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一人生えのニンニク [その他]

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 写真は去年のニンニクを収穫したときのものです。今年も収穫は6月に入ってからになると思いますが、我が家、今年はニンニクを栽培しませんでした。

 私がニンニクを栽培するようになってまだ3、4年ほどしか経っていないと思います。我が家はもともとあまりニンニクを消費しませんでしたから興味がなかったのですが、ある年、畝が余ったので挑戦してみることにしました。

 ニンニクは栽培期間の長い作物です。そのわりに初心者でも作りやすいと聞いていたのですが、初めて作った年は、脇芽やつぼみ取りの処理を間違えたりしました。

 2年目、3年目、前年採れた球根を増やしていけば良いので、経費もかからず初心者でも堅実に採れる作物でした。ただ一畝作ると、とても我が家だけでは消費しきれません。食べ切れない分は、人にもらってもらったり、飯米を保存している缶の中に入れて虫除けに使ったりしていました。

 そのニンニクを今年なぜ栽培しなかったのかと言うと、いつも私の作るニンニクをおいしいと言ってもらってくれていたNさんともう会わなくなったからです。ここ数年の我が家のニンニク作りは、家のためと言うより喜んでもらってくれるNさんのためにおこなっていたと言ってもいいようなものでした。

 しかもNさんのお宅ではニンニクだけでなく、塔立ちしたときにできるつぼみまでもらってくれました。これを炒めて食べるとおいしいのだそうで、わざわざ道の駅などでも買い求めておられたそうです。

 Nさんは私の前の職場の同僚でした。ニンニクを植え付ける頃は毎年、9月末から10月にかけての頃なのですが、去年のちょうどその頃、職場は存続の危機に陥っていたのでした。

 私やNさんなど高齢者はもう駄目だろうという空気が流れていて、皆、腹を括っていました。実際、私もNさんもロッカーを整理して離職したのでした。そのとき、Nさんが自分に言い聞かせるように「仕方がない、仕方がない」と繰り返していたのを印象強く覚えています。

 私は、そんなときに半年先に成るニンニクの話などもできず、ただ互いの健闘を誓いあって別れたのでした。私はそのとき、もうNさんと会うことはないような気がして、畝作りまでしていたニンニクの栽培をあきらめてしまったのです。

 畑には、去年のニンニクの球根が残っていたのか、植え付けていた畝の近くで一本だけ一人生えしているニンニクがあります。先日、ちゃんとつぼみまでできていたので切り取りました。

 私はその切り取ったつぼみの処置に困りながら、Nさんは今頃どうしているのかなぁと畑の真ん中で思うのです。

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