矛盾~セレッション100 [オーディオ]
ついこの間、クリスマスだ、年末だと騒いでいたのが、ようやく年が明けたと思ったら、もう正月も半ば、今更ながら時が過ぎゆく速さに驚かされます。
正月の楽しさも子供の頃がいちばん楽しくて、大きくなるにつれ面白くなくなってきて、お年玉をもらう方から与える方になってくると、憂鬱の方が大きくなってきたりします。
でも、正月も年々面白くなくなってきたなぁと思っているうちはまだましで、還暦を過ぎた今年、私はこんな年末年始の騒ぎや感慨も、あと何回味わえるのだろうなんて思うようになってしまいました。
さて、オーディオの記事が去年の記事「身近な秋」以来滞ったままです。その記事でセレッション100のことを予告しておきながら、そのままになっています。今日は、その顛末の報告に重い腰を上げようかと思います。
この話には大きく分けて少なくとも二つの失敗談があるのですが、まずは最初の一つ、購入の経緯からです。
前回の記事でご報告したとおり、セレッション3の密閉型とバスレフ型を3台手に入れて、すっかりセレッションファンになった私です。ただ、その後も飽きたらずにオークションを閲覧することがありました。
狙いはクラシック、とくにバイオリンをきれいに鳴らしれくれるスピーカーです。前から真空管アンプと合うタンノイを考えているのですが、オールドタンノイはどれも値段が高くて私には手に負えません。
そこで、タンノイと同じかそれ以上に歴史があると言われる同じイギリスのスピーカーメーカーのセレッションはどうだろうかと思いました。
もちろん、セレッション3でセレッションと言うスピーカーメーカーの素性の良さはわかっています。ただ、このセレッション3はどちらかというとロックやポピュラー向けに開発されたものです。
クラシック向きのセレッションはそれよりもっと前に開発されたものが合いそうです。オールドセレッション、玉が少ないせいか意外と人気があり、タンノイほどではないにしても、そこそこの値段で落札されます。
何度か落札し損なって苦い思いをしたある時、オークションにセレッション100が送料込みの即決価格で出ているのを見つけました。セレッション100、あまり聞いたことがない型番ですが、価格は何とか私が手を出せるぎりぎりです。即決、送料込みの条件が、妙な焦りを生んで、気が付いたら入札のボタンを押してました。
即決価格だったので、入札=落札です。ここから私の第一の失敗が始まります。落札してから調べてみると、セレッション100はオールドセレッションと言うには新しくて、1992年頃のものです。しかも、なんとセレッション3と同時期、同じシリーズの上位機種と判明しました。
お気に入りのセレッション3と同じシリーズなら間違いなかろうと思うのですが、ここで私は自己矛盾に苦しむことになります。つまり、セレッション3を気に入って、程度の善し悪しをのぞくと3セットも持っています。今後もこのシリーズをポピュラーのメインとして使い続けていくつもりでした。
そこへ上位機種のセレッション100がやってくると、普通に考えればセレッション100の方が良いことになります。何せ値段で四倍の差があります。と言うことは、3セットもあるセレッション3が無駄になってしまいます。かといって、もしセレッション3の方が良かったら、今回の落札が失敗と言うことになってしまいます。
届いたセレッション100は3と比べて大きく重く、マホガニーを使ったボディはシックで高級感があります。20年経っているのでそれなりにボディに小傷なども付いているのですが、まっさらよりそれくらいの方が歴史を感じさせて私は好きです。
ただ、ボディの小傷は気にならないのですが、ツィーターに凹みがあるのが気になりました。もちろんそのことはオークションでも報告されていたのですが、片方だけと思っていたら両方凹んでいました。
肝心の音の方はと言うと、最初に聞いたのがモーツァルトのディベルトメントでした。さすがに値段が高いだけあって、音の緻密さがセレッション3とは全然違いましたね。弦の重なりが高級レンズで撮った鳥の羽根のように、一枚一枚くっきり聞き分けられるようで感動しました。
その後、ソースを変えたりオーディオの組み合わせを変えたりしていろいろセレッション100を確かめました。セレッション3でも真空管に繋ぐよりトランジスタアンプに繋いだ方が良かったので、しばらくはYAMAHAのAX-1200に繋いで聞いていました。
聞き慣れてくると、やはりセレッション3と同じシリーズにあるだけに、私が狙っているクラシックの弦はちょっと硬めに聞こえることがあります。もちろん3の高域より緻密で品があるのですが、ごまかしがないだけによけいに高域の硬さが際だって聞こえます。
音の一つ一つのクオリティや分解能では100の方が上ですが、音楽全体のバランス、聞きやすさと言うことだと、安い3の方が優れているように思えるのです。
ただポピュラーやロックなどはほれぼれするほど気持ちよく鳴ります。このスピーカーで、ビートルズ、サイモン&ガーファンクル、ジョーン・バエズ、などを立て続けに聞きましたが、音が空間に広がって、ステレオのセパレーションも最高で本当に気持ちよくなります。日本の歌謡曲などもこういうスピーカーで聞くと、見直してしまいます。
試しに真空管に繋いでみてもやはりこのスピーカーの傾向は変わらなくて、柔らかい真空管を通しても高音は硬めに聞こえます。私はそれほどロックを聴く方ではないのですが、このセレッション100を真空管アンプでドライブしたら、ロック好きの人はたまらないのではないかと思いますね。セレッションは今もロック用ギターアンプのスピーカーユニットで有名です。
私のねらいとしては、普段はセレッション3で何でも気軽に聞いて、ジャズをちょっとまじめに聞こうとするときはJBL4312D、クラシックを聴くときはセレッション100と使い分けたかったのですが、どうもこのままではセレッション100と3の棲み分けが曖昧になります。
これは困ったことになったなぁと思いながら、当分は手に入れたばかりのセレッション100の音を楽しんでいました。ある日のこと、サランネットをはずして聞いてみたとき、ふとツィーターの凹みが気になってしましました。音にどれほどの影響があるのかわからないのですが、わずかな染みのように気になるのです。
さて、ここから第二の失敗に発展していくのですが、その顛末は長くなりすぎるので次回に譲ろうかと思います。
今日のBは唯一持っているベン・ウェブスターのSOULVILLE・・・ビッグ・ベンの朗々たるテナーもさることながら、ハーブ・エリスのイントロ、オスカーピーターソンの絡まるピアノがたまりませんね。
様々なスピーカー、様々な音の好み、永遠のテーマだなぁ。
小型ならば、いくつか揃えて違いを楽しむことも容易ですね。
無限の組み合わせがあるから、時には失敗もします。
それも勉強なんでしょうね。(笑
by たいへー (2012-01-14 07:46)
こんにちは!
弦の高音域ですか・・・こればっかりは好きずきですからね♪
生意気を言わせてもらうと、ぼくも短い時間で集中して聴きたい時は
やや硬めで芯のある音を聴きたくなることが多いです。
神経質にきれいな音を求めると、そういう傾向になる気がしますが、
残念ながらそのスタンスで長い時間聴き続けようとすると、
ぼくの耳はすごく疲れます。
同じ弦楽器であっても、プレイヤーによっても音の作り方が違う
ように感じますし、録音技師によっても音質の違いを感じます。
だから聴くレコードやCDを限定すれば、これにはこの組み合わせ・・・
と言ったことも可能かな?と思いますが、まさかそこまでやる人は
居ないでしょうからね。(笑)
でも、最近はそういう楽しみから随分遠ざかっております。
なかなか初動が掛からなくて。(ぐーたらしてますから^^;)
by song4u (2012-01-14 10:38)
たいへーさん
こんにちは
私はオークションで買うことはあっても出品することがないので
増える一方で困ってきました。
今年は少し整理して、お気に入りのスピーカーを
ゆったりした空間で朗々と鳴らしてみたいなと思ってます。
by そらへい (2012-01-14 10:46)
song4uさん
こんにちは
そうなんですよね。
組み合わせは無数ですからね。
チェロなどでも、レコードによって同じスピーカーでも
ギーコギーコと聞こえたり柔らかく聞こえたりしますからね。
そこへこちらの調子もあって、どっぷり浸かりたいときもあれば
さらっと流したい時もあります。
結局最終的には、ある音に対しては極上でも
バランス的には今ひとつの音と
ある程度何でも破綻なく、気持ち良く鳴らしてくれる
組み合わせの追求と言うことになるのでしょうね。
by そらへい (2012-01-14 10:52)
そらへいさん、こんにちは。
寒さが一段と厳しくなってきましたね。・・・凍りついた枯れ野原が、、、。
セレッション100、、、”3”の兄貴分なんですね。
大きめの音量にして”豊かに響く”ようでしたら、BOX自体の響きを”どう調整”するか??
・・スタンドの材質や高さなども重要かと思います。・・
アンプやカートリッジとの相性と合わせて、お楽しみ下さい!
by プリウス (2012-01-14 13:55)
そらへいさん 沢山のナイスをありがとうございます。
素晴らしい音楽を、すばらしい音質で楽しみたいのは皆さん同じですね。いろいろトライされているようです。
このソネブロに投稿させていただいていますが、ネックは音楽5MBの制限です。
演奏時間や音質が制限されて、原曲が素晴らしいにも関わらず、落として貼り付けねばならないのが残念です。
もっとも有料サイトにすれば10MBまでOKでそうですが、それでも無理ですね・・・Youtubeになってしまいます。
by 般若坊 (2012-01-14 15:43)
お写真から寒いんだろうなぁと想像しますが、あわせて伝わってくる澄みわたった空気感に魅かれます。こういう風景に出会いにいきたいと思いながら、なかなか重い腰が・・・。お正月はこれといって何もなく毎年アッという間に過ぎてしまいますが、もうすぐお正月っていうあの慌しさは嫌いではありません。明けちゃえばなんてことないのですが・・・。
by b.b.mk2 (2012-01-14 19:43)
プリウスさん
こんばんは
確かに結論づける前に、もう少し追い込む必要があるでしょうね。
ただ、手を変え品を変えしてみても、そのものが持つ本質は変わらない気もします。
オーディオ的には、まだまだ楽しむ余地がありますね。
高域にしても低域にしても、出る出ないはともかく
何かしら自分の思い描いているものと違う、
しっくり来ないと言うのがあって、その幅が大きいほど
合わないんでしょうね。
by そらへい (2012-01-14 21:54)
般若坊さん
こんばんは
こちらの思い入れがどんなにあっても、その通りに答えてくれない
様々な制約がありますね。
でも、不思議なもので、どんなに豪勢なシステムでも聞こえない時は聞こえず
逆にどんなチープな装置でも、伝わって来るものがあるのも事実です。
こんなことを言うとオーディオファンに叱られるかも知れませんが
オーディオは自分の感性の足り無さを補うシステムではないかと思うことがあります。逆にまた、オーディオが感性を触発してくれることもあるのですが。
by そらへい (2012-01-14 21:59)
こんばんは。
還暦すぎたらもう「年」はいりませんね。
畑で果樹を植えようかと思う時、考えますね。
by 夏炉冬扇 (2012-01-14 22:02)
b.b.mk2さん
こんばんは
霜のひどい朝は、たしかに凍てつく寒さなのですが
そんな日は、お天気が良くて朝日の恵が差し込んできます。
凍てついた野が朝日に照らされて光り出し、
水蒸気が立ちのぼります。
そんな朝には、野鳥たちもにぎやかに動きですので
そういう日は、狙ってカメラを持ち出します。
澄んだ空気は何よりのフィルターなのかも知れませんね。
by そらへい (2012-01-14 22:02)
夏炉冬扇さん
こんばんは
そうですね。
後始末のことも考えますからね。
父はそんなに早くいなくなる積もりがなかったので
いっぱい樹木を植えていて、あとで困ったことがありました。
もっとも遺された者に父が迷惑をかけたのはそんなことくらいですが。
by そらへい (2012-01-14 22:05)
>このスピーカーで、ビートルズ、サイモン&ガーファンクル、
>ジョーン・バエズ、などを立て続けに聞きました
彼らの時代には、CD なんか存在しなかった訳ですから、
やっぱ 「レコードで聴くのが正当な聴き方」なんでしょうね?
by yukky_z (2012-01-14 22:12)
yukky_zさん
こんばんは
いえ、そんなことはなくて、私がこの時聞いたのは皆CDです。
ポピュラーの場合、CDの方が私は合います。
ステレオ感などもCDの方がすっきり出るような気がします。
ビートルズの後期の楽曲などもかなりステレオを意識したもので
それはレコードよりCDの方がより明確、クリアに聞こえる気がします。
このスピーカーではその辺のところが、より気持ちよく表現されるようで
このスピーカーの個性を生かしたくて、わざとポピュラーやロックの
曲を聴くようになったほどです。
by そらへい (2012-01-14 22:30)
「還暦を過ぎた今年、年末年始の騒ぎや感慨も、あと何回味わえるのだろうなんて思うようになって・・・・」 同感です。
思いついた事は即実行するようにしています (^-^)。
by himanaoyaji (2012-01-15 09:20)
himanaoyajiさん
こんにちは
思いついたことは即実行
見習うように心がけます。
by そらへい (2012-01-15 15:43)
そらへいさん、こんばんは。
今回も冬の凛とした風景写真を見せていただき、ありがたいと思っております。
さて、同じメーカーのスピーカーでグレードの違うものを揃えてしまうことは、よくありますよね。
私も3年ほど前にJBLの4312MⅡというちっちゃなモニターを購入し、JAZZ
やロックなど(ジョニミッチェルとか)を楽しんでいたんですが、ヤフオクでたまたま、大昔のJBLのフルレンジのD208にJensenのツィーターの付いたものを格安で入手したら、そのあまりの中域の充実度に惚れ惚れし、4312MⅡのミニスピーカーは売りに出してしまいました。
結局、聴かなくなっちゃうんですよね。元箱付きで売ったので、まずまずの値段で売れました。
その後、物凄く古いLancerが、これも格安で出ていたので衝動買いしてしまいましたが、このLancerでさえもD208よりレンジが広い感じです。
なんかボーカルものを聴くと中域が濃い方が音楽が中に入ってくる気がします。
それとセレッションの音は私も大好きです。昔のUL6なんか買おうと思ったことがありましたがオーディオ店のおにいちゃんの勧めで安いコンパクトなTANNOYにして後悔した記憶があります(20歳代のころ)。セレッションでパイプオルガンなんかを小音量で聴くとうっとりしますよね♪弦も抜群に繊細ですし、優れたスピーカーですね。今でも場所さえあれば1組欲しいです。
by something (2012-01-15 18:42)
somethingさん
こんばんは
D208って、知らないのですが名器D130の流れを汲んでいるのではないでしょうか。
小器用に鳴る現在の4312MK2ではとてもかなわないかも知れませんね。
中域の厚み、未だにLE-8Tなど帯域は狭くてもフルレンジのスピーカーに人気があるのもそのへんが理由かもしれません。
モノラルに真空管アンプの組み合わせも、中低域をぐっと押し出してきますよ。
ほんとにどんなにたくさんのシステムを揃えてみても、
聞く耳は一つ、時間も限られているのに
あれもこれもと聞いてみたくなるのはやはり人の欲望ですかね。
somethingさんも色々と楽しんでおられるようですね。
セレッション、小型のスピーカーが多いようですよ。
by そらへい (2012-01-15 19:38)
朝の寒さが伝わってきそうな画像ですね。
休みの日に、寒い朝を撮りたいと思いながら、なかなか布団から抜けられません。
by しばちゃん2cv (2012-01-15 20:03)
ご訪問が遅くなり、失礼いたしました。
スピーカーのこともさることながら、冒頭の数枚の冬景色・・・画面が寒さがシンシンと伝わってきて、とても素晴らしい写真ですね。
by 駅員3 (2012-01-15 23:08)
しばちゃん2cvさん
こんばんは
私の時間はだいたい決まっているので、
冬の早朝にはなんとか立ち会えるのですが
夏の早朝には間に合わないんです。
by そらへい (2012-01-16 20:40)
駅員3さん
こんばんは
毎年、同じようなところで同じ季節に
同じような写真を撮っている気がするのですが
飽きもせずにまた撮りに行ってしまいます。
もう少し違う場所も開拓しないとと思っているのですが・・・
by そらへい (2012-01-16 20:42)
聴き入ってしまいやした♪
最近 西荻南口に ジャズを聴かせるナイスなカフェができやした。(確か二年前くらいにできたのかな)
今時珍しく、かかってるLPのジャケットをカウンターに掲げてくれるの。
そらへいさんが西荻に住まわれていた頃だったら 毎日通われてただろうなーって行く度に思いやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2012-01-17 00:54)
ぼんぼちぼちぼちさん
こんばんは
西荻南口ですか。懐かしいですね。
南口もよく歩き回った気がします。
あの頃、吉祥寺を始め、中央線沿線のほとんどに
ジャズ喫茶が最低でも二つ三つあったのに、
西荻になかった(アケタの店がありましたが)
のは不思議です。
by そらへい (2012-01-18 20:13)
そらへいさん こんにちは
お久し振りです。やっと7でコメント書く事が出来ました。
plalaへ引っ越しまして、初めてお伺いします
此れからも宜しくお願いします
今日はご挨拶まで では また出て来ますけんで~
by michiyasu (2012-01-19 12:28)
michiyasuさん
こんばんは
お久しぶりです。
お名前が反対になりましたね。
Plalaへの引越しと共にパソコンも買い換えられたのですね。
環境の変化は何事も慣れるまで大変ですね。
また、ゆっくり拝見させて頂きます。
by そらへい (2012-01-19 19:31)