナルをありがたがるのもなるほどと思います。
値段、確かに。
本当のお気に入りだけ、しかも人気のない盤なら、何とか手に入るかも。
by そらへい (2012-07-22 20:22)
yukky_zさん
こんばんは
梅雨明け数日は、本当に暑くてこのまま続いたらたまらんなぁと思っていたら
この間の雨からこっち、涼しかったり爽やかだったり、
過ごしやすいのはいいけれど、このままだと
これはこれで農作物や夏物、影響心配です。
by そらへい (2012-07-22 20:24)
somethingさん
こんばんは
MR411、この時代独特の無骨なデザインですが、
コスト度返しの物量、しっかり仕事をしてくれます。
MQ60も検討したことがあるのですが、SQ38FDのメインアンプと同じ構成と聞いたことがあります。トランスだったか真空管だったか手に入りにくいと聞いて、より汎用性の高いA3500にしました。かなり出回っていますし、メンテされているお店も多いので安心ではあります。
by そらへい (2012-07-22 20:39)
わたしの知ってるサラ・ボーンの曲は最初から最後までスキャットの「枯れ葉」でしょうか。
by U3 (2012-07-23 22:24)
U3さん
こんばんは
私もサラ・ヴォーンのレコードはこれ一枚ですね。
スキャットと言えば、はじめて聞いたジャズボーカル
エラ・フィジェラルドがゴムまりみたいに身体を弾ませ
スキャットしていたのを思い出します。
圧巻でした。
by そらへい (2012-07-24 20:48)