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梅雨寒の頃 [オーディオ]

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 予想より早く梅雨に入ってしまいましたね。そして梅雨入り前の暑さとは大違いの梅雨寒のこの頃です。半袖を着ていたのに長袖に戻し、かつ上着まで探してしまう始末です。

 でも前から何度も言っているのですが、この梅雨寒の頃、嫌いじゃないんです。世の中が雨の音にひっそり静まりかえって、音楽がいつも以上によく聞こえるような気がします。朝から細い雨がしとしと降り続くひんやりした日に、休みが当ったりすると何か得をしたような気がして、いそいそと部屋に籠もります。



 その肝心の音楽を聞く装置、我が家のステレオのプリメインアンプが壊れてしまいました。壊れたと言ってもフォノ入力が駄目になっただけなので、CDやデジタルオーディオ、テープを聞くことはできます。

 いろいろな手立てがありました。たとえば、これは後から気づいたのですが、一番お金をかけない方法として、我が家にはもう一台、中古のプリメインアンプがあったのでした。

 長い間使っていなかったのですが、テクニクスSUーV6Xと言う機種です。別の部屋でパソコンに繋いで音楽を聞くために中古を購入したのですが、ここ最近全然使っていなかったのですっかり失念していました。

 このアンプ、壊れたアンプと交換するには役不足です。ただプリとメインに分けられる機種なので、このプリ部だけ活かして、壊れたAX-1200をメインアンプとして繋げばレコードを含めて全てのソースを聞くことはできます。

 また、真空管パワーアンプLUX A3500を中心にしたシステムのプリアンプにYAMAHAC-6を使っています。C-6とAX-1200を繋げば、今までとあまり音が変わらない環境が作れそうに思えます。真空管アンプの方には、以前から欲しいと思っていた真空管プリアンプを新たに購入する。そうすれば同じ経費を使うにしても無駄がなくてこれはちょっと名案に思えました。

 またこんな時しかアンプを交換することなどありませんから、少し今までと違った音を聞いてみたいという冒険心もあります。古いサンスイONKYOのアンプ、DENONやMARANTZあたりだと新しいアンプも視野に入ります。今はハイレゾ再生やネットワークオーディオを考えたアンプが出回っています。

 いろいろ考えたあげく、結局、プリメインアンプごと更新する方を選びました。しかも同じYAMAHAのアンプにしました。以前、某メーカーのプリメインアンプを買って、どうしてもなじめいことがありました。今回そういう失敗は避けたかったのです。


 _DSC0221.JPG こちらが新しく導入したプリメインアンプYAMAHA、A2000aです。1987年頃、当時195,000円で売られていたものです。約30年落ちです。自称、G級オーディオの面目躍如と言うところですが、これから長くつきあって行かないといけないので、きちんとメンテナスされたものを購入しました。

_DSC0232-001.JPG こちらは今まで使っていたYAMAHA、AX-1200です。オーディオの足跡さんによれば、1994年頃のものらしく当時128,000円だったようです。値段はともかく私はてっきり30年ほど前に買ったと思っていました。20年前の誤りだったようです。10年ほど前にガリが出てメーカーにメンテナンスに出しているのですが意外と新しかったのですね。

 二つのアンプには約10年の差があるのですが、どことなくデザインに共通性を感じます。しかし、20年落ちのプリメインアンプから約30年落ちのプリメインアンプに更新と言うのは、通常の電化製品の買い換えとしては順序が反対なのですが、この辺がオーディオ製品の妙です。

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 まず、プリメインアンプの格としてA2000aとAX-1200では一クラスも二クラスも違いがあります。しかも作られた年代が80年代と90年代、オーディオの世界ではかなりの違いがあるようです。80年代はやはりオーディオバブルの時代、各社競って物量を投入した凄い製品を続々と排出していました。

 YAMAHAのアンプ作りにも90年代に入って、転換があったようです。AVアンプにシフトを切り替えたのもこの頃だったかも知れません。今、中古店のジャンク売り場に行くと、AX-1200と顔かたち、名前が似たYAMAHAのAVアンプがずらりと並んでいます。

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 中古市場でももっと古いA1000シリーズやA2000シリーズ、プリアンプのCシリーズなどはいまだに高い人気ですが、品番にXの着いたシリーズはどう違うのか詳しくは分かりませんが、あまり人気がないようです。(一部、外国で作られていると言う噂を聞きましたが、結局コストダウンされていると言うことでしょうか)


 AX-1200でも模様替えするたびに重い(20キロ)と思っていたのですが、このA2000aは届いてから部屋に持ち込むのが大変でした。26キロです。重い石を持ち上げるようでした。この重さ、トランスなどの違いによるのでしょうね。

 いつもならすぐに据え付けて音出しですが、A2000aはA級動作のアンプと言うことで発熱量が半端ではないそうです。ラックの中に納めるのをやめて風通しの良いところに設置するため、前から思っていた模様替えと一緒に配置換えすることにしました。

 アンプが到着する前にラックと他の機器はあらかじめ移動は済ませてあったのですが、何せものがプリメインアンプ、全ての配線をやり直さないといけません。早く音が聞きたい思いを抑えながら、慎重に配線作業をしました。

 初めて音が聞けたのはその日の深夜だったか次の日の深夜だったか、全ての配線を確かめてメインスイッチを入れます。緊張の一瞬です。ボリュームを絞り気味にしていても、すぐに違いが分かりました。迫力が段違いです。迫力と言っても分厚い音で押し寄せてくると言うより、スピード感のある音です。

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 初めは同じ曲を聞いても少し違って聞こえました。解像力も上がったのでしょうが、音が中途半端に消えず最後まで伸びます。低音の厚みよりその速いアタックに目を見張ります。とくにピアノの打鍵が鋭くて、まだ耳慣れないときは突然のフォルテシモに驚かされました。

 小音量でも明瞭で力強い音が部屋の隅々まで響き渡ります。ただ、音が少し硬く感じられるのは、中古とはいえメンテナンス品、エージングが必要なのでしょう。あるいは私の耳のエージングが必要なのかも知れません。

 今までのAX-1200はあっさり綺麗に鳴らしてくれましたが、A2000aは透明感のある音でありながら伸び伸びとしてかつ力のある音です。時代から行くと、こちらの方が先祖の音と言うことになります。

 ざっとレコード、CD、デジタルオーディオと聞き比べました。どのソースも素直な力強い音です。もちろん順序はレコード、CD、デジタルオーディオの順です。ハイレゾとレコードは良い勝負ですがハイレゾは情報量は多いのに何かが足りない気がします。と言うか音が蒸留された水のように綺麗すぎるのでしょうか。

 次にスピーカーの聞き比べです。前もJBL4312DとAX-1200の組み合わせ悪くなかったのですが、システムの組み合わせの都合上4312Dは真空管アンプと組んでありました。今回聞いてみてA2000aと組むことにしました。

 このところやや寝ぼけ気味に鳴っていたスキャンダイナA25mk2がこのプリメインアンプで新しい息吹を得たかのように生き返りました。と言うか、老体にムチ打って一生懸命に鳴るのです。他のスピーカーに比べて、ややアンバランスさが耳につくのは彼と私の歳のせいでしょうか。

 CELESTION100は上記二つのスピーカーに比べると少し音が引っ込みますが、相変わらずフラットで聞きやすい音を部屋中に気持ち良く響かせてくれます。残念ながらCELESTION UL-6はまだ繋いでいません。こちらは残しておかないと、真空管アンプに繋ぐスピーカーがなくなってしまいます。

 A2000aとAX-1200、デザインは時代を経ているせいか、AX-1200の方がやや洗練されているのかも知れません。音は格から言っても明らかにA-2000aの方が上です。このアンプの唯一気に入らないところは、リレースイッチの音です。即物的な機械音がします。これから音楽を聞こうとするにはややふさわしくない気がするのですが、これも慣れでしょうか。


_DSC0238.JPG 部屋のレイアウトはこんな風になりました。スピーカーに向かって座る私の右手、部屋の西側にA2000aをメインに組んだシステムと主にジャズのレコードです。真ん中のラックの下の方で白く光っているのは音楽再生専用のノートパソコンの液晶画面です。

 オーディオとパソコンの同居には異論のある方もあるでしょうが、ノートなのでファンの音もしません。ノートパソコンからUSBDACに繋ぎ、A2000aのAUXに繋いでitunesで再生します。こうしておくとそのときに気分のあったジャンルをランダムに連続再生できます。読書やパソコンをしたりするときのながらにもってこいなのです。

_DSC0243.JPG こちらは反対の左側、部屋の東側に並ぶ真空管アンプのあるシステムです。以前はこちら側にAX-1200のあるシステムと二つ並び、かつオーブンリールデッキもあってうっとうしかったのがちょっとすっきりしました。意識してコーディネートしたわけではありませんが、こちらのラックに並ぶシステムが全てブラックになりました。

 いずれ将来は、二つのシステムを一本化し、スピーカーも四つは多すぎるのでせめて二つくらいに絞りたいなぁと思っていますができますかどうか。そんなにたくさんあっても聞けるのは私の二つの耳だけなのですが。


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 今は、部屋中、新しい音で満たされています。気持ちが良くてずっとそのまま聞いていたいのですが、夜がふけると明日に備えて寝なければいけません。明日は明日で仕事があったり、休みでも田舎の用事などもあります。そのたびに後ろ髪引かれる思いで部屋を出て行きます。

 たまに「ああ、もっとゆっくりしたいなぁ」と妻の前でこぼすと、すぐに「いつも、ゆっくりしているやン」という返事ともいさめともつかない言葉が返ってきます。

 言われてみれば、そうですね。何もないときは細かな用事は皆妻に任せて、すぐに自分の部屋に入って音楽を聞いたりパソコンの前に向かったりしています。楽しいときや過ごしやすい春や秋が短く思えるのと同じですね。酷暑の夏や厳寒の冬ばかりやたら長く思えるものです。

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