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少し早いプレゼント [音楽(ジャズ)]

 この冬は暖冬気味と言う予報だったと思っていたのですが、それは11月までの話、12月に入ってから寒さが続いている気がします。この寒さに身内でも体調を崩しているものがおりますが、皆さんは大丈夫でしょうか。

 つい先日も私たちのところでは強風が吹き荒れましたし、北の方は大雪でした。霜が降りるような寒い日は、朝はともかく昼間は穏やかな晴天になることが多いのですが、今冬は霜よりも風が強くて体感温度が下がる日が多い気がします。


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 皆さんは、何かの折に自分へのプレゼントとか褒美というものをされたことがあるでしょうか。私は今まで、記念日や何かやり遂げたあとなどに、自分へのプレゼントとか褒美をしたことがありません。

 というか私の場合、そう言うことを考えたり実行する前に、欲しいものがあったら買ってしまっている事が多いのです。従って誕生日とか何かの記念になる日の来る前に、ウィッシュリストは空になってしまっている事が多々あります。

 いつも何かしら、欲しいものがある状態が私の場合普通なのですが、最近は仕事のことなどいろいろあって、気分的に散在する気にもなれず何も欲しいものが無いという状態がしばらく続いていました。こういう時、今までの経験からしてそのあとが怖いんですね。

 案の定、仕事も落ち着き始めたある日のこと、ちょっとしたことがきっかけでそれまで眠っていた物欲が目を覚ましてしまいました。そうすると、枯れ草に火が付いたみたいに一気に燃え上がってしまいます。

 実際は賞与もないし、給料も下がってはいるのですが、それでも休まず働いているんだから、これくらいはいいだろう、ちょっとした苦境を乗り切った自分への褒美と言うことで、やはりクリスマスより少し早くなりましたが、久しぶりにポチッとやってしまいました。

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 これがその品です。今回はオーディオではなく、カメラでした。ミラーレス一眼、Nikon1 V2です。すでにV3という新型が出ているのですが、旧型と言うことで価格が半額以下になっていましたので、まずはコスト重視です。

 大変コンパクトなカメラです。どれくらいコンパクトかというと・・・

2014-12-19 17.16.42.jpg レンズ付きとそうで無い差もありますが、左がNikonの一眼レフカメラD5000です。こちらも一眼レフ機としてはエントリー機でけっこう小型なのですが、それに比べてもその小ささは驚きです。

 実は、5年ほど前にNikonのD5000を買うときも、その頃すでに出回っていたパナソニックルミックスとかオリンパスのミラーレス機とどちらにするかずいぶん迷ったのです。ただ当時はミラーレス機、動くものに弱いとかオートフォーカスが遅い、画質も一眼レフに比べると劣ると言われていました。

 今でももちろん高額な一眼レフ機とミラーレス一眼機では、性能差はそれなりにあるのでしょうが、5年前に比べるとその差はずいぶん縮まっているとも聞きます。

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 ミラーレス機、今では何処のカメラメーカーも発売しています。ミラーレス機の魅力は、なんと言ってもコンパクトであると言うことですね。一眼レフカメラに比べて仰々しくなく持ち運びも楽な上に、画質が一眼レフに迫ると言うことで人気があるのだと思います。

 私が今回Nikonのミラーレス機V2を買ったのは、コンパクトで機動力もあることもそうですが、いちばんはすでに持っているニッコールレンズ70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED望遠ズームレンズで野鳥を撮りたかったからです。35ミリ換算にすると2.7倍、画角810ミリの超望遠レンズを付けたのと同じ効果を得られるのだそうです。(全く同じでは無いのですが)

 普通一眼レフカメラに800ミリ超望遠レンズを付けると、大砲みたい大きく重く、しかも金額もべらぼうに高いことになるので、お手軽に味わいたいと思うとこういう選択になります。

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 ニッコール70-300mm f/4.5-5.6G IF-EDレンズと、マウントアダプターFT1

 もちろんそれにはマウントアダプターを取り付ける必要があります。テレコンバーターをつけるよりは、暗くならないし、AFや手振れ防止機能がそのまま使えます。もちろん、デメリットもあるのですが止まっている鳥を撮る分には何とかなるようです。

 ミラーレス機に望遠レンズを付けて画角を稼ぐやり方は、以前takenokoさんがブログで書いておられましたし、himanaoyajiさんもNikonではなく、ソニーのカメラでやっておられるのでは無いかと思います。

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 V2で最初に撮った鳥は、お隣の屋根に止まっていたスズメでした。慣れないせいか、ビューファインダーが見にくいですね。それからピントが合うのも一眼レフに比べると少し遅く感じました。

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 シジュウカラは遠すぎました。枝の間をメジロホオジロがチョコまか動いているのですが、まだ800ミリの画角とビューファインダーに慣れなくて、なかなか見つけられませんでした。

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 ヒヨドリは後ろ姿でした。

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 せっかくコンパクトと言っても、マウントアダプタに300ミリ望遠ズームレンズを付けるととても手軽に持ち運べる大きさとは言えません。でも、鳥を撮るとき以外は、このコンパクトさ、手軽さ、やみつきになりそうな気配です。

 まだ少し使っただけですが、絞りや露出の設定も、D5000に比べて簡単です。写真を本格的に追求される一眼レフカメラユーザーには物足りないのでしょうが、私のように精度を追求するでもなく出来るだけ手軽にきれいな写真を撮りたいなどと思っているなんちゃってカメラマンには向いているのかも知れません。もちろん、すべてのミラーレス機ユーザーがわたしのように手軽さだけを追い求めていると言っているわけではありませんが。 

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 初めて使った日は霜の強い朝でした。芝生や草の上は真っ白です。

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 頭上の柿の木ではメジロが熟した渋柿の実を漁っています。

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 最後にいつもの場所へ行くと、今年初めてルリビタキに出会えました。ただし、珍しくメスでした。ルリビタキより彼女が止まっている木の枝にピントが合っているような気がします。 

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今年も・・・ [音楽(ジャズ)]

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 私たちのところでは、門付けをして回る風習がいくつか残っています。そのひとつ、伊勢神楽獅子舞が今年もやってきました。獅子舞が我が集落に訪れる頃は、毎年今頃の寒い時期、あまり晴れた記憶がありません。今年も雪こそ降らないものの、どんよりした冬空が広がる午後でした。

 ここまで書いてその先が進みません。記事の下書きはいくつかあるのですが、下書きはあくまで下書きです。それを仕上げるエネルギーがなかなか湧いてきません。

 so-netでブログを立ち上げる前、プロバイザーぷららブローチというブログを続けていました。その頃のブログ仲間パパボンさんの情報によるとブローチが始まったのが2005年の12月だったそうです。私も立ち上げ当時から参加していたので通算すると9年になると思います。

 そのブローチがこの3月で終了するそうです。NECが運営していたビッグローブも身売りするニュースを聞きました。一時期、大ブームだったブログも10年以上が過ぎてそろそろ曲がり角に来ているのでしょうか。

 私は、ブローチの前にココログで最初のブログを立ち上げたので通算すると10年以上になると思います。当初は発表できる場があり、コメントまでいただけてすばらしい世界が出来たものだと嬉しくて毎日更新していたものですが、さすがに十年、世の中の動きはともかく、私の中ではマンネリ感が広がってます。

 そんなことを書こうかどうしようかと思いながら、獅子舞の写真をアップしていたら、ふと気になって去年の記事を振り返ってみました。ちょうど同じ頃、伊勢神楽のことを記事にしています。そしてその最後に、ブログの更新を週刊金曜からいい加減金曜に変更すると言ったことを書いています。

 と言うことは毎年今頃、スランプに陥っているのかも知れません。去年はその後、2月をおおかた休んで得心したのか、その後は、月一回程度の休みでほぼ金曜更新続けていたようです。

 今年がどうなるか分かりませんが、出来るだけ無理やり金曜更新を辞めて、書きたいこと発表したいことがあったら更新していきたいと思います。その結果、今までより更新の頻度が落ちるかも知れませんが、よろしくお願いいたします。

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年明け10日 [音楽(ジャズ)]

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 年が明けて10日が経ちました。今朝は今年初めての降雪、と言ってもすぐ溶けるわずかな雪でした。比較的穏やかなお天気だった年末年始も過ぎ、世の中は次第に平常モードに戻りはじめているのでしょうか。

 新しい年が明けて数日経ったある日のこと、私は何となくやるせないような寂しい思いにとらわれました。普通、正月が過ぎて行くのが寂しく思えるのは子供の頃ですが、年老いた私は年末の事を思って寂しい思いにとらわれました。

 皆さん、それぞれブログでも一年を振り返ったりされていたようですが、私は慌ただしく落ち着きのない年末を過ごしてしまい、そのことがひどく悔やまれました。別に紅白歌合戦を見なくても構いませんが、せめて大晦日、一年間来し方をあんな事があったこんな事があったとゆっくり振り返ってみたかったものでした。

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年明けのご挨拶 [音楽(ジャズ)]


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新年明けましておめでとうございます。
 昨年はお世話になりました。
 今年もよろしくお願いいたします。 

(画像はネット上から拝借しました)


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オータム・セレナーデ [音楽(ジャズ)]

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 つい一週間前は、最も遅い真夏日などと言っていたのに、一発の台風が過ぎたあと、長袖はおろかその上に上着も羽織らないといけないくらい寒く感じられるようになりました。

 そして、またしても台風が伊豆大島に無残な爪痕を遺していきました。短時間の間にものすごい雨と、それが引き起こした土石流は、山津波となって麓を襲いました。

 若い頃、一度だけ大島に渡ったことがあります。温暖で穏やかな風景と、魚の臭いのする港、素朴な民宿で饗された新鮮な魚貝類を思い出します。

 その大島が山肌を無残に削られ、土石流が家を流し道路を塞いでいます。私たちはあの3年前の3月11日以降、デジャブのように繰り返されるこのような光景に何度立ちすくむことでしょう。

 ここ数年の季節のずれや、極端な温度差がもたらす雨や風による自然界の脅威は、私たちの生活が食べ物の旬とか季節の細やかなうつろいに無頓着になったり鈍感になってきている事への報いではないかと思えるほどです。温暖化と言う名の。

 被災された方々はその犠牲者です。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、お見舞い申し上げたいと思います。

つづく


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幸せな時間 [音楽(ジャズ)]

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 あんまり暑いので、今週も休もうかなぁと思いながら、とりあえずパソコンに向かってます。連日の猛暑の上、当地は8月5日から雨も降っていなくて、今日やっと雨です。しかも夜になって雷雨、派手に光ってます。

 上の写真は暑すぎてと言うか、水が少ないせいか南天の葉が焦げてしまったかのようです。柿の葉もご覧の通りです。

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 それでも、柿の実はこんなにたくさんなっています。今年は豊作かもしれません。

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 少しだけ咲いた向日葵も、いつの間にかこんな具合です。来年は、もっと早い時期に種をまこうと思います。種もそろそろ新しい種にしないと発芽率が悪そうです。

 

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 毎日、水やりしているのですが、里芋の枯れた葉が痛々しい。

 

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 道路脇に咲いていたテッポウユリをスマホのカメラでパシャリ。妻が車窓から「この暑いのに、花はがんばっているなぁ」とさも感心した声を上げたので。

つづく


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「ラウンド・ミッドナイト」を観る [音楽(ジャズ)]

 お正月は、たっぷりというわけでもありませんでしたが、模様替えがほぼ済んだ部屋でそれなりに音楽を楽しむ事ができました。新しく揃えたオーディオラックに収まった機器で、配置しなおしたスピーカーをいつもよりちょっと大きめの音で駆動、なんともいえない幸福なときを過ごせた気がしています。

 模様替えの時、不要になったキャスター付き台車にスピーカーを乗せたことを報告しました。その後、聞き込んでみるとJBL4312Dの低音が曲によってボンつくことがあリました。

 それで即座に元のスピーカー台とブロックに戻しました。スピード感、キレが戻り、それほどボリュームを上げていないのに、低音が小気味よく彈けて軽い振動が床をつたって伝わてくるようになりました。

 再び不要になった台車はどうしたかというと、一台はテレビを置くことにしました。台車に乗せておけば、重いブラウン管テレビも、普段は部屋の片隅において置けます。必要なときだけ、台車ごと引っ張り出せばいいわけです。もう一台の台車にはストーブを乗せました。これは重いからと言うより、単に余ってしまったので乗せてみただけです。

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 しばらく前のことになりますが、映画「アマデウス」を余っているテクニクスのプリメインアンプとこれもその時行き場のなかったスキャンダイナA25mk2につないで聞いたら、その音が素晴らしく、すっかり病みつきになってしまいました。以後、DVDやVHSビデオを観るときは、プレーヤーの音声出力をアンプに繋ぎ、オーディオスピーカで聞く様になりました。

 ただ、テレビ用に用意していたテクニクスのプリメインアンプは今回の模様替えで隣室に行ってしまったので使えません。またヤフオクで安いのをゲットしようかと思ったのですが、メインのオーディオシステムに繋げば費用もかからずかさばらなくて良い事に気づきました。

 地デジに完全移行になって使い物にならなくなったパナソニックのDVDビデオプレーヤの音声をYMAHAのプリメインアンプAX-1200のAUXにつなぎ、スピーカーはセレッション100で聞くようにしました。

つづきはこちらから


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カウント・ベイシー ライブ [音楽(ジャズ)]

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 ちょっと調べたいことがあってカウント・ベイシーをググって見たら、亡くなってもう30年になると知って驚きました。でも、よく考えると京都会館で最期のコンサートを聞いたのは30歳の頃だったので、そんなものなのかもしれません。

 若い頃、東京暮らしをしていた私は、折からの外タレラッシュもあってお金がないにも関わらず、できる限りコンサート行くようにしていました。おかげであとからお金では買えない体験ができたと思っています。

 ジャズを中心に幅広くいろんなコンサートに行きました。ただ、その中で同じ演奏家のコンサートに二度行ったのはカウント・ベイシーだけです。しかも一度目は東京で、二度目は京都でした。

 

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 一度目は、1976年新宿厚生年金会館でした。御大ベイシーは72歳、4度目の来日でしたがもう最期になるのでは、などと言われてました。

 私が行った4月7日はツァー初日でした。東京公演はあと1日、17日に昼、夜あったようです。20日間全国を回って18回のコンサートをこなしています。かなりハードスケジュールです。

 4月7日のコンサートの模様は、今でもはっきり覚えていますが、当時私が付けていたノートがありますので、そこから手直ししながら拾ってみます。

 

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 自分の席は1階のT列なので真ん中あたりかと思っていたら、厚生年金会館は奥行きが狭いらしく後ろから五列目だった。左右は29番目でこれはありがたいことに真ん中に近かった。後ろの壁や左右の壁からビッグバンドの音がどんどん跳ね返ってよく響くホールだ。

 カウント・ベイシーはアメリカの国宝とまで言われているけれど、古い形式張った名前だけの音楽を聴かされるのではないかとちょっと不安。しかし、会場は超満員、期待感でむんむんしている。

 蓋を開けてみると、心配は杞憂だったことがすぐに判った。ビッグバンドの圧倒的サウンドが身体を圧した。うねるスイングサウンドにいっぺんに持って行かれる。ブラスセクションが立ち上がって一斉に演奏したときは鳥肌がたった。

 ベイシーは客席に向かうときはいつもにこにこしていた。彼のピアノはそれほど大きな音でもなく、長いソロを演奏するわけでもなかったが、要所要所でさらりと弾くだけなのに観客は熱狂した。独特の澄み切った甲高いトーンと弾むような楽しげなリズム感は健在。

 各セクションのソロイストも実力者揃い。立ち上がるとひょろ長い身体をくねらせながら、さっそうとと吹く。スローな曲も速い曲もお手のもの。時々おふざけのアドリブを入れて観客を沸かせていた。

 メンバー表を見るとトランペットはボブ・ミッチェル、トロンボーンにアル・グレイ、サックスにエリック・ディクソンがいる。もちろんギターはフレディ・グリーン。このコンサートの少し前までカーティス・フラーが入っていたそうで、彼が一緒でなかったのは残念。

 そんな中、初めから我々聴衆の目を惹いたのが、楽団の最奥中央で、激しく身体を動かして叩きまくっていた若い白人ドラマー、ブッチ・マイルス。音の一つ一つがびしびし決まって気持ちよい。明らかにこの円熟して老練な楽団に若々しいアクセントを付けていた。

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 ここまでは楽しかったこと。コンサートの真ん中で、突如、男性歌手が出てきたとき、我々観客は唖然としあっけにとられた。

 まず彼はがっしりした肩幅のわりに背が低くちっともかっこうよくなかった。顔はお面を被ったみたいに黒く皺だらけで、頭上で波打っている髪の毛は鬘みたいにその顔から浮いていた。

 彼が登場するまで沸きに沸いていた会場が、彼が登場すると同時に同じ会場かと思うくらい急に静まりかえってしまった。

 歌はうまいのかもしれないけれど、ジャズと言うよりまるでトム・ジョーンズみたいに声を張り上げ引っ張り熱唱する。その容姿も歌もちっともソフィスティケートされていない。観客は彼が熱唱すればするほどしらけるばかり。

 一曲が終わると今までならうるさいくらい拍手や歓声が上がっていたのに、とまどったみたいな拍手がぱらぱらとあがり、後からお義理の拍手が続いた。

 なんとか観客の心を取り戻そうと彼はさらに声を張り上げるけれど、観客はいっこうに乗ってこない。結局、3曲だけ歌って彼は引き込んでしまった。観客は歌よりも、ともかくカウント・ベイシーが聞きたかったのだと思う。

 それにしても彼、ビル・カフィという歌手は気の毒だった。コンサートの最後の挨拶にも登場したけれど、観客の万雷の拍手はベイシーばかりに集まって、彼は途中で拗ねた子供みたいに肩を落として、客席に背を向け退場していった。
 
 そのことをのぞけば本当に最初から最後まで乗りまくり、大盛り上がり、今まで体験したことのない楽しいコンサートだった。

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 これはコンサート会場で販売されていたパンフレットの裏表紙の広告。今は無いブランドTechnicsが懐かしいですね。私がこの中で持っているのは、オーディオには関係ない⑤のパナアームスタンドだけですが。

 

 東京公演の二回目17日のコンサートの模様を取り上げた新聞記事がありましたが、そこでもベテランソロプレヤーやブッチ・マイルスのことは取り上げられていましたが、ビル・カフィのことは一言もありませんでした。あまりの不評に彼はその後、出演しなかったのか新聞記事が無視したのか判りませんが。

 その記事によると17日も大盛況で立ち見まで出ていたそうです。主に二十代の男性が多かったそうで、(私もその一人でしたが)意外な気もしました。私が行った日はもう少し年齢層高く感じました。

 

 

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 それから7年後、すでに帰郷していた私は、京都は岡崎にある京都会館第一ホールで再びベイシー翁のコンサートに立ち会うことになります。

 (その間にも最期の来日と言われながら何回か来日公演がありました。ベイシーは1963年に初来日、71年、73年、76年、78年、80年、82年、83年と8回来日、のべ100回の公演を行ったそうです)

 田舎に帰って少し金回りがよくなっていたのか、今回はA席でした。前から13列で御大ベイシー翁がよく見えました。

 その頃、ベイシーはもう車椅子に乗っていました。人に押されてそのまま、ピアノの前に車椅子が据えられました。演奏の方は、それほど長い時間弾くことができなかったのですが、相変わらずあの甲高いトーンとかわいいようなリズミカルな調子は健在でした。

 そんなことより何より、観客たちは彼が大好きで、彼の姿を見ることができ、その音を聞くだけで大満足の惜しみない拍手を送っていました。そんなみんなの思いが伝わる暖かいコンサートでした。

 そしてこれがカウント・ベイシーとのお別れになりました。彼はそれからほぼ一年後の翌年4月26日帰らぬ人となりました。

 

 

DSC_3214.JPG カウント・ベイシーの来日ライブを記録したレコードが出ていますが、これは惜しいことに1978年来日時で、メンバーも76年と2年しか違わないのにかなり変わっています。

 録音はまじめにカウント・ベイシー楽団の素晴らしい演奏をリアルに伝えてくれています。ベイシーの肉声も聞くことができます。残念ながら、拍手は遠く、ちょっとライブ盤独特の熱気が伝わりにくい気がします。

 

 

DSC_3236.JPG 私のベイシー愛聴盤は、はじめて買ったこの「カンザスシティ7」です。ビックバンドではなく、カウントベイシー楽団のソロイストたちをピックアップさせたコンボ演奏です。

 1930年代に活躍したカンザスシティ7と勘違いして買ったのですが、これはこれでしゃれていて、ベイシーの卓越したピアノプレイや、ソロイストたちの妙技を良い録音で十分に楽しめるアルバムです。

 

 

 そういえば、先日来読んでいるデューク・エリントンの自伝「A列車で行こう」に、カウント・ベイシーのことを記述した一文がありました。まだビッグでなかったデューク・エリントンは豪華なクラブで演奏するカウント・ベイシーのすすり泣くようなピアノを外で聞いていたそうですが、ある日、とうとう彼はその中に入ることができ、敬愛するベイシーのそばで聞くことができたことを嬉しそうに述懐していました。

 YouTubeはこのアルバムの中、カウント・ベイシー作曲の「カウンツ・プレイス」です。


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オリジナル?~サムシング・クール [音楽(ジャズ)]

 夏の昼間、クーラーもない四畳半の部屋で汗をかきながらクリフォード・ブラウンを聞いていたのは若い頃の話です。今は少しばかり部屋は広くなっただけ、相変わらずクーラーは無く、もはや汗を流して聞くだけの体力も気力もありません。

 

 今日で八月も終わりですが、まだまだ残暑の中にいます。身体と心はすでに残暑に及び腰、夏の間、暑さに負けてすっかり聞こえなくなっていた音楽が、ここのところ折々心にふれるようになってきました。車の中などでも、乾ききった身体が水分を求めるように、流れるFMに甘い旋律を求めています。

 

 サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウンのオリジナルレコードを買ってその魅力の一端を知ったのは、先月のことでしたか。あれから、時々めぼしいオリジナルレコードを物色していましたが、なかなか見つからなかったり落札できなかったり、そんな中最近ようやく第二弾を入手しました。


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  こちらです。ヤフオクでのタイトルは初期オリジMono美盤完品June Christy / Something Coolというものです。

 その割には落札価格、通常の中古レコードよりわずかに高い程度でした。

 このレコードは、以前に京都の中古レコード店で入手しています。その時二点あって私は安い方を選びました。ジャケットが水に濡れたのか波打っていたのです。しかし盤には損傷ありませんでした。

  このころ、私はボーカルとモノラルカートリッジに嵌っていて、たちまちジューン・クリスティの切々と歌う歌声に引き込まれました。ジャズ、オーディオ再開してボーカルものが増え始めたのもこのあたりからだった思います。 

 オリジナル盤が届いて当然二枚を聞き比べをします。暑くてこのところ真空管アンプ休眠状態だったのですが、やはりオリジナルモノラルレコードはモノラルカートリッジDL-102で聞かないと真価はわかりません。


 DL-102、A3500JBL4312Dを通して聞こえてくるジューン・クリスティのサムシング・クールは声に厚みと深みがあり、抑揚の効いた陰影のある歌声は想像以上です。

 次に前に買ってあったサムシング・クールを取り出します。長い間、ぎゅうぎゅう詰めのレコード棚にしまってあったにもかかわらず、ジャケットの濡れた歪みは治っていませんでした。


DSC_2624.JPG 国内盤と思っていたレコードは、手にしてはじめてわかったのですが、輸入盤でした。

 同じく真空管アンプA3500にDL-102をおろします。JBL4312Dから聞こえてくる声はやはり太くて厚みがあります。しかし、よく聞くと印象が微妙に違います。

 オリジナル盤の歌声には深み、陰影が感じられたのに、こちらは力強いだけで棒のように平板、単調に聞こえます。まるで別の歌唱のようです。こんなに違うのか。オリジナル盤恐るべし、と思いました。 

 しばらくはサラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン以上のオリジナル効果に喜んでいたのですが、ある日、ふと気になってジューン・クリスティやサムシング・クールを検索してみました。すると世間では通説でありながら、私が知らなかった事実に行き当たりました。

 

 ジューン・クリスティがサムシング・クールを録音したのは1953年だそうです。最初は、1955年に10インチ盤で出てあとから12インチ盤も出て大ヒットしたのだそうです。それはそれでよいのですが、どちらもモノラル録音でジャケットもモノクロのイラスト、女性が伏し目で笑っています。

 

サムシング・クール 

  ところが私が以前から持っている盤はもちろんのこと、今回落札したレコードもジャケットはカラーでイラストの女性はぱっちり目を見開いてこちらを見ています。

 ネットの情報によると、サムシング・クールは1960年頃にステレオ録音をしているそうです。バックも同じ指揮者で、ややこしいことにジューン・クリスティはステレオ盤に当たって歌い直しているのだそうです。 

 この事実を知ったときは、だまされてステレオ盤をつかまされたと思いました。改めてステレオカートリッジDL-103LCⅡで聞きました。モノラルカートリッジで聞くときに比べて、やや定位が不安定に感じられ、音も薄っぺらく聞こえますが、出てくる音はモノラルにしか聞こえません。


 ジャケットはステレオ盤仕様なのに、レコード盤自体はモノラルってことなんでしょうか、訳がわからなくなってきました。

 試しにもう一枚、以前から持っていた方をステレオカートリッジで再生してみました。するとなんと、こちらがステレオ録音盤でした。このレコードを買ったときは、DL-102に嵌っていましたし、スピーカーも4312Dが一本しかなくてみんなモノラルで聞いていたのでした。 

 ジューン・クリスティの歌い方もよく聞くと少しアクセントが違います。バックの演奏も音が少し鋭く聞こえます。道理で別の歌のように聞こえたはず。実際に別の録音だったのです。


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 この二枚のレコード、ジャケット表紙はほとんど違いがありません。左が以前に買っていたもので、コーティングされています。右側が今回購入したもので、イラストの色にわずかに深みを感じます。


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 裏面に回ると、デザインが少し変わっているのがわかります。右側が今回買った盤です。左のジャケットのクリップに止まった枠内の書き込みを読むと、このレコードがステレオ盤であることが報告されているようです。



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 また、下の方にEMIのマークのある記述ありますが、これらはオリジナル盤と称されるものにはありません。


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 しかし、どちらのレコードジャケットの表紙にも 1960 CAPITOL RECORDINCと小さな文字で記述されています。と言うことはこれらのレコードが1960年以降に製造販売されたことを証明しているのではないでしょうか。


 ちなみにCAPITOLはアメリカのレコード会社ですが、ビートルズのレコードでも有名です。


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 レーベルの違いはこんな感じでやはり右側が今回のレコードです。ネットで調べてみると、ブラックレインボーと呼ばれているレーベルデザインでこのタイプは1960年代にあったようです。確かにモノラル最期のレーベルと書かれています。


 こういったことを調べていくと、このレコードがモノラルレコードであることには違いありませんし、私が買ったステレオ録音盤よりはかなり古いものであることに間違いはなさそうですが、果たして初期オリジナル盤と呼べるのかどうか疑問が残ります。


 本当の意味でのオリジナルは10インチ盤ではないかと思います。12インチ盤にしても初期のものは、ジャケットがモノクロ伏し目でレーベルデザインももっと地味なものではなかったのかと思います。

 

 もちろん演奏に不足はありません。多少ノイズが乗るもののジューン・クリスティの深みのあるハスキーボイスの魅力は届いているのですが、この声が本当のオリジナルと比べてどうなのかはわかりません。


 どうやら一杯食わされたかな、と思いながらもう一度出品情報を読み直してみました。


      ・・・レインボーリム&ブラック・レーベルの初期モノラル・オリジナル。Capitolスリーヴ附属完品です。名匠 Pete RugoloのオーケストラをバックにCapitolからリリースされた19531955年録音の傑作デビュー・アルバム。 

 実に曖昧な書き方です。レインボーリム&ブラック・レーベルの(中の)初期モノラル・オリジナルと解釈すれば問題なさそうに思えます。この表現ですと、別にもっと違うレーベルの初期モノラルがあってもおかしくないことに・・・この辺微妙です。

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 音には関係ありませんが、これがCapitolスリーブです。確かに時代を感じさせて趣がありますね。普通のモノラルレコードにこのスリーブが着いて少し高くなったと言うことでしょうか。

 いずれにしても、そう高いものではなかったのが不幸中の幸いでした。今回は良い勉強をしたと言うことにしておこうかと思います。以後もう少し説明文をよく読んで慎重に入札しすべきかと思いました。

 それと今回の場合、オリジナルにさえこだわらなければ、偶然ですがモノラルとステレオの違ったジューン・クリスティのサムシング・クールを聞くことができ、かつ揃えることができたのは良かったかなと思っています。

 いずれにしてもオリジナルレコードというのは、レーベルごとに時代ごとに、その個別プレイヤーごとにいろいろな場合があるようです。それを調べて頭に入れておきながら、オリジナルレコードを見つけていくのは、かなり年期がいりそうです。

 YouTubeのジューン・クリスティ/サムシング・クールはモノラル盤です。  


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墓参り~A列車で行こう [音楽(ジャズ)]

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 立秋を過ぎたとは言え、まだまだ暑い日が続く8月8日、我が家では毎年恒例の墓参りを済ませました。十年一日がごとく毎年同じことを繰り返しているわけですが、いつの間にかこの日が来ないと夏が来た気がしなくなってしまいました。

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 じりじりと照りつける太陽の下、順番を待つひとたち。この日は平日だったので、どこのお宅でも来客は嫁がれた女性が多くて、男の人は当主か老人ばかりです。

 このまま墓参りのことをだらだらと書く手もあるのですが、毎年のこと今までにも何回か書いているような気がします。たまには無理矢理にでも、本来のジャズの話に戻さないと・・・

 

 先日、図書館で借りたバイオリン小曲集のCDをそろそろ返さなければと日付を見てみたら、とっくに返却期限が過ぎていて驚きました。幸いレンタル店とは違うので延滞料は取られないのですが。

 カウンターにCDを返して、せっかく来たのだから少し雑誌でも見ていくことにしました。図書館は冷房が効いていて、いつもより大勢の人で混み合ってました。ソファに座ってコンピューター誌や音楽関係の雑誌などを見ていると、突然館内放送で名前を呼ばれました。

 カウンターに行くと、なんと3枚借りたCDのうち一枚が中が入っていませんでした。慌てて返しに来たので、中身を確認していませんでした。たぶん、CDプレーヤーの中に入ったままになっているのでしょう。

 延滞料は取られませんが、期限はとっくに過ぎているのですぐに家に取りに戻りました。やはり五嶋みどりさんのCDがプレーヤーの中に入ったままでした。

 無事返却を終えて、もう一度雑誌を読む気も薄れたので、館内をぐるっと回って見ました。音楽書、CDコーナー、小説やエッセイのある書架など一回りして、カウンターの手前にある大きなテーブルの上、一冊の大判の書籍が目にとまりました。

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 それは展示してあると言うより、まるで誰かが借りようとして忘れて帰ったか、借りるつもりでカウンターに持ってきたが途中で気が変わり、元に戻すのが面倒になってそこに放って行ったと言う風でした。

 手にとって、そのまま受け付けカウンターで貸し出しを申し込んだら、すんなり借りられました。奥付を見ると1985年と古い本です。

 音楽書のコーナーでは見かけたことがないので、ひょっとしたら書架には無くて、図書館の倉庫にしまわれている本だったのかもしれません。

 それをどなたかがリクエストされて手に取ったものの、自分の希望と違ったので、そのままテーブルの上に置いて帰ってしまったのかもしれません。

 本はB5サイズ、厚みが4センチあります。まだ、読みかけて50ページ足らず、感想は今は書けません。ただ本文の翻訳ソフトに翻訳させたような言い回しに苦労しています。400ページあまり、最後まで読み通せるでしょうか。


 今回のDはご想像通りDuke Ellington(デューク・エリントン)です。

ジミー・ブラントンに捧ぐ

 今はいくつかのエリントン楽団のレコードを持っていますが、若い頃はエリントンのレコードと言えば、左のレイ・ブラウンとの共演盤「ジミー・ブラントンに捧ぐ」しか持っていませんでした。

 このレコードから聞こえるエリントンとブラウンの演奏は、スウイングジャズと言うより、現代音楽のような雰囲気を漂わせています。

http://youtu.be/AwPqmTiFwOY

 

 こちらは、書籍に合わせておなじみのTAKE THE A TRAINです。


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