フィニアス・ニューボーン・Jr [音楽(ジャズ)]
レコードとかミュージシャンとのめぐり合いにも、運命とか相性というのがあるような気がします。若い頃から、雑誌で見聞きしたり、レコードジャケットの個性的な顔写真で気になっていたフィニアス・ニューボーン・Jrですが、今に至るまで一枚もレコードもCDも持っていませんでした。
フィニアス・ニューボーン・Jrがサイドメンとして参加しているアルバムもそんなに多くないのではないでしょうか。きちんと調べたわけではありませんがあまり記憶がありません。
一昨年の秋だったか、京都のジャズ喫茶「YAMATOYA」さんに行ったとき、マスターが彼の代表曲「ワールド・オブ・ピアノ」をかけてくれました。
お店自慢のバイタボックスのスピーカーからなんとも心地よいピアノ・トリオの音が聞こえていました。レコードを持っていないのに懐かしく聞こえたのは、かつてよくジャズ喫茶で聞いていたからでしょうか。
最近になってようやく「アイ・ラブ・ピアノ」を入手しました。ほんとは「ワールド・オブ・ピアノ」が欲しかったのですが、私がいつも利用している中古レコードショップにはフィニアス・ニューボーン・Jrのレコード自体がなかなか並びませんでした。
しかし、このジャケットの写真はあまりにも、表現がベタ過ぎますよね。
初めて自分のシステムで聞いてみて、ピアノの音がすごく透明なのに驚きました。語弊がありますがこの時代のジャズピアノ、録音としては異例な気がします。
打鍵が正確で強いのではないでしょうか。1音1音、曖昧さがなくてしっかり聞こえてきます。けっしてムードに流されることのない演奏ですね。
フィニアス・ニューボーン・Jrは、若い頃アート・テイタムの再来と言われ、その才能はオースカー・ピータソンと並び称されたそうですが、強度の精神分裂症を患い、残念ながらその活躍は限定的でした。とくに晩年は大事な腕を壊し、89年に亡くなったのだそうです。
同じような評価を受けていたオスカー・ピーターソンは、その後も大活躍していまや押しも押されぬ名プレーヤーの仲間入りをしているのに、この違いはどこから来るのでしょうね。
フィニアス・ニューボーン・Jrは超絶技巧などとはやされていたわりに、最初のレコードが売れなくてそのことをひどく気にしていたそうです。神経が細やかで天才肌なのでしょうが、同じく天才だったチャーリーパーカーのような図太さと自分のスタイルを貫く強さに欠けたんでしょうね。
もちろん、パーカーも本当は苦しくて、ドラッグや酒におぼれるのですが、表面は堂々としてあくまで自分のスタイルを貫き通すことでジャズを変えていくことに貢献しました。
このYouTubeの演奏などは、まさしく超絶技巧そのものですね。ひょっとしたら、彼はテクニックが勝ちすぎたのかもしれませんね。
繊細な人だったんでしょうね。
それにしても凄いテクニックだわ。
ロイ・ヘインズとの『ウィ・スリー』が家にあります。
聴き直してみよ^^
by なちゃ (2010-03-20 00:55)
凄くカッコイイ演奏ですね!
やはりこの世界で生き残って行くには、
デリケート過ぎたってことなんですかね?
才能以外にも図太さを持ち合わせてないと
駄目なんですね^^;
by yukky_z (2010-03-20 02:56)
天才は、どこの世界でも繊細なんでしょうね。
また、自分に嘘をつけないから、追い込んでしまうのでしょう。
生き残るのは、難しいのでしょうね。
by たいへー (2010-03-20 16:16)
ピアノの音をピュアに表現できるスピーカーはかなりのレベルですね。
フィニアス・ニューボンJrは恥ずかしながら聴いた事がありません。
今晩じっくり聞かせていただきます
by 駅員3 (2010-03-20 19:34)
なちゃさん
こんばんは
繊細で腕に自信もあったので、プライドも高かったのだと思います。
それだけに、傷つき安かったのだと思います。
彼がテクニックをひけらかすのを快く思わなかった人たちもあったとか。
いまは、純粋に演奏を楽しみたいところです。
by 空兵 (2010-03-20 20:21)
yukky_zさん
こんばんは
音楽とか芸術の世界は、繊細さがないと駄目だと思いますが
一方で逞しさも要求されるのでしょうね。
それがないと、せっかくの自分の芸術を活かすことが出来ませんからね。
こういうテクニックの人が、歳を取ると味わいが出るんですけれどね。
by 空兵 (2010-03-20 20:24)
あはっ。たしかにこのジャケ、色合いと雰囲気は可愛いけど
タイトルとの兼ね合いを見るとベタだなと思っちゃうかも。
>彼はテクニックが勝ちすぎたのかもしれませんね。
あああ。絵の世界でもそういう方々いらっしゃいます。
で、最終的に自分のテクの凄さに自分が潰されたり。
ズバ抜けた人ってなにかと大変そうです。
by FUCKINTOSH66 (2010-03-20 20:27)
たいへーさん
こんばんは
安定的で穏やかな人生を送った天才はあまり聞きませんね。
クラシックだとバッハがそうだったと聞きますが。
命を削り、命と肩代わりに芸術を紡ぎだした天才たち・・・
敬服すると同時にある意味、羨ましさも感じます。
もっとも我々凡人では、とてもその才能の重みに耐えられないでしょうが。
by 空兵 (2010-03-20 20:31)
駅員3さん
こんばんは
アンプやスピーカーを変えると、音色というかニュアンスは変わりますが、
音そのものが持つ透明感は同じように思います。
フィニアス・ニューボーン・Jrはジャズの中でも
わりとマニアックなプレーヤーだと思いますよ。
by 空兵 (2010-03-20 20:33)
FUCKINTOSH66さん
こんばんは
ジャケット、このタイトルでなければなんとも思わなかったのですが
アイ・ラブの意味が違いますよね。
絵の世界にもおられるでしょうね。
きっと自分の恵まれた能力の重みに耐えられなくなるんでしょうね。
選ばれし者の恍惚と不安・・・ですね。
凡人には計り知れないことです。
by 空兵 (2010-03-20 20:41)
確かにジャケットはムード音楽風で、
内容とマッチしていないでね。
フィニアス・ニューボーン・Jr、名前は知っていますが、
演奏も聴いたことがあるのでしょうが記憶に残っていません。
by stone-9 (2010-03-21 09:05)
stone-9さん
こんばんは
ジャズのジャケットの中には、時々こんなのが紛れているようですね。
stoneー9さんもかつて、ジャズ喫茶などに行っておられたら
たぶん聞いておられたのはないかと思います。
私の中では、ずっと気になっていたジャズメンでした。
by 空兵 (2010-03-21 18:52)
聴き終わり振り返ると
あっしの乱雑な四畳半の部屋が
きっちり整頓されてやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-03-23 19:21)
ぼんぼちぼちぼちさん
こんばんは
それくらいきっちりした隙のない演奏なのでしょうが
残念ながら、最初に聞いた私の部屋は
未だに乱雑なままです。
by 空兵 (2010-03-23 22:09)
はじめまして
普段ジャズは聴く機会がないので詳しくないのですが、難しそうなリズムを軽くクリアに聞かせてくれる指さばきが素晴しいですね>
by yoikosan (2010-03-24 08:10)
yoikosanさん
こんばんは
はじめまして
nice&コメントありがとうございます。
このYouTubeの演奏はとくに凄いですね。
この音源からもピアノの音のクリアさは伝わってきます。
by 空兵 (2010-03-24 22:08)
はじめまして
実は『アイラブピアノ』のCDを探していまして、検索していたところこの記事を見つけました。
CD化はされてないのでしょうか?
フィニアスを最初に聴いたのはロイ・ヘインズのウイスリーからでした。
それ以来CDを集め始めたのですがこれだけみつかりません。
LPは先輩が持ってましたのでカセットテープでは聴けるのですがなにぶん古くなってきたものでCDで欲しくなりました。
すみません。初めてでこんな投稿で。
by タクシドライバ (2011-06-07 18:10)
タクシドライバさん
こんばんは
済みません。
コメント気づくのが今になって、返事が遅くなりました。
今頃、返事をしても、遅すぎますし、
すでにご自身で確認されていると思いますが、
『アイラブピアノ』はCD化されています。
Amazonで検索するとトップに出てきますよ。
by そらへい (2011-12-22 21:31)