梅雨寒の頃 [オーディオ]
予想より早く梅雨に入ってしまいましたね。そして梅雨入り前の暑さとは大違いの梅雨寒のこの頃です。半袖を着ていたのに長袖に戻し、かつ上着まで探してしまう始末です。
でも前から何度も言っているのですが、この梅雨寒の頃、嫌いじゃないんです。世の中が雨の音にひっそり静まりかえって、音楽がいつも以上によく聞こえるような気がします。朝から細い雨がしとしと降り続くひんやりした日に、休みが当ったりすると何か得をしたような気がして、いそいそと部屋に籠もります。
その肝心の音楽を聞く装置、我が家のステレオのプリメインアンプが壊れてしまいました。壊れたと言ってもフォノ入力が駄目になっただけなので、CDやデジタルオーディオ、テープを聞くことはできます。
いろいろな手立てがありました。たとえば、これは後から気づいたのですが、一番お金をかけない方法として、我が家にはもう一台、中古のプリメインアンプがあったのでした。
長い間使っていなかったのですが、テクニクスSUーV6Xと言う機種です。別の部屋でパソコンに繋いで音楽を聞くために中古を購入したのですが、ここ最近全然使っていなかったのですっかり失念していました。
このアンプ、壊れたアンプと交換するには役不足です。ただプリとメインに分けられる機種なので、このプリ部だけ活かして、壊れたAX-1200をメインアンプとして繋げばレコードを含めて全てのソースを聞くことはできます。
また、真空管パワーアンプLUX A3500を中心にしたシステムのプリアンプにYAMAHAのC-6を使っています。C-6とAX-1200を繋げば、今までとあまり音が変わらない環境が作れそうに思えます。真空管アンプの方には、以前から欲しいと思っていた真空管プリアンプを新たに購入する。そうすれば同じ経費を使うにしても無駄がなくてこれはちょっと名案に思えました。
またこんな時しかアンプを交換することなどありませんから、少し今までと違った音を聞いてみたいという冒険心もあります。古いサンスイやONKYOのアンプ、DENONやMARANTZあたりだと新しいアンプも視野に入ります。今はハイレゾ再生やネットワークオーディオを考えたアンプが出回っています。
いろいろ考えたあげく、結局、プリメインアンプごと更新する方を選びました。しかも同じYAMAHAのアンプにしました。以前、某メーカーのプリメインアンプを買って、どうしてもなじめいことがありました。今回そういう失敗は避けたかったのです。
こちらが新しく導入したプリメインアンプYAMAHA、A2000aです。1987年頃、当時195,000円で売られていたものです。約30年落ちです。自称、G級オーディオの面目躍如と言うところですが、これから長くつきあって行かないといけないので、きちんとメンテナスされたものを購入しました。
こちらは今まで使っていたYAMAHA、AX-1200です。オーディオの足跡さんによれば、1994年頃のものらしく当時128,000円だったようです。値段はともかく私はてっきり30年ほど前に買ったと思っていました。20年前の誤りだったようです。10年ほど前にガリが出てメーカーにメンテナンスに出しているのですが意外と新しかったのですね。
二つのアンプには約10年の差があるのですが、どことなくデザインに共通性を感じます。しかし、20年落ちのプリメインアンプから約30年落ちのプリメインアンプに更新と言うのは、通常の電化製品の買い換えとしては順序が反対なのですが、この辺がオーディオ製品の妙です。
まず、プリメインアンプの格としてA2000aとAX-1200では一クラスも二クラスも違いがあります。しかも作られた年代が80年代と90年代、オーディオの世界ではかなりの違いがあるようです。80年代はやはりオーディオバブルの時代、各社競って物量を投入した凄い製品を続々と排出していました。
YAMAHAのアンプ作りにも90年代に入って、転換があったようです。AVアンプにシフトを切り替えたのもこの頃だったかも知れません。今、中古店のジャンク売り場に行くと、AX-1200と顔かたち、名前が似たYAMAHAのAVアンプがずらりと並んでいます。
中古市場でももっと古いA1000シリーズやA2000シリーズ、プリアンプのCシリーズなどはいまだに高い人気ですが、品番にXの着いたシリーズはどう違うのか詳しくは分かりませんが、あまり人気がないようです。(一部、外国で作られていると言う噂を聞きましたが、結局コストダウンされていると言うことでしょうか)
AX-1200でも模様替えするたびに重い(20キロ)と思っていたのですが、このA2000aは届いてから部屋に持ち込むのが大変でした。26キロです。重い石を持ち上げるようでした。この重さ、トランスなどの違いによるのでしょうね。
いつもならすぐに据え付けて音出しですが、A2000aはA級動作のアンプと言うことで発熱量が半端ではないそうです。ラックの中に納めるのをやめて風通しの良いところに設置するため、前から思っていた模様替えと一緒に配置換えすることにしました。
アンプが到着する前にラックと他の機器はあらかじめ移動は済ませてあったのですが、何せものがプリメインアンプ、全ての配線をやり直さないといけません。早く音が聞きたい思いを抑えながら、慎重に配線作業をしました。
初めて音が聞けたのはその日の深夜だったか次の日の深夜だったか、全ての配線を確かめてメインスイッチを入れます。緊張の一瞬です。ボリュームを絞り気味にしていても、すぐに違いが分かりました。迫力が段違いです。迫力と言っても分厚い音で押し寄せてくると言うより、スピード感のある音です。
初めは同じ曲を聞いても少し違って聞こえました。解像力も上がったのでしょうが、音が中途半端に消えず最後まで伸びます。低音の厚みよりその速いアタックに目を見張ります。とくにピアノの打鍵が鋭くて、まだ耳慣れないときは突然のフォルテシモに驚かされました。
小音量でも明瞭で力強い音が部屋の隅々まで響き渡ります。ただ、音が少し硬く感じられるのは、中古とはいえメンテナンス品、エージングが必要なのでしょう。あるいは私の耳のエージングが必要なのかも知れません。
今までのAX-1200はあっさり綺麗に鳴らしてくれましたが、A2000aは透明感のある音でありながら伸び伸びとしてかつ力のある音です。時代から行くと、こちらの方が先祖の音と言うことになります。
ざっとレコード、CD、デジタルオーディオと聞き比べました。どのソースも素直な力強い音です。もちろん順序はレコード、CD、デジタルオーディオの順です。ハイレゾとレコードは良い勝負ですがハイレゾは情報量は多いのに何かが足りない気がします。と言うか音が蒸留された水のように綺麗すぎるのでしょうか。
次にスピーカーの聞き比べです。前もJBL4312DとAX-1200の組み合わせ悪くなかったのですが、システムの組み合わせの都合上4312Dは真空管アンプと組んでありました。今回聞いてみてA2000aと組むことにしました。
このところやや寝ぼけ気味に鳴っていたスキャンダイナA25mk2がこのプリメインアンプで新しい息吹を得たかのように生き返りました。と言うか、老体にムチ打って一生懸命に鳴るのです。他のスピーカーに比べて、ややアンバランスさが耳につくのは彼と私の歳のせいでしょうか。
CELESTION100は上記二つのスピーカーに比べると少し音が引っ込みますが、相変わらずフラットで聞きやすい音を部屋中に気持ち良く響かせてくれます。残念ながらCELESTION UL-6はまだ繋いでいません。こちらは残しておかないと、真空管アンプに繋ぐスピーカーがなくなってしまいます。
A2000aとAX-1200、デザインは時代を経ているせいか、AX-1200の方がやや洗練されているのかも知れません。音は格から言っても明らかにA-2000aの方が上です。このアンプの唯一気に入らないところは、リレースイッチの音です。即物的な機械音がします。これから音楽を聞こうとするにはややふさわしくない気がするのですが、これも慣れでしょうか。
部屋のレイアウトはこんな風になりました。スピーカーに向かって座る私の右手、部屋の西側にA2000aをメインに組んだシステムと主にジャズのレコードです。真ん中のラックの下の方で白く光っているのは音楽再生専用のノートパソコンの液晶画面です。
オーディオとパソコンの同居には異論のある方もあるでしょうが、ノートなのでファンの音もしません。ノートパソコンからUSBDACに繋ぎ、A2000aのAUXに繋いでitunesで再生します。こうしておくとそのときに気分のあったジャンルをランダムに連続再生できます。読書やパソコンをしたりするときのながらにもってこいなのです。
こちらは反対の左側、部屋の東側に並ぶ真空管アンプのあるシステムです。以前はこちら側にAX-1200のあるシステムと二つ並び、かつオーブンリールデッキもあってうっとうしかったのがちょっとすっきりしました。意識してコーディネートしたわけではありませんが、こちらのラックに並ぶシステムが全てブラックになりました。
いずれ将来は、二つのシステムを一本化し、スピーカーも四つは多すぎるのでせめて二つくらいに絞りたいなぁと思っていますができますかどうか。そんなにたくさんあっても聞けるのは私の二つの耳だけなのですが。
今は、部屋中、新しい音で満たされています。気持ちが良くてずっとそのまま聞いていたいのですが、夜がふけると明日に備えて寝なければいけません。明日は明日で仕事があったり、休みでも田舎の用事などもあります。そのたびに後ろ髪引かれる思いで部屋を出て行きます。
たまに「ああ、もっとゆっくりしたいなぁ」と妻の前でこぼすと、すぐに「いつも、ゆっくりしているやン」という返事ともいさめともつかない言葉が返ってきます。
言われてみれば、そうですね。何もないときは細かな用事は皆妻に任せて、すぐに自分の部屋に入って音楽を聞いたりパソコンの前に向かったりしています。楽しいときや過ごしやすい春や秋が短く思えるのと同じですね。酷暑の夏や厳寒の冬ばかりやたら長く思えるものです。
アンプ更新と模様替え [オーディオ]
30年間使ってきたYAMAHAのプリメインアンプAX-1200のフォノ入力が壊れてレコードが聴けなくなったとお伝えしたのは前々回の記事でした。それから二週間、予想通り楽しくもあり悩ましくもある日々の連続でした。
修理、フォノイコライザの追加、プリアンプの追加、プリメインアンプごと交換、いろいろ選択肢はあったのですが、まず選択したプリアンプの追加はオークションに敗れ続け、結局、プリメインアンプごと交換することになりました。
新しいプリメインアンプはこんな感じです。交換と言うより、私としてはグレードアップを目指したつもりです。おかげで、NikonD5000よりワンランク上のデジタル1眼を買うために、貯めていた500円玉貯金を取り崩すはめになりました。
このアンプを設置するために、ここ数日また部屋の模様替えをしています。今までのシステムをばらし、ラックを移動させ機器の移動をして再び設置、最後に配線のやり直しです。
ただ接続するだけでなくRCAケーブルやスピーカーケーブルのチャンネルやプラスマイナスの極性を合わせたりと、けっこう面倒な作業がつきまといます。おまけにスピーカーケーブルの長さが足りなくなる事態が起こったりと、なかなか計算通り行きません。
一時期こういう作業、ひどく面倒くさく感じることがあったのですが、オーディオ熱復活と共に、細かな作業も厭うことなくできるようになってきました。ここ10年で何度こんなことをしていることでしょう。
前回の模様替え後、気になっていたのがレコード棚の配置です。前回は部屋をすっきり見せるために座っている椅子の背後にレコード棚を設置したのですがこれが失敗でした。どうしても自分からブラインドになるので、レコードを聞く度合いが減りました。
今回の模様替えでレコードを移動させながら、改めてジャケットを見て、懐かしい思いに駆られたり、自分のライブラリーでありながら、初めて見るようなジャケットに出会ったりで新鮮でした。
ある程度模様替えのめどはついたのですが、詳しく報告できる余裕がありません。次回には機種並びに新しいシステムでの感想など諸々、お届けできるかと思います。
シロツメクサ [オーディオ]
so-netのブログ容量がもうすぐいっぱいになるので、次のブログのフォトヘッダー用にと思って、シロツメクサの写真を撮っておいたのですが、季節はどんどん進み、週1のペースではすぐに置いてきぼりを食ってしまいます。幸い、残り10MB切っているとは言いながら、一度に写真をたくさんアップしなければまだ数回分は持ちそうです。
先日、所用で大阪に出たとき、例によって少し時間を盗んで駅前のヨドバシカメラ梅田店によって来ました。スマホ売り場やパソコン売り場、カメラ売り場などを見回って最後は3階のオーディオコーナーに立ち寄るのが常です。そしてたくさんのスピーカーとアンプが並んだ視聴室に入ります。
視聴室では女性ボーカルが流れていました。スピーカーの間に立って聞くと、すぐそこで唄っているような臨場感がありました。スピーカーはB&Wです。アンプはたぶん、マッキントッシュ、プレーヤーもマッキントッシュのSACDプレーヤだったと思います。
いつもはこじんまりと、自分のシステムを聞くばかりの日々、たまには外の音も聞いてみるものですね。そこで聞いた音は普段私が聞いている音とは明らかに質が違うように思えました。
もっとも、だからといってそのシステムが欲しいと思ったわけではありません。またいつかは揃えようと思うには私は歳を取り過ぎていますし、合わせて100万を超えるだろうシステムをすぐ手に入れるのは、宝くじでも当たらない限り無理な話です。しかもその宝くじも最近は買っていないとなれば・・・
私のオーディオは去年だったか、二万円ほどのUSBDACを買ったあたりで止まっています。これ以上ステップアップするには、さらに良いアンプ、スピーカー、プレーヤが必要になり当然資金的にもかさむので、防衛本能が働いてブレーキがかかっています。
ところがこちらがそういうつもりでも、オーディオの方が黙っていてはくれません。長年愛用してきたYAMAHAのプリメインアンプAX-1200の調子が悪くなってきました。
普段ちゃんと音も出ているのですが、唯一レコードだけ音が出なくなってしまいました。ここ半年ほど、接触不良なのか片チャンネル音が出なかったりしていたのですが、とうとう両方とも音が出なくなってしまいました。
片チャンネルだけ音が出なかった時は、コードを揺すると音が出たのですが、今回はどちらのチャンネルもうんともすんとも言わなくなってしまいました。
レコードを聞く分には、もう一方のシステムがあるのでたちまちは困らないのですが、そちらは真空管アンプに繋がっているので、手軽にと言うわけにはいきません。
AX-1200、30年ほど前、その頃まだ田舎にもあったオーディオショップで買ったのでした。10年ほど前に、ガリがひどくてメーカーで綺麗にしてもらったのですが、もう限界でしょうかね。同じアンプを使っていたたいへーさんも、数年前にアンプ交換されましたしね。
今のところ駄目なのは、レコードだけなのでフォノイコライザーだけ買うと言う手もあります。あるいは、AX-1200のパワーだけ活かしてプリアンプを買うか、これ以上機器を増やしたくないのでプリメインアンプごと交換するか。
久々にオーディオの悩ましい夜がやってきそうです。もっとも悩ましいと言っても、旅行を計画したりする時と同じで、買うまであれこれ考えるのが楽しいのですが。
鳥や獣よけに畑はネットで囲んでいるのですが、何処にほころびがあるのかツバメが迷い込んでいました。ツバメ、普段はなかなかしっかり捉えられないのですが、おかげでゆっくり撮影することができました。撮影が終わって入り口を開放しておいたら、ネットにも引っかからず無事、脱出していきました。
ハイレゾを聞く(2) [オーディオ]
先週はびっくりするような寒い日があったのですが、今週はまたびっくりするような暖かい日があって、急にウグイスの鳴き声がいくつも聞こえて来たり、桜の蕾が膨らんで丸みを帯びてきたりしています。
ご近所のウメとサンシュユももう満開ですね。晴れた日に撮った画像、パソコン取り込みに失敗してしまい、慌てて撮り直しましたが、生憎の雨上がりの夕方、写真としては最悪の条件になってしまいました。
さて、今日はハイレゾの続きです。何回か日を分けて聞き比べをしているのですが、我がB級オーディオシステム、それほど解像度が良いわけではありません。その上、私の耳も機器同様かなり老化しているので、細かなニュアンス、聞き分けられません。その辺のところ考慮されてお読みください。
まずトランジスタの組み合わせ、YAMAHAのプリメインアンプAX-1200とCelestion100で、CD、ハイレゾ、レコードと聞き分けてみました。私の持っているスピーカーの中では、Celestion100がいちばん現代的な音を出すスピーカーではないかと思います。
聞いた曲はe-onkyo musicでダウンロードしたお試し版ともいうべきアルバム「ハイレゾで聴くブルーノート」です。収録曲は有名な物ばかりで、Moanin' Autumn Leaves Maiden Voyage Blue Train Night Dreamerとそうそうたる顔ぶれです。
CD、レコード、ハイレゾと三つの音源が揃う Moanin’ Autumn Leaves Blue Train 中でもマイルス、キャノンボール・アダレイのAutumn Leavesを中心に聞きました。
まず、CDですがプレーヤーがDENONの廉価版プレーヤーDCD-755AEですからハンデがあるかも知れません。CDの音というと音が硬くデジタル臭がしてあまり好きではないのですが、実際まともに聞いてみるとそれほど悪くありませんでした。
ただ音の表情がどちらかといと棒のように一本調子でしなやかさや艶のようなものが感じられません。ハンク・ジョーンズのピアノが少し引っ込んで聞こえました。
次にハイレゾ音源を聞きました。詳しい事は分からないのですが、CDは周波数が44.1khz、16bitであるのに対して、ハイレゾはflac 192kHz/24bitですから、CDより情報が多い分有利なはずです。
まず聞いてみて最初の印象は、思ったより音が優しいと言うことです。デジタルがCDよりさらに進化するのでもっと鋭く硬い音、目の覚める様なくっきりした音がするのではないかと身構えていると拍子抜けします。
もちろんスクラッチノイズやテープのヒスノイズなどはありません。あまり押しつけがましく前に出て来る音ではなく、あくまで精確な音という感じです。クリアでよく隅々まで出る音と言うべきでしょうか。最初に聞いたとき、レコードとあまり違いを感じられませんでした。
最後にレコードをかけました。プレーヤーはDENONのDP-57Lで、針はDENONのMCカートリッジ、DL103LC2です。当然ですがMCでもかすかにスクラッチノイズは入ります。でも、聞き始めてすぐにやはりこの音だと思ってしまいます。
音の善し悪しより、まず音楽が生き生きして聞こえるのです。音が弾んでいるような伝わってくるエネルギーの質が違うような。そんな風に聞こえるのは耳がレコードの音に慣れているからでしょうか。
もっといろいろな音楽、音源を聞いてみないと分からないのですが、今回聞いた限りではハイレゾと言ってもそれほどびっくりするような音が出る訳ではないと言うことが分かりました。
以前、ヨドバシカメラの売り場で、ソニーのウォークマンがハイレゾのデモンストレーションをしていて、備え付けのヘッドホンで聴いたときも、別に感動するようなことはなかったですね。
ただ、今までMP3の音とか、パソコンの音をUSBDACなしで聞いていた人には、目が覚めるような素晴らしい音に聞こえるかも知れませんね。しかし、それはハイレゾ音楽と言うより、USBDACが介在していることから来ているのではないかと思います。
また、音の違いを比べるのには、私のシステムと私の耳ではいかにもロートル過ぎました。もう少し現代的なシステムで、しかも高性能ヘッドホンなどで聞くとより微細に違いが分かるような気がします。
次に真空管アンプ、我が家のA3500改でも聞いてみましたが、これはミスマッチでしたね。真空管アンプはまた別の独特の空間を展開します。全体に音は少しくすみ丸くなります。独特の世界です。CDやハイレゾ、レコードの違いを感じる前に、トランジスタアンプと真空管アンプの違いが先に際立ってしまいます。
あと、ハイレゾというともう一つの形式DSDがあります。こちらの方が音的にはハイレゾ本命なのですが、残念ながら音源が限られています。私が聞くような古いジャズは録音時期も当然古いため、DSD再生できるスペックがありません。
従って、DSDに関しては最新録音の最新音楽にほぼ限られるのですが、私はまだどんな音楽を聴いたら良いのか分かりません。雑誌の付録に付いていたDSDを聞いてみましたが、目を見張る音、巷で言われるような息づかいも聞こえるような臨場感は感じられませんでした。
e-onkyo musicには、ジャズの名盤がかなりリストアップされています。スペックは皆flac 192kHz/24bitです。クリフォードブラウンメモリアル、ビル・エバンスのワルツフォーデビー、ケニードーハムの静かなるケニー、バグス・グルーブなど欲しいアルバムが目白押しですが、CDとレコードを持っていてまた新たに買い直す必要性があるかというと少し迷います。
もう一つ、欠点はダウンロードに思ったより時間かかることです。私のパソコンのスペック、無線LANという環境も手伝ってはいるのでしょうが、一時にたくさんのダウンロードには向かないですね。
今回の視聴を通して、ひょっとしたら、私のオーディオ生活、音楽生活がひっくり返るほどの衝撃をハイレゾはもたらすのではないかと思っていたのですが、今のところ杞憂でした。分かったのは、ハイレゾ、レコードに匹敵するくらいよく頑張っているなぁと言うところでしょうか。
ハイレゾを聞く(1) [オーディオ]
2月も終わりですね。暖かい日が2.3日続いたので家の裏を探してみたら、まだポツポツですがおなじみの早春の使者の訪れがありました。
さて、記事の方は久々にオーディオ話です。実はオープンリールデッキの続きがあり、あと1.2回書いてきちんと始末を付けてから、今回の話に進みたかったのですが、まとめきれないでいるうちに月日はどんどん過ぎてしまいました。
アナログとは真逆、デジタル音源の話になりますが、それは以前から使っていたipodが壊れたのがそもそものきっかけでした。
私はきちんと音楽を聞く時以外にも、部屋にいる間ずっと音楽を流しています。itunesでリッピングしたCDタイトルをipodでシャッフルして連続して再生させるのです。ipodのイヤホン端子からオーディオ装置へRCA入力して聞いていました。
もちろんレコードやCDに比べると音の質は落ちましたが、じっくり聞くわけではないのでそれでもよいと思っていました。しかし、いつ頃からかipodクラシック、連続再生の途中で音が途切れるようになりました。初めは我慢していましたが次第に頻度が増してとうとう我慢できなくなりました。
仕方無し一時期パソコンでインターネットラジオを聞いたり、パソコンにインストールしているitunesでライブラリを再生したりしていました。ただパソコンの音、ヘッドホン端子からオーディオ装置に繋いだだけでは、とても満足できる音になりません。いくら流し聞きとは言っても気持ち良い音で鳴ってくれないと却って耳障りになります。
またipodを買い直そうかなとも思ったのですが、同じお金を使うならハイレゾも聞けるUSBDACを導入することにしました。これはデジタル信号をアナログに変換する装置です。パソコンとUSBで繋ぎ、そこからRCA接続でオーディオシステムに繋ぎます。
今流行のハイレゾ、オーディオを趣味にする身としては気になる存在です。どんな音がするのか、果たして革命的なのか、一度は体現したいと思います。
アイファイオーディオ USB入力専用デジタルヘッドフォンアンプDAコンバーター/DDコンバーター/USB入力専用プリアンプiFI-Audio nano iDSD
- 出版社/メーカー: ifi Audio
- メディア: エレクトロニクス
これが今回私が買ったUSBDACです。小さいですがなかなか質感があり、アップル製品に通じるMONOとしての存在感と魅力があるように思えます。私がこれを買った時点で、この小ささ、安さでPCM再生とDSD再生をこなすのは珍しい存在でした。
USBDACは安いものだと一万円以下のものがあり、上は数百万と果てがありません。しかし、私の財布は限りなく限界があります。ある程度のクオリティを求めると最低これくらいの物は必要だそうです。
私は持ち歩いてまでハイクォリティを求めないので、据え置き型がよかったのですが、据え置き型になると値段がもう少し高くなるのでこちらにしました。購入したのは去年でした。
とりあえずパソコンとオーディオシステムの間に繋いでitunesを再生してみました。これが思いの外よかったですね。まずヘッドホン出力とは大違いでした。ぼやけた音がすっきりクリアに聞こえるようになりました。
itunesに入れてある音楽形式はアップルロスレスですからCDを聞くより音は悪いはずなのですが、USBDACを間に挟むことによってここまで音がよくなるとは思いませんでした。ハイレゾがどんな素晴らしい音なのか知りませんが、ながら聞きする分には、これでも十分じゃないかと思いました。
USBDAC導入だけでけっこう気に入ったので、それだけで満足してしまい、手間のいるハイレゾ再生はつい後回しになってしまいました。ただ、メインで使っているパソコンで作業しながら音楽を聞くにはやはり何かと支障があるので、2万円ほどの中古パソコンを購入してこれを音楽再生専用に使うことにしました。
半年ほどそうして聞いていました。その間もずっとハイレゾは気になっていて、いつ取りかかろうかチャンスを待っていたのですが、先日ようやくハイレゾに挑戦することができました。
オーディオ装置の方は揃っているので後は音楽を管理し、再生するソフトです。ハイレゾ音源の主流はFLACとDSDなのですが、これがウインドウズ標準のウインドウズメディアプレーヤーやitunesで再生できないのです。
それでfoobar2000というソフトをインストールして作業しました。雑誌の付録の音源もあったのですが、やはり聞き慣れた音で聞きたいので、ハイレゾ音源をダウンロード販売しているeーonkyoから「ハイレゾで聞くブルーノート」を購入しました。
曲はMoanin'[Remastered 2013]、Autumn Leaves[2012 Remastered]、Maiden Voyage、Blue Train、Night Dreamer と言うラインアップで、いずれも5.60年を代表するブルーノートの名演です。5曲で967円でした。ファイル形式はwaveもありましたがflac 192kHz/24bitにしました。これらの曲は聞き慣れているので音を比べるのによいだろうと思いました。
さて、聞いた感想ですが、初めはやはりちょっと興奮しましたね。なんと言っても初ハイレゾですからね。ちょっと感動しました。部屋の両脇に広がったスピーカーがそれぞれしっかり音を出している、躍動しているのがはっきり分かりました。
普段聞いている時より音量を上げ気味にしたせいかスピーカーの存在がとくに際立って聞こえましたね。この場合Celestion100だったのですが、ツイーターからスコーカー、ウーハーとすべてがはっきり活躍しているのが分かるという感じでした。
細部まできちんと音が出ている。もちろん雑音もなく音は綺麗です。CDのような音の硬さもありません。ただ、音が綺麗すぎるせいでしょうか、聞いているうちに少し物足りなく思えてきます。
レコードで味わったあの汗が飛び散るようなエモーショナルな部分が感じ取りにくいのです。この頃のジャズというと、音の善し悪しも大事ですが、何より伝わってくるエネルギー感に圧倒されたものです。それが伝わって来にくかった気がしたのは歳のせい、感性の衰えでしょうか。
もう少し追い込んで聞かないと分からないかも知れません。音源も是非クラシックも聴いてみたいものです。それと、CD再生でも多少音の角が取れて相性が好いように思えた真空管アンプに繋いだらどう聞こえるか、JBLのスピーカーだとどんな風に変化して聞こえるか、あるいはハイレゾの本命、DSD再生ではどんな音が出るのか、それらはまた次回に試してみたいと思ってます。
静かな朝 オープンリール顛末その3 [オーディオ]
朝、しとしととこの時期にしては静かな雨が降っていました。気温は低く9月半ばの陽気だそうです。日が暮れるとあちこちから虫の音が聞こえてくるようになってきました。
今年の夏、台風11号以降、すっかり気圧配置が変わってしまったようです。それまでのカンカン照りは影を潜め、雨の降らない日がないほどです。今年の梅雨より梅雨らしい日々が続いています。
田んぼでも8月末は早生種の刈り取りの時期なのですが、連日の雨でコンバインを田んぼに入れる事ができないようです。畑は、雨のせいで夏野菜はすっかり終わってしまいました。今元気なのはサトイモ、サツマイモ、オクラくらいです。
今日は伯母の告別式に出席するため仕事を休みました。伯母と言っても母の一番上の姉なので95歳でした。去年まで畑仕事など元気にしていましたが今年に入って急に衰えだし、3ヶ月ほど入院した後亡くなりました。告別式は午後からなので朝はゆっくりしています。
久しぶりに書きかけのままになっているオーディオ記事、オープンリールデッキの続きです。
オープンリールデッキを手に入れたからといっていつもオープンリールデッキで音楽を聞いているわけではありません。一時の熱が冷めると、また普段に戻ってレコードやらCD、ラジオなどで音楽を楽しんでいます。
ただ、デッキも機械もの、しかも古い機器なのでたまには火を入れてやらないと不調をきたします。それで時折、テープを聞きます。今朝はポリーニのテープがかかったTEAC X-10Rを動かしならパソコンに向かっています。
マウリッツオ・ポリーニのFM放送録音テープを38年ぶりに再生出来たまでは良かったのですが、せっかくデッキを手に入れたのに再生できる音源がそのテープと出品者がテスト用に録音してくれたテープ(浅川マキのライブレコードを録音したもの)、そして自分でレコードを録音したテープしかありません。それではさすがに物足りなくなってきました。
そこで音入のオープンリールテープを手に入れようと最寄りのハードオフなどに行ってみたのですが、レコードは置いていますがさすがにオープンリールテープはありませんでした。やはりオークションに頼るしか仕方なさそうです。
オークションでも内容も品質も安心なのがミュージックテープです。出品の数もあまりありませんし、レコードに比べると割高ですが、レコードでも所有していないエラ・フィッツジェラルドのテープを1点見つけたので落札しました。
オークションには他にもレコードを録音したもの、生録したもの、FM放送をエアチェックしたものなど色々と出ているのですが、プロが作成したレコードやミュージックテープなどと比べるとその内容も品質もかなり曖昧です。
録音済みオープンリールテープと言うのは、オークションに掛ける場合、著作権の関係で色々と制約があるようです。出品されているテープのほとんどが録音内容は不確かで、あくまでデーター消去して生テープとして使うことを前提にオークションにかけられています。
そんな中、FM放送を録音したテープを15巻ほどまとめて出品している方がありました。すべて7号テープなのですが、そこに掲載されているテープの写真を見るとケースに録音データーが記入されているのが読めようになっていました。
中に「エラ・フィッツジェラルド 中野サンプラザ」と記入されているのがありました。調べてみるとエラ・フィッツジェラルドは1974年に来日して2月13日と14日に中野サンプラザでコンサートを開いています。そして翌々日の2月16日、渋谷公会堂でのコンサートに私は行ったのでした。
この来日時、バックを務めるトミー・フラナガン・トリオが休みの2月15日を利用してレコーディングを行っています。そのレコードは所有していますが、エラの来日盤は発売されていなかったと思います。ですからこの時の来日の模様を放送したFMの録音テープは大変貴重です。
レコードと違ってこれは一点しかありません。FM放送ですから他にも録音されている方は多数あったでしょうが、もう40年ほど昔のこと、再びオークションで見かけることがあるかどうか。
これはどうしても落札したいと思いました。エラのコンサート録音テープ一巻だけでも落札する価値があります。しかし出品画像をよく見てみると他にも、オスカー・ピーターソン、アニタ・オディ、ポール・マッカトニーとウイングスなど70年代なかばに来日した有名ミュージシャンの名前が並んでいます。
当然落札価格は上昇します。とくに終了間際は白熱しましたが落札すると決めているものには勝てません。落札価格が高かったのかお得だったのかわかりませんがなんとか落とすことが出来ました。これで一安心、あとはテープの到着を待つのみでした。
しかし、世の中、なかなか思ったようには行かないものですね。テープが届き、早速デッキにかけてみたのですがどうも様子が変です。次々再生してみるのですが、ちゃんと再生するのもあれば、うまく再生出来ない物があります。
ケースにある記録を調べてみたら、なんとこれら15巻あまりのテープ、スピードは19cm/秒に統一されていましたが2トラと4トラまちまちに録音されていたのです。7号テープばかりだからなんとなく4トラ19と思い込んでいたのがそもそもの間違いでした。
これには参りました。せっかく4トラ機に買い替えていろいろな音源を楽しもうとしたのに、またまた2トラの音源を入手してしまうなんて。しかも一番聞きたかったエラ・フィッツジェラルドのコンサート録音テープが2トラ録音だったとは皮肉です。
送られてきたテープの3分の1は4トラ録音でしたので、とりあえずそれらの再生を楽しむことが出来ました。クインシー・ジョーンズ、原信夫とシャープ&フラッツ、マッコイ・タイナー、ゲーリー・バートン、秋吉敏子、グラシェラス・スサーナ、オスカー・ピーターソンというそうそうたる顔ぶれ、これだけでも価値があります。
しばらくはそうして4トラテープを再生して楽しんでいたものの、あるていど聞き終わると、再生できずに積まれたままの2トラテープ群が気にかかります。しかもこちらは、エラの他にアニタ・オディ、シャーリー・バッシー、キャロル・キング、トム・ジョーンズ、スティービー・ワンダー、ポール・マッカトニーとウイングス、サンタナ、ダイアナ・ロスと言ったメンバーです。
世の中には2トラ4トラ切り替えるデッキもあるようですが、私はすでに4トラ機を一台持っているので買い替えが必要になります。しかも切り替え可能デッキは高そうですし出品も少なめです。
しばらくはそれらのテープを横目に悶々とした日々を送っていましたがある日、私はとうとう決心してしまいました。それら2トラ録音のテープを聞きたい欲求と、もう一度2トラ38の音を聞いていみたいと言う誘惑に抗しきれなかったのです。
こちらが2トラ38を録再できるTEAC X-10Mです。TEACのX10Rを出品されていた同じ方が、X-10Mも出品されていたので購入しました。しかもなぜか数千円ですがX10Rより安く購入することが出来ました。
その結果、我がḠ級オーディオ庵ははじめの模様替えの計画とは違って、またかなりの機器が所狭しと並ぶご覧のような有り様になってしまいました。
37年ぶり~オープンリールデッキ顛末その2 [オーディオ]
6月に入ったと思ったら、そうそうと梅雨入りしてしまいましたね。我が家のアジサイはまだ小さな蕾、庭のドクダミとハクチョウゲが白い花をナンテンが白い蕾をつけています。
今日は土曜日になってしまいましたが、先々月からそのままになっているオーディオ話、オープンリールデッキの続き話でもしようかと思います。
思い切って落札したTASCAM33-2は2トラ38機でした。しかも買って間もなく故障してしまったのですが、運良くお金が戻ってきたところまでお話しました。
これに懲りてオープンリールデッキの導入を諦めたのでは、幻のテープを聞くことができません。すでに気持ちが前のめりになっている私は、新たな出費の必要がなくなったのを幸い、戻ってきたお金で4トラックテープを再生できるデッキを漁ることになりました。
本来なら、返品返金したお店で次の4トラックデッキを買い直すのが筋ですが、そのお店はオーディオ専門店ではありましたが、他にオープンリールデッキは出品していませんでしたので他を当たることにしました。
少しはオープンリールの知識もできたので、今度は慎重に機種を選びました。デッキを専門に修理販売している方がおられたので実績を信じて買うことにしました。お値段もリーズナブルでした。
こちらが、新しく購入したオープンリールデッキ、TEACのX10Rです。10号リールを使うと19cm/sで3時間、9・5cm速度で6時間録再ができます。
さて、これでいよいよ長い間眠っていた幻のテープ、ポリーニの来日公演の演奏を聞くことができます。1976年ですから37年ぶり(去年の話)にテープの音が日の目を見るのです。
準備万端整えて、デッキのスイッチを入れます。7号テープは小さくて10号ほど迫力はありませんが、カセットとは違うメカの音を立てて、テープがおもむろに回り始めました。
まず割れんばかりの拍手が両側のスピーカーから聞こえてきます。拍手が鳴り止んで少しの静寂のあと、ふっと空気を震わせる研ぎ澄まされピアノの音が聞こえてきました。高音は時にきらびやかですが軽さはありません。ポリーニ独特の理知的で感情に流されない音の連なりです。
透明で硬質な中高音に比して、不釣り合いなほどポリーニの低音は迫力があるのですが、テープで聞いていてもそれは伝わってきました。
依頼したhoriuchiくんの録音もクリアで素晴らしいピアノの音を拾っていました。音が割れるのを恐れたのか録音レベルはやや低目でしたが雑音のないきれいな音でした。心配した黴もほとんど無くて、テープの往復各一箇所でスクラッチ・ノイズより大きめの雑音が入っただけでした。
私の記憶では、演奏が始まる前、拍手とともにどんどんと足音が響いてポリーニが登場するのですがこの足音は録音されていませんでした。録音されていればもっと臨場感を感じたのですが。
音や音楽を記憶できるほど私は音楽の素養がありませんが、演奏会場で感じた音の透明感のようなものは、37年ぶりに聞いたテープでも感じ取ることができた気がしました。
今回、古いチケットを取り出して気づいたのですが、私は別の日のコンサートの録音だと記憶していたのですが、日付を見て同じ日であることがわかりました。まさしく私が会場に聞きに行ったその日のライブ録音だったのです。そういう意味でも私にとっては貴重なテープです。
ポリーニの来日はこの時で2回目だったと思います。前回の初来日の時は凄い人気でチケットが取れなかったのでした。この時も東京3回の演奏会が4日で売り切れたそうです。私の場所は一階の後ろの方ですが、5000円しました。当時としては高額なチケット代だったと思います。
ポリーニはその後も大活躍でしたが最近はあまりその名前を聞かない気がしますがどうしているのでしょう。年齢は70歳代、今頃はとっくに大御所とかビルティオーゾともっともてはやされてもいい気がするのですが、そういう扱いはストイックな彼としては望まないのかもしれませんね。
37年ぶりのテープが聞けて私は大満足だったのですが、いつもそのテープばかり聞いているわけにもいきません。自分の好きなレコードを10号テープに録音してオートリバースで聞くと3時間は音楽をかけっぱなしすることができます。
はじめはそんな遊びをしていましたが、かけっ放しをするのならいまどきPCオーディオやハードディスクオーディオでいくらでも長時間楽しめます。
それよりもっと他のテープが聞きたくなって、再びオークションの荒波の中に首を突っ込んだのですが、これがまた次の泥沼への入口になるのです。その話はまたその3に譲ることにします。
再会の道は険し~オープンリールデッキ顛末その1 [オーディオ]
地域によって違うとは思うのですが、私たちのところでは今年の桜、本当にきれいでしかも長持ちしました。満開の直前に一端冷えて、それから良いお天気が続いたので満開のまま長持ちしたようです。
また一本の木でも枝によって花が咲く時間に差があるのですが、今年は先に咲いた花が残っているうちに残りの蕾が咲いたので、一斉に咲き揃って豪華でした。
車で走っているとあちらでもこちらでもふんわりした薄桃色の塊が浮かび上がって、こんなに桜の木がたくさん植わっていたのかと思うほどでした。川沿いの堤防の桜並木の連なり、また山間に掃いたように浮かぶ淡い薄桃色、日本画を見るようでした。
良いお天気が続いたので花見もあちこちで賑わっていたようです。我が家の桜の下では、今年も妻がご近所さんを呼んでのお花見、お喋りにも花が咲いたようです。
満開間近の桜を先週ブログにアップして一週間になりますが、まだ見れる程度に花は残っています。時折の風にはらはらと散る風情も良いものですね。次の写真は8日のもの、いつもとは反対側、家の方から山に向かって撮ってみました。
さて、今日は久しぶりに本分に戻ってオーディオの話です。部屋を模様替えしたのはいつのことでしたか。オーディオシステムの配列も決まり、お気に入りのスピーカーも据えて、すっかり落ち着いてしまった感のある私のオーディオライフでした。
もちろんオーディオの夢も人間の欲望の一つ、これで終わりと言うことはありません。ただ何事もそうですが、上を目指せば目指すほどいろいろなことが厳しくなってきます。とくに機器の価格が上がっていきますし、スペースの問題も発生してきます。
そこで我ががらくたオーディオの探求はこの辺でひとまず置いて、次は私でも比較的手が出せそうな、今流行のPCオーディオにちょっとシフトしてみようかなと思ったりしていました。
CDより音が良いと言われるハイレゾ音源にももちろん興味はありますが、それ以上により快適な環境と操作性で音楽を聞きたいと思ったのです。
五年以上前から使っているipodクラシック、しばらく前から音が途切れるようになっていました。少し我慢していると続きを演奏するのですがしばらくするとまた途切れると言うことを繰り返します。
PCオーディオ導入で音が今より良くなり、かつ途切れることなく連続再生出来たり、また手持ちのCDをHDDの中に納めることで、部屋をさらに広く使えるようになれば一挙三得くらいになります。
もっとも、こちらにしても幾ばくかの資金がいりますし、NASを使ったPCオーディオにしようとするとそれなりの知識と技術もいりそうです。それで夢想するだけの日々を過ごしていました。
そんなある日のこと、ネット内をウロウロしていたら何の記事だったか、オープンリールデッキを賞賛している記事に出会いました。そのとき、私の中で何か弾けるものがありました。
そう言えば、昔録音していまだ再生していないオープンリールのテープが1巻あったのです。もう40年近い昔、知り合いに無理を言ってエアチェックしてもらったまま、デッキを手に入れることが出来ずずっと眠ったままでいます。
私のオープンリールデッキとの関わりや、そのテープについての記事はこちらを参照してください。
こちらが約40年ほど前にhoriuchiくんにエアチェックしてもらったポリーニ来日公演のオープンテープ(7号4トラ19)
このオープンテープはその後、何回も行方不明を繰り返しながら、また何かの折に私の前に現れるのです。今回も紛失したと思い込んでいましたが、模様替えしたおりに書棚の間から出てきました。ケースは劣化していますが、テープ事態はナイロン袋に入っていて外観は問題なさそうです。
今までも何度も聞いてみたいと思いましたが、そのハードルの高さについ先送りしていました。しかし、今回は無性に聞きたくなりました。何となくこれがもう最後のチャンスにも思えたのです。
それからPCオーディオとは全く逆、アナログのもう一方の雄、オープンリールデッキを求める旅が始まったのは去年のことです。旅と言っても例によってネット巡りなのですが。
オープンリールデッキ、今では新品は海外製しかありませんしべらぼうな値段です。信頼の出来る中古ショップには往年の名器が並んでいますが、これまた私にはすぐには手を出しかねる値段です。
そこでいつものネットオークションです。こちらは私でも手が出せる値段のものが時々出ていますが、それはそれ、古くて複雑なメカを備えた機器です。どうしても危険と隣り合わせになります。
いろいろ検討して安心できそうなお店から手頃な値段のTEACのプロ用デッキ、TASCAM33-2が出ていたので入札、何とか予算内の金額で落札することが出来ました。
こちらがTASCAM33-2です。届いてみて改めてその大きさと重さに驚きました。模様替えの時、ちゃんと機器の寸法、配列も考えて配置したので、余ったスペースがほとんどありませんでした。
何とか無理やり場所を作って据え付けました。まずは音出しです。結線まではスムーズに済みましたがさすがオープンリールデッキ、一筋縄ではいきませんでした。カセットテープになれた世代にはいくつかの難関が待ち構えていました。
せっかくデッキを購入するのですから別の音楽も聞きたくて、オークションでテープやリールを落札しましたが、落札のタイミングの違いでリールが届かなかったり、落札できなかったりしました。
巻き取り用のリールがなければ唯一あるポリーニのテープも再生出来ません。テープ、リールがちゃんと届いて、何とか最初の音出しまでこぎ着けたのはデッキ到着から1週間ほど経っていたと思います。
さてテープの取り回しですがさっぱり分かりません。高校生の頃、オープンリールプレーヤーを買ってもらって操作したことはあるのですがもうすっかり忘れています。
マニュアルを見ながらテープを取り付けるのですがこれが分かりづらいのです。テープをいくつものローラーやヘッドを通過させてから反対側のリールで巻き取ります。すべて手作業です。
何とか取り付けて再生スイッチを入れるとテープがゆっくりと回り始めました。期待に胸膨らむ瞬間です。私のオーディオシステムから初めてオープンリールテープの音が流れます。
しかしどこか変です。期待したほど音がきれいではありません。どこか籠もっています。おまけに右チャンネルと左チャンネルから違った音が聞こえたり、重なって聞こえます。またテープによっては片方のチャンネルからしか音が聞こえてきません。
初めはちんぷんかんぷんでしたが、そのうち原因が分かりました。33-2は2トラ38機だったのです。しかし、ポリーニのテープも後から購入したテープもほとんどが4トラ19インチ録音のものでした。
私はよく調べもせず、ただ音が良いという生半可な知識だけで2トラ38機専用機を選んでいたのです。ところが一部の機種を除いてほとんどの2トラ38機は4トラックを再生出来ないのでした。
オープンリールデッキに携わっている人ならこんな事は常識なのでしょうが、私はすっかり失念していました。後から思い起こすと、ずうっと昔、オープンリールデッキが欲しかった時、テープサイズやテープスピード、トラックのことなどを勉強したことがありました。でも、もうすっかり忘れています。
落札したいくつかのテープの中に1巻だけ2トラ38で録音されたものが混じっていました。知らない演奏家のものでしたが、録音の質も高いクラシックの現代音楽でした。短い演奏でしたが2トラ38機の実力を知らしめるには十分と言う気がしました。
試しにレコードからも録音してみることにしました。レコードから録音なので当然音は劣化するはずなのですが、それがまたレコードとは違った聞こえ方がするところが面白いですね。少なくともカセットに録音したときのような劣化や音のふらつき、軽さのようなものは感じられません。音がびしっとしていて力強い感じです。
せっかく2トラ38機の音を聞けたのは良かったのですが、これでは肝心のポリーニの演奏が聞けません。もう一台4トラ再生機を購入するお金もスペースももはやありません。さてどうしたものかとしばらく悶々とした日々を送っていたのですが、ある日奇跡が起こりました。
2トラ38機で4トラテープが聞けた訳ではありません。ある日のこと、何も触っていないのに急にデッキが回転し始めたのです。しかも狂ったように高回転で回り続けます。慌てて、ストップボタンを押しましたが止まらないので電源を落としてやっと止めました。
電源を入れるとまたいきなり回り始めます。どのボタンを押しても効果ありません。完全に制御不能に陥っています。向かって右側のテンションアームを手で持ち上げてやると止まる事が分かりました。どうやらテンション/シャット・オフ・アームが兼ねているスイッチが馬鹿になってしまったようです。
買ってからそれほど時間が経っていませんでしたし、使用回数も少なかったので、ダメ元で販売店に交渉してみたら、なんと販売店、親切にも送料込みで引き取ってくれました。やれやれです。
続きの話は、また今度です。
レコードいろいろ [オーディオ]
11月も下旬、さすがに寒くなってきました。桜はすっかり葉を落として裸の枝を露出しています。訪れる野鳥はヒヨドリくらいですが、もう枝葉が邪魔しないのですっきり全身を見ることが出来ます。
里ではもう色づいている木々もあるのですが、周りの山々を仰いでみると、まだぼけた写真みたいにコントラストが弱く、色のグラデーションもぼんやりしています。山肌が鮮やかに色づくにはもう少し時間がかかるようです。
9月でしたか10月でしたか、日曜の朝、チャンネルを移動させていたら「所さんの目がテン」という番組がレコードを取り上げていたので見てみました。残念ながら番組冒頭は見逃してしまったのですが、街頭インタビューでレコードを持っている人たちを探し、持っている人を見つけてはプレーヤ持参でその方のお宅を訪ねたりしていました。
ほとんどの方が中年以降の方でしかも、レコードを持っているけれどプレーヤーはもう無いという人たちでした。そこで番組スタッフがその方のお宅にレコードプレーヤーを持参し、しまい込まれていた懐かしいレコードを演奏するのです。確か画面に映っていたのはDENONのDP-500Mだったのではないかと思うのですが、ちょっと突っ込みを入れたくなりました。
DENON アナログレコードプレーヤー 木目 DP-500M
- 出版社/メーカー: デノン
- メディア: エレクトロニクス
蓄音機ならいざ知らず、レコードプレーヤーはそれだけでは音が出ません。当然その家にステレオ装置があることが前提です。しかも今のCD中心のステレオセットだと、イコライザーを搭載していないものが多いので、その場合はプレーヤー以外にフォノイコライザーも必要になります。
この日の話題はレコードであって、オーディオではないということでしょうか。番組の中のレコードプレーヤーは視聴者にわかりやすいように象徴的な意味合いで登場していたのかもしれません。
番組ではいろいろな実験をしていました。たとえば10人ほどのモニターを集めて同じ音源のレコードとCDを聞かせてどちらの音が優れているかブラインドテストしていました。
結果は10人中7人がレコードの方が音がよいと判断していて意外に思いました。今の若い人ならCDに慣れているのでそっちを取るかと思ったのですが、やはりレコードの音の方が臨場感があると言う感想でした。
では、なぜレコードの方がCDより音がよいのか、番組では科学的に検証をすすめました。CDとレコードの音の波形を比べて、CDでは人の耳では聞こえない高い音がカットされているが、レコードの音はより原音に近い波形になっているということでした。
なんだか今更と言う気もするのですが、レコードを知らない若い人たちには説得力のある情報なのかも知れません。その後、若い人にレコードのシングル盤(いわゆるドーナツ盤)を正しく演奏出来るかどうか実験していましたが、10人中演奏出来た人はなんとゼロでした。
コマーシャル入り30分の番組でしたから内容自体は通り一遍のものでしたが、なぜ今更テレビ番組でレコードを取り上げたのかと思ったら、最近またレコードが注目を浴びているのだそうです。
それにしても青春時代をレコードとともに過ごしたお父さんお母さん、レコードプレーヤーがすでに無いにもかかわらず、大事にレコードをしまっていると言うのが面白かったですね。インタビューを受けていた人は女性より男の人の方が多かった気がします。
私はと言えば、番組を見るまでもなくレコードの音に軍配を上げている一人なのですが、それでも音楽を楽しむためにはCD、レコード、デジタル音楽などを使い分けて聞いています。それぞれ特徴があるので優劣をつければよいというものでもないと思います。だたこの間、真空管アンプでレコードを聞いたあとからCDを聞いたら、やはりCDの方が音が硬いなとは思いましたね。これまた今更の感想なのですが。
3番目のプレーヤー [オーディオ]
3番目のプレーヤーと言っても、スポーツ選手の事ではありません。久しぶりのオーディオネタ、レコードプレーヤーの話です。
ビクターのQL-Y44Fと言います。去年の暮れ、部屋を模様替えした時に3番目のプレーヤーとして押し入れから引っ張り出して来ました。
このプレーヤー、名器でも何でもありません。CDプレーヤーが手頃な値段で出回りだした1980年代中頃に発売されたもので、値段も安いCDプレーヤーと同じくらいでした。
それまで大半を占めていた重厚でマニアックなレコードプレーヤーとはすっかり方向性を変えて、安さと手軽さを前面に打ち出したフルオートプレーヤーという感じです。
この時代、レコードはすでにCDの波に飲み込まれようとしていたのでしょうか、QL-Y44FだけでなくあのDENONでさえ、よく似たコンセプトのフルオートプレーヤーDP-47Fを発売しています。
そんなとき、私はCDプレーヤーではなく、東京から持ち帰ったマイクロのベルトドライブプレーヤーMR-411が10年を超えていたので買い換えを検討していました。帰郷するとき秋葉原で買ってきた予備の交換ベルトも在庫がなくなっていました。
次にレコードプレーヤーを買うときは、ベルト劣化の心配がないダイレクトドライブにしようと思っていましたが、その頃、市場はすでにダイレクトドライブのプレーヤーばかりでした。
QL-44Fは、地元で唯一のオーディオ店の店頭に幾つか並んでいたレコードプレーヤーの中で一番安かったような気がします。オーディオ熱が冷めていた私は、オーディオ誌を読んで検討するといったこだわりもなく、ただ小遣いで賄える値段だけを考えて買ってしまいました。
その後、オーディオ復活するまで約20年ほど、カートリッジを付属のものからオーディオテクニカに変えて、メインのプレーヤーとして使っていました。スキャンダイナのスピーカーを天井近くの棚の上に配して聞いていた我がオーディオ生活暗黒時代を象徴するプレーヤでもありました。
いかにも重厚で精度の高そうなDENONのDPー57Lを中古で購入したのは、50歳を超えてオーディオ復活してからのことです。ガリが出まくっていたYAMAHAのプリメインアンプAX-1200もメンテナンスに出しました。
そして、MR-411はベルトがネットで購入できるとわかって、復活させることにしました。その結果、反対にQL-Y44Fが押し入れに放り込まれることになったのです。
不要になったQL-Y44Fはネットオークションに出品することも考えましたが、無名のプレーヤー、そんな高い値段がつくはずもないので躊躇したまま放っていました。
それが今回の模様替えで復活することになったのは、お気に入りのカートリッジをいちいち交換しなくても、レコード演奏を楽しみたいと思ったからです。
真空管アンプのシステムにDENONのモノラルカートリッジDL-102をマイクロMR-411に、もう一つのプレーヤーDENONのDP-57LにオルトフォンMC-20を付けMCトランスAU-320で切り替えます。
一方トランジスタアンプAX-1200には、MCトランスAU-305を介してDENONのDL-103LC2を、これはQL-Y44Lのアームに固定します。
こうすることによって、カートリッジをいちいち交換しなくても、トランジスタアンプでステレオカートリッジを、真空管アンプではステレオとモノラルのカートリッジを楽しむことができるようになったのです。
かつてレコードプレーヤはユニバーサル型S字アームが主流で、ピックアップ部分はシェルごと交換することによってカートリッジの音の違いを楽しめるようになっていました。それが80年代頃からストレートアームタイプのプレーヤーが増えだしたような気がします。
ストレートアームのヘッドシェルは独特の形状をしていて普通のシェルは取り付けられません。カートリッジを交換するには、いちいちこのシェルで着脱しなければならないので、たびたび交換は敷居の高いものになります。
ちなみにDENONのDPー57LはストレートアームとS字アーム二本立てで交換できるようになっています。購入したときはストレートアームが付いていましたが、カートリッジ交換しやすいS字型に変えました。
いつだったか、このQL-Y44Fが某中古ショップに出ていました。4000円くらいだったと思います。ただしカートリッジなしと書かれていました。カートリッジがなくても何とかなりますが、このアーム専用のシェルが無いとこのプレーヤーは使い物になりません。4000円でも高いことになります。
長い間、押し入れに入ったままだったので心配しましたが、フルオートシステムの誤動作はありませんでした。スタートボタンを押すとアームが移動して、レコードの先端を検知すると降りて演奏を始めます。演奏が終わるとアームは上がり静かにアームレストまで戻りアームレストの上に降りると同時に、レコードの回転が弱まります。これら一連の動作は見ていておもしろいものです。
マニュアルのMR-411はアームの上げ下げはすべて手動です。セミオートのDP-57Lは演奏が終わるとアームが自動でリフトアップだけします。QL-Y44Fだけがフルオートです。フルオートはCDプレーヤーでは当たり前のことですが、このように目に見えるものではありません。
プレーヤ自体小さくて軽いフルオートということもあって、DENONのカートリッジDL-103LC2をもってしても、なんとなく音が軽く感じられるのは偏見でしょうか。
皆さんにQL-Y44Fのフルオートの動作をお見せしたくて、D5000のビデオ機能で撮影してYOUTUBEにアップしてみましたが、なぜか失敗してしまいました。
今日のジャズ、Jの続きはJ.J.JOHNSON(ジェイジェイジョンソン)のブルートロンボーンです。トミー・フラナガンのピアノが軽快です。トロンボーンの音色はトランペットほど鋭くなくて、暖かみがありますね。