ヘッド・ハンターズ [音楽(ジャズ)]
今では街中で大手のCDショップ以外の小さなお店をすっかり見かけなくなりましたが、私が若かった頃は、街のあちこちに小さな本屋さんがあったみたいに、駅前とか商店街にも小さなレコード店が必ずありました。
レコードを買いだした始めの頃は、手近なそう言うお店で買うことが多かったのですが、だんだん慣れてくるにしたがって、利用しなくなっていきました。
まず、そう言うお店は、どうしても日本の曲とかポップスが中心でジャズの品揃えが少なかったり、狭いので妙に店員さんと距離が近く、私のように自由にじっくりとレコードを選びたいと思うものには適さないところがありました。
それでどうしても秋葉原の石丸電気とか、新宿の帝都無線とか、大きくて品揃え豊富な店で購入することが増えていきました。或いは小さくても輸入盤を扱っているような専門店を利用しました。
ところが、ある日の仕事帰り、その時は魔が差したのか、給料でも出た直後だったのか、地下鉄の駅からアパートまでの帰り道にある小さなレコード店にふらりと入ってしまいました。
店の中は主人とおぼしき中年男性とその奥さんらしい二人だけでした。しまったと思ったのですが、もうあとの祭りです。すぐ出るのもなんなので、期待感もなくジャズの棚を捜していると、案の定、奥さんが寄ってきました。
「何をお聞きなの」
「ジャズです」
仕方なく私が答えると彼女はすぐさま一枚のレコードを持ってきて私に見せました。
「ご存知、今、凄く売れてますのよ。はぁびぃ・はんこっくのへっど・はぁんたーず」
ジャズだロックだと騒がれているアルバムであることは知っていました。よく売れているらしいけれど、ちょっとコマーシャルに過ぎるのでは無いかと私は思ってました。なんとなくチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーの二番煎じのようにも思えました。
その頃私が欲しかったのは50年代、60年代のハード・バップでした。だいたい、ジャズのレコードをおそらく詳しくも知らない小さなレコード店の奥さんに勧められて買うなどと言うのは、ジャズファンとしては沽券にかかわることに思えました。
それ以上いると、気の弱い私はふらふらと買わされてしまいそうだったので、なんとかごまかして這々の体で店を出ました。1973年秋、私は22歳でした。
以来、そのことがトラウマになったのか、なかなかこのレコードが買えませんでした。
こんばんは~♪
確かに「昔ながらのレコ屋さん」は無くなりましたね。
寂しいことです。HMV、ヴァージン、タワレコでは、
レコードは置いてないし。私の頼りはDisk Unionぐらい
ですかね^^; 勿論、近場の話なんですけど。
by yukky_z (2010-04-17 02:35)
私はいまだにこのアルバムは買ってません。聴いたことはありますがもう一生買わないでしょうねぇ。
by tempo (2010-04-17 08:48)
「リターン・トゥ・フォーエバー」はすぐ飛びつきましたが、
「ヘッド・ハンターズ」は買わずに終わりました。
もう少し若ければ違ったかも知れませんが。(笑い)
by stone-9 (2010-04-17 10:15)
面白いエピソードですね。レコード屋さんからなんとか脱出する1973年、22歳の空兵さんを想像しました(笑)
by FUCKINTOSH66 (2010-04-17 11:00)
できれば静かに選ばせて欲しいですね。
私ははっきりと「見たいので」と言うと思います。
でも、レコード店で声をかけられた事は無いなぁ。
よほど売りたかったのかしら。^^;
by たいへー (2010-04-17 12:02)
yukky_zさん
こんにちは
今はレコード店じゃなくてCDショップなんでしょうが、それも
近くのショッピングセンターにあったのが無くなりました。
昔は、新宿のdiskunionやaudiounionはよく利用したというか
冷やかしてましたね。
何か良い物はないかと冷やかしのはしごしてました。
by 空兵 (2010-04-17 12:52)
tempoさん
こんにちは
確かにtempoさんがUPしているYouTubeの曲調とは
かなり傾向が違いますね。
私は、当時は受け入れがたかったのですが、
今はリズム感が心地よくて、これもいいかなぁと思います。
懐かしさの方が先ですが。
by 空兵 (2010-04-17 12:55)
stoneー9さん
こんにちは
私もそうでしたね。
「リターン・トゥ~が出てきたときは70年代の初っぱなで
何となく新しい時代の到来を感じたのでしたが、
「ヘッド・ハンターズ」でエレクトリックジャズが定着するのに抵抗があったような気がします。
by 空兵 (2010-04-17 12:59)
FUCKINTOSH66さん
こんにちは
ヘッド・ハンターズのこのジャケットを見るたびに曲ではなく
このときのレコード屋さんでのエピソードを思い出してしまいます。
これでますます小さなレコード店は利用しなくなったような気がします。
by 空兵 (2010-04-17 13:02)
たいへーさん
こんにちは
そうですよね。
本屋さんとかレコード屋さんというのは、静かに選べるところがメリットですからね。
私もレコード店で声をかけられたのは、後にも先にもこのときだけです。どちらかというとレコード店の店員さん、普通は素っ気ないほどの客あしらいの店が多かった気がします。
よほど売りたかったというか、客が珍しかったのかも知れませんね。
by 空兵 (2010-04-17 13:07)
アルバムでなく中古レコード店「ハンター」思い出しました。町のレコード店のお兄さんによく試聴させてもらいましたがその後の蘊蓄話に(^o^)/
by クンツ (2010-04-17 16:30)
クンツさん
こんばんは
銀座ハンターでしょうか。
銀座にはあまり行きませんでしたが、
行ったときは覗いていた気がします。
今はもうないんでしょうね。
by 空兵 (2010-04-17 21:49)
私は リターン・トゥ・フォーエバーを吉祥寺のアウト・バックで初めて聴いたその足で新宿に行きアドホックビルにあった帝都無線でその輸入版買ってしまいました。
これを聴いたときコルトレーンの呪縛から逃れられたような気がしました。
しかしハンコックはクールと言うか小利口と言うか 今ひとつ馴染めませんでした。
by kurakichi (2010-04-17 22:07)
>ジャズファンとしては沽券にかかわることに思えました。
・・・・私もそんな時がありましたっけ。
ところで、
石丸電気は当時CDを買うと「ジョージウォーリントンをお買いあげのお客様~」 と大きな声で叫んでいたことが記憶に残っています。
by しばちゃん2cv (2010-04-17 22:11)
kurakichiさん
こんにちは
アドホック懐かしいですね。新宿の歩行者天国沿いのレコード店は殆ど冷やかしてましたね。
私はリターン・トゥ・フォーエバーは新宿の「サムライ」というジャズ喫茶で初めて聞きました。あのジャズともなんとも言えないときめきのような音楽とカモメが飛んでるジャケットに魅了されました。
唯一、ジャズの潮流と同時代であった気がします。この後、私はどんどん古いジャズの方へ、向かってしまいました。
by 空兵 (2010-04-18 18:58)
しばちゃん2cvさん
こんにちは
残念ながら、私が石丸電気のレコード売り場に入り浸っていた頃は、完全なアナログ時代でした。石丸電気は秋葉原に何店舗かあって、途中からビル全体がレコードと楽器売り場の新しいビルができたりしました。ジャンルごとにフロアが分かれている豪華さでした。
by 空兵 (2010-04-18 19:04)
空兵さん
私の場合、余りにも静か過ぎ、気持ち悪い店が有ります。
おまけに無愛想な店。
が、薦められる店は苦手ですね。
本内容も面白い想い出ですね。
何となく理解出来ます。
by ベルベット (2010-04-18 21:02)
ベルベットさん
こんばんは
自由に見させてくれて、質問したときだけ親切に答えてくれるお店が良いですね。
以前、紙袋の手荷物を持ってCDショップに入ったら、店員さんにべったり付かれたことがありました。わかる気もしますけれどね。
インターネットで書籍を取り寄せたり、楽曲をダウンロードする時代になると
こういったエピソードもなくなってしまいますね。
by 空兵 (2010-04-19 20:07)
最近 西荻窪の新星堂がなくなりショックでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-21 19:34)
ぼんぼちぼちぼちさん
こんばんは
西荻の新星堂?
地図を見て南口の駅からの通り、交差点左側ですね。
ここなら行った覚えがあるのですが、新星堂だったかどうか
忘れてしまいました。この向かいの角にはかつてケンタッキーがありましたが今はどうなんでしょう。
by 空兵 (2010-04-22 22:52)
今振り返ってみれば、またそれも若き日の思い出の一つですね
by 駅員3 (2010-04-24 18:55)
駅員3さん
こんばんは
振り返ってみると、穴に入りたいような
若気の至り的な思い出がたくさんあって困ります。
by 空兵 (2010-04-24 21:22)
そうでやす!その場所でやす!
あっしが住み初めし頃は すでにケンタはありやせんでやした。
吉祥寺まで行けば、品揃え豊富なCDショップは幾つもあるんでやすか゜
ゆるーーい気分で近所を散歩して立ち寄れる地元密着型の店がなくなるのは
やはり寂しいものでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-26 19:24)
ぼんぼちぼちぼちさん
こんばんは
西荻の思い出を語るときりがありませんが、私がいた当時
南口駅前すぐに、菅原文太さんのお店がありました。
なんの店だったかすっかり忘れてしまいましたが。
喫茶店はあちこちよく利用していましたし、
物豆奇のあるとおり、もう少し駅寄りに当時小さな書店があってよく利用してました。
たぶん今はもうないと思います。
by 空兵 (2010-04-26 20:51)