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夏の終わりは・・・ [日々]

DSC_2880.JPGヒマワリもすっかりくたびれモードです。

 往く夏を惜しむと言うより、早く涼しくなって欲しい思いの方が強いこのごろ、今年も夏の終わりを身近なところで探してみました。

 

DSC_2893.JPG 庭のアサガオも種を付けてきました。

DSC_2649.JPG 裏の椿の実も弾けています。

DSC_2656.JPG 桜の木の下では今年もヤブラン

 DSC_2896.JPG 畑ではこの夏、よく採れたキュウリが役目を終えようとしています。

DSC_2899.JPG トマトも今夏は豊作でした。さすがにもう実が割れてそこから腐ってくるので限界ですね。中玉の方は、ミニトマトのように実が小さくなってきましたが、もう少し粘ってみようかと・・・

 

 夏の終わりは秋の始まりでもあります。

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 9月初めのこと。夜は明けたけれどまだ日は山の向こうにあり、辺りの景色は滲んだような空気に包まれている、そんな早朝に一人の若者が一台の軽自動車に家財道具と夢を詰め込んで旅立っていきました。

 彼はある有名大学を出て、世間的に見れば安定感抜群の職場に勤めていました。まだ2.3年生の下っ端でしたが、そのまま瑕瑾無く勤めていれば、ある程度のポストや生活の安定は約束されているように思えました。

 傍目で見ていただけで、彼のことも職場のことも詳しくは知りません。彼がいつもどんなことを思って働いていたのか、その職場がどんな環境であったのか。

 お盆過ぎのある日、その彼が突然辞めると聞きました。驚いたのは私だけではなく、彼を知るほとんどの人が驚きの感想を漏らし、あれこれと噂しあってました。

 人もうらやむ職場を放り出すとは、彼になにがあったのでしょうか。今流行のいじめ、パワハラ、それともずっと親元を離れての単身生活、こんな田舎でのひとり暮らしにうんざりしたのでしょうか。

 ところが彼に聞いてみると、田舎には帰らないと言います。怪訝な顔をしている私に、ほかにやりたいことがあるので、北陸のとある都市に引っ越すのだそうです。もうずいぶん前から準備してきたことなのだそうです。

 私は驚き、少し頼りなげに見える彼の顔を危うさと賞賛の入り混じった思いで見なおしました。答えるだけ答えると、きびすを返して戻っていく時見せた彼の横顔は、今まで私が知っている彼とは別人のようにきりりとして頼もしく見えました。

 安定性指向一点張りの最近の若者、時代が違うとは言えそんな最近の若者に多少物足りなさを感じていた私は、やはり今でもこういう思いを持って、潔く実行する子はいるのだなぁと、今更ながら感心しました。

 これから彼の将来がどうなるか、誰にもわかりません。ただ、彼は安定した将来や、お金、名誉よりももっと大切なこと、日々いきいきと生きられる道を選んだのではないかと思いたいものです。

 フィルムも貼っていない彼の軽自動車の荷台や後席、助手席には、はみ出しそうなくらいたくさんの荷物が詰まっているのが見えました。シチュエーションは違いますが、かつて私にもそんなことがあったことを思い出させる光景でした。

 一つの季節の終わりは一つの季節の始まりでもあります。そんな季節のただ中にいる彼を半ばうらやましくも半ば不安にも思いながら、小さくて丸っこい軽自動車ミラ・ジーノの走り去っていく後ろ姿を見送ったのでした。

 

フュエゴ  今日のDDONALDO BYRD(ドナルド・バード)です。いろいろなアルバムに参加しているドナルド・バードですが、彼のリーダーアルバムは意外に少ないように思います。中で有名なのがこの一枚ではないでしょうか。

 アルバム表題曲のFUEGOにおけるドナルド・バードのトランペットは、アート・ファーマーなどにも通じる叙情性を感じさせて意外です。それに輪を掛けて情感たっぷりなジャッキー・マクリーンのアルトサックス、続くデューク・ピアソンのピアノソロもノリノリでいいですね。

 


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cafelamama

やりたいことがある、と言って旅立つなんてカッコいいですね。
男の出発〈たびだち〉です。
そういう青年の存在を知るだけで、なぜかホッとします。
青年の選んだ道に幸多かれ、そう願わずにはいられません。


by cafelamama (2012-09-07 22:02) 

himanaoyaji

目標(夢)が有り、それに向かって行動できる・・若者の特権ですよね。
by himanaoyaji (2012-09-08 07:50) 

たいへー

私も、若いうちに志があれば、
もっともっと、ビッグになっていたでしょうに。(大笑
私、デューク ピアソン目当てで、このアルバム買いました。^^
by たいへー (2012-09-08 08:03) 

駅員3

何時まで暑い日が続くのかと愚痴を言っていたのに、周りの自然は嫌でも…いやいや嫌ではありません…秋色に染まりつつありますね!
新たな門出に発った若者にそっと、心からエールを送ります。
私にも今から20年ほど前にそんな勇気と実行力があったら、人生大きく変わっていたことでしょう!!
by 駅員3 (2012-09-08 09:06) 

song4u

おはようございます!
福岡は珍しく朝から雷鳴が轟いており、鬱陶しい雨模様です。
唯一の取り柄は、お陰で涼しいこと。
ひと雨ごとに秋が近まる・・・そんな感じですよね。

さて、ぼくも皆さんと同意見です。
やりたいことを見つけた若者を羨ましく思い、心から祝福すると共に、
選んだ道が間違いじゃなかったと思えるよう、若者の願いが叶うよう、
ただただ祈りたい気持ちでいっぱいです。

この若者は幸運ですよね。
だけど、ただラッキーなだけ、というわけではないと思います。
彼のチャレンジャー精神に、幸運の女神が微笑んだのだと思います。
どうかモチベーションに沿った成果を得てほしいですね。

それにしても、自分のやりたいことが見つかった人って、
いったいどれぐらいいるのでしょう?
多くが何らかのきっかけがあって今の道に進んでいると思いますが、
それが自分のやりたいことだ、選んだ道だと言える人って、
ぼくは非常に少数派なのではないかと思います。

あ、それって、見つからないまま今に至っている自分自身への弁解?
・・・かもしれませんけどね。(笑)
by song4u (2012-09-08 10:25) 

ski

秋はまたきれいな季節ですよね。
若いパワーで行動できるのは羨ましいです。
今はリストラが横行していて、中高年も新天地を探さないといけない時代ですが、中小ベンチャー系に行く場合は、大きめの会社でまずきちんとした福利厚生、企業モラルを学んでからの方がいいかもしれません。

by ski (2012-09-08 11:25) 

そらへい

cafelamamaさん
こんにちは

見かけはひょろっとして弱々しげな印象なので、
そんな話を聞いたときは驚きました。
まさに夏の終わりの旅立ちの朝でした。
これからは、良いも悪いも彼が一身に背負うこと
いろいろなことがあるのでしょうが、充実した日々、
実り多いものと信じたいですね。
by そらへい (2012-09-08 13:56) 

そらへい

himanaoyajiさん
こんにちは

そうですね。私たちにもかつてあった季節ですが
もうすっかり使い果たしてしまいましたね。
by そらへい (2012-09-08 13:57) 

そらへい

たいへーさん
こんにちは

若さと志だけでは、食べていけないので
ちゃんとその辺の所はおさえているあたり、やはり今時の若者です。

ドナルド・バードの代表的なこのレコードを
共演者のデューク・ピアソンで買うとは、すごいですね。
デューク・ピアソン、今まであまりじっくり聞いてなかったのか
今回聞いて再認識しました。
by そらへい (2012-09-08 14:02) 

そらへい

駅員3さん
こんにちは

本当に残暑は肉体的精神的に堪えるのでつい、愚痴りたくなりますね。
確かに、虫の声、トンボ、蝶、草むらの虫、花、
目と耳を澄ますと秋を感じられるのですが、日中の暑さに耳と目もぼけます。

選択権を与えられて、それを行使するのもしないのも若者の特権ですね。
歳をとると、何にしても選択される側に追いやられます(笑)
by そらへい (2012-09-08 14:07) 

そらへい

song4uさん
こんにちは

こちらも昨日、久しぶりの雷雨で人も畑も潤いました。
今日は曇りがちで気温は低めなのですが、少し蒸します。
これから一雨ごとに秋めいていくのでしょうね。
そういえば、9月もいつの間にか中旬に近づいていますね。

彼のことは具体的なことは何も聞いていないので
詳しいことはさっぱりわからないのですが、
今あるものをなげうってでも、挑戦する価値があり
実行できるというのは、うらやましいかぎりですね。
成否は神のみぞ知るですが、たとえどんな結果になっても
振り返ったとき、自分を認められるようであって欲しいと
切に願います。

やりたいことが見つかること、
しかもその道で一定の成果を得られている人は
本当に一握りでしょうね。
若い頃は、やりたいことを見つけることが
ほとんど最大のテーマでした。


by そらへい (2012-09-08 14:19) 

そらへい

skiさん
こんにちは

若さの特権ですね。
誰にも一度は与えられたはずなんですが、
いつの間にか手元残高が無くなっていました。

まず大手と言われるところに入るのが難しい時代
運良く入れると、その後そこにいるにしても、転職するにしても
転職先も有利に働くと言うことですね。
ま、そう何度も使えないのでしょうが・・・

by そらへい (2012-09-08 17:11) 

b.b.mk2

毎度毎度のご無沙汰でございます。

いいお話しでした。
夏の早朝の旅立ちのシーンが目に浮かびました。

きっと、企業の内外を問わず "自分の物差しで生きる" ってことが大切なんですよね。
1日1日をこの朝の彼のような気持ちで迎えよう ・・・
そう、強く思いました。

若さがうらやましいですよね、でも ・・・
企業内の混沌とした利害あふれる人間関係の中でも帆のあげ方はいくらでもあるサ ♪
by b.b.mk2 (2012-09-08 18:10) 

そらへい

b.b.mk2さん
こんばんは

旅立ちの朝にはうらやましさと言うより、共感を抱きました。
かつては形はそれぞれ違っても、誰にでもあったことですからね。

自分の価値観と他者の価値観とのせめぎ合いの中で
毎日すったもんだやっているようなものですよね。
これはどこへ行っても社会に生きている以上は逃れられないことですね。
歳を取ると言うことは、逆に言えばもう旅立ちの朝を済ませているわけで、
その後に得たいろいろな経験則を後ろ盾にすることができるとも言えますね。
by そらへい (2012-09-08 20:31) 

something

そらへいさん

こんばんは。いいですねー、安定した、でもぬるま湯に浸かっている人生から抜け出したいと一度は考えるのが若者の特権ですね。

安定した生活=充実した人生、ではないと思います。苦労しても、やりたいことがあるなら、やった方がいいですね。

私はこの歳になっては流石に安定を求めますが、でも、ことオーディオに関してはいばらの道を歩んでいます。お金はかかってしまうのですが、どうしても好みの音にしたいという気持ちが勝って、メインスピーカーのアンプを全取っ替えしました。趣味ぐらいまだ冒険したいですよね(笑)
by something (2012-09-08 21:39) 

しばちゃん2cv

彼には成功してもらいたいものですね。
なんか、今の世の中って学校も、就職活動も、企業も、汲々としてますね。
なんか打開策はないもんでしょうか。
かくゆう私も、カゴの鳥。
世界一周でもしたいのですが、家には腹を空かした子供達が・・・・・
by しばちゃん2cv (2012-09-08 22:09) 

パパボン

2010・6・11竜飛岬からの帰り「秋田・やたて峠」で出会ったチャリ大生を思い出しました。千葉から青森六ヶ所村まで1か月ほどチャリで周るそうです。
ツレと3人で談笑し写真を撮り「どんべい」差し入れして別れました。
ttp://pub.ne.jp/PPBON/image/user/1347182577.jpg
住所を教えておけば良かったかな~~?好青年でしたv。

by パパボン (2012-09-09 09:30) 

プリウス

そらへいさん、こんにちは!!
相変わらず、残暑厳しい日中ですが、夜になって虫の音が一段と大きくなって来ました!

以後の人生に悔いを残さないために、若い頃に、夢を追いかける事は、、必要かも知れませんね。
・・自分を振り返って見ると、、恵めれていたと思います、、。
・・今思えば「やりたい事を、、やってこれた!」感じがします。。
by プリウス (2012-09-09 16:36) 

そらへい

somethingさん
こんばんは

若い人はやり直しがききますが、この歳になると慎重にならざるを得ません。今の世の中の閉塞状況は、若い人もやり直し
できにくくなっているのが気がかりですね。

オーディオの冒険いいですね。
メインシステムのアンプ全取替とは、羨ましいですね。
また、どんなシステムになったのか教えてください。
私は、ともかく室内の模様替え待ちの状況です。
これを実行しないと何事も前に進めないのですが、
それには作業できる涼しい季節の到来が必要です。
by そらへい (2012-09-09 21:18) 

そらへい

しばちゃん2cvさん
こんばんは

冒険する人に必ずしも良い結果が待っているとは限りませんが
決められたコースや、世の中の価値だけを信じて疑わず
汲々と生きている若い人よりは、何かしら好感が持てますね。
かごの中にいれば外に出たがり、
外にいるときはかごの安楽を求めるのが男の常
その点は女性は地に足がついていますね。


by そらへい (2012-09-09 21:39) 

そらへい

パパボンさん
こんばんは

私達の頃はもう少し時代がのんびりしていたので
色々な若者がいましたが、今の時代でもそういう若い人がいるのは
心強く、嬉しく思いますね。
旅の出逢いは、その場限りの切なさも
余韻が残っていいものだと思います。
by そらへい (2012-09-09 21:48) 

そらへい

プリウスさん
こんばんは

プリウスさんのように、若い時から好きなことがあって
そのまま、その道に進めて全うできている人は
少数かもしれませんね。
幸せなことだと思います。
私は一本道ではありませんでしたから
あの時、と思うことはしばしばありますが
この道を選んできたのは、ほかならぬ自分
苦も楽も一切引き受けなければなりません。
by そらへい (2012-09-09 21:53) 

夏炉冬扇

お早うございます。
ヤブラン家の庭にも咲き始めてます。
振り返れば人生、大したことはしてこなっかったなぁ、と思うばかりです。
by 夏炉冬扇 (2012-09-10 06:27) 

ミチヤス

こんにちは 久しぶりに出て来ました
今日は珍しく、朝から小雨がぱらついてます。何んと無く秋風が
吹いてる感じです。
やっと梨園の仕事も終わり、骨休めに別府へ行って来ました。
 
 此方は未だ夏の終りで、残暑が続いて居る様ですネ
  流石、空兵さん、文章の書き方が上手いですネ
  感激して読見ました。
  私の若い頃は「今の仕事を天職と思え」と言われて居ました
    其の言葉を信じて、50年今まで来ました。
      家の夏の野菜はすべて整理して仕舞ました
        では また 出て来ますけんで~ 
by ミチヤス (2012-09-10 08:15) 

そらへい

夏炉冬扇さん
こんばんは

右に同じです。
若い頃はいろいろなことができるような気がしますが
実際に来し方を振り返ってみると、
結局はこんなものだったかと・・・・
by そらへい (2012-09-10 20:34) 

そらへい

ミチヤスさん
こんばんは

梨園での作業、お疲れ様でした。
暑い最中の作業、大変だったでしょうね。
こちらも長い間、暑かったり雨が降らなかったりしてましたが
このところ少し雨が降るようになってきました。
まだ昼間は蒸し暑いですが。

何事も選べる幸せと苦しさ
選べない幸せと苦しさがあるような気がします。
はたしてどちらが良いのか、

by そらへい (2012-09-10 20:40) 

ken

我が家の上の娘も十勝の農園で農業インターンで
働いてきました・・・
どうも普通に就職しないような感じで
農業をめざしそうです。
それはそれでたのもしい限りだなと思ってます。
by ken (2012-09-11 23:24) 

そらへい

Kenさん
こんばんは

世間の物差しに惑わされずに
自分で自分の進路を決められるって
頼もしいですね。
何事も平坦ではありませんが
自分で目指したからこそ頑張れるというものです。
by そらへい (2012-09-11 23:41) 

su-nya

安定志向で公務員になるのが夢、という若い人が増えてきているなか、
この若者の前途をよきものに、と祈りたくなります。

私が以前勤めていた職場でも、
T大を出て、いい会社に勤めていたのに
それを辞めてアルバイトとして私の職場に入り、
小説を書き溜めていた人がいました。
その後、文学賞をとり、小説家として活躍しています。
その青年のことを思い出しました。
by su-nya (2012-09-13 04:19) 

そらへい

su-nyaさん
こんばんは

コメントありがとうございます。
そうですね。
旅立ちの朝は、緊張感に包まれて
気持ちのよいものですが、その先が大事ですね。
飛ぶことは多少度胸があれば飛べますが
冷静な計算とたゆまぬ努力で、
ちゃんと着地できるひとは少ないかもしれません。
彼には旅立ちの緊張感を忘れず、
夢に向かって努力を続けてもらいたいものです。

by そらへい (2012-09-13 19:43) 

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